2013年9月28日土曜日

原発直下の断層—活断層か否か。

▲自然の現象というものは、最大ということを考えればとんでもなく大きくなる。
 そういうリスクを視野の中にいれながら、現実になにかをこしらえていく—そこが「工学的・技術的な」は発想であると思える。

 このところの日本の原発とか津波等を考えるとき、そのあたりの二面的な見方ができていないなぁ、と感じる。
 端的な例が津波の想定高さだ。

 マグニチュード9.0なんて、この地球上で発生する最大規模の地震(1200年に一度とか)を想定して、そこから襲い来る津波の高さを想定する—という。
 結果として、四国のある町では想定高さが30mを越すことになった。
 どう逃げたって助かりようがあるまい—という数字だ。

 上の議論というか想定高さが間違っているという訳ではない。
 議論の方向性としても正しい。
 それは、理学的な科学者が想定した「最大の高さ」なのだ。

 だからといって、
 上で例示した四国の町では、海岸沿いに30mを超える防波堤を建設するのか—ということになる。

 ここに「工学的・技術的」な解釈というか視点が必要となる。
 昨年だったか、土木工学会とかいうところで、こういう防波堤を建設するときは、百年に一度くる地震・津波を想定すべきだ—と発表していた。
 それは、リスクはある。
 必ずしも、すべての人が助かる訳ではない。

 しかし、百年に一度にある災害に焦点を合わせるぐらいで、丁度いいのだ—ということなのだ。
 費用対効果とか実際に出る費用を考えれば、そのあたりが落とし所だ—ということなのだ。
 これが工学的・技術的解釈というもの。

 長々と、地震と津波について触れた。

 これを同じことが、原発とその直下の断層について堂々めぐりの議論が続いている。

以下、新聞から抜粋。


★北陸電力S-1断層調査 最終報告3度目の延長

 志賀原子力発電所の直下で活断層の疑いが指摘され断層調査で、北陸電力が3度目の延長。
 延長した理由について、北陸電力は、志賀原発の東に1キロほど離れた地点で表土はぎ 調査を実施したところ新たに断層らしき構造が見つかったためとしています。

 北陸電力では、その活動性や近くを走る福浦断層との関連性について 詳しく調査する必要があると判断し、3か月間の延長を決めました。
 最終報告の提出は、当初の計画では、今年1月の予定でしたが、計画を変更、今回が3度目の延長となります。
 また、26日の会見では、追加調査結果の一部も明らかにし、 12・3万年前以降に活動がなかったことを示す地点が新たに見つかったとしています。
 また、活断層の疑いが指摘されたS1断層の長さはおよそ800メートルで、 近くを走る福浦断層と連続しないことがわかったとしています。

 北陸電力は、延長した期間内にS1断層の年代や性状などについてさらにデータを充実させ、 12月下旬の最終報告に望む構えです。
★北陸電力・断層の最終報告、12月に延期 (26)

 志賀原発の真下を通る断層調査の最終報告について、北陸電力は、新たに見つかった地層を調査するため、原子力規制委員会への提出期限を、12月下旬に変更すると発表しました。
 北陸電力では、原子力規制委員会の指示に基づき、志賀原発の真下を通る Sー1断層と周辺にある断層の活動性について調査してきました。

 中間発表では▽Sー1断層は少なくとも12から13万年前以降に活動していないこと。

▽周辺の福浦断層などが動いても、Sー1断層には影響がないことなどを報告していました。
 その後、周辺の断層の活動性について、詳しく調べてきましたが、 先月末になって福浦断層の可能性がある新たな地層が見つかり、 今後詳しく調査するため最終報告の提出を、9月末から12月下旬に変更したということです。

 なお、北陸電力では調査が遅れた事について、「データをしっかり積み重ねることが大事だ」と説明しています。

▲補足、感想など

 どこが核心だろう。
 発見された「断層」が活断層か否か—ということか。
 もっと、狭くいえば、今後50年以内くらいの間に動く可能性があるのかないのか—ということだろう。

 これはなぁ、と思う。
 上の津波高さの想定と同じだ。

 最大の場合を考えれば、この50年以内に動くかもしれない。

 でも、断層なんて、記事にもあるように、数万年~数十万年の単位の中で動く動かない—とかを調べているものだ。
 10年~50年なんて単位では、考えることは不可能だ。
 また、実験室で繰り返し実験できるというものではない。だから、上で書いた50年くらいの単位の中でどうなるこうなる—と言える程、学問として精度が高くない。
 それを無理をして、理学的な科学者の意見を言わそうとしている。

 これは、工学的な見地というか視点でものを考えるべきだろう。

 指摘された断層が50年以内に動く可能性は、極めて低いが、仮にこの断層で上下・左右にずれたとしても、このくらいまでのズレには対応できますよ。また、危険な箇所については、バックアップする装置を取り付けておきます。それで充分ではないですか—くらいに土木技術者、建築技術者が言えばいいこと。

 だから。
 理学的な科学者がいう活断層かそうではないか—ということは大して意味がない。

 事実、18年位前に発生した阪神大震災でも地盤がずれたのは数十センチくらいであったろう。1mを越えたという話は聞いていない。

 かりに数十センチ、この断層面に沿ってズレたとしても、原発内の装置に危険が及ばないように対応策を考えておけばいいことではないか。

 そう考えることができるのが技術者だし、それが工学的発想・解釈というものだ。