2015年10月27日火曜日

マンションの傾き騒動で、問題点が浮びあがってきた。

なんでもそうだが、なにか事故があって、弱い方へ弱い方へと責任を押し付けていれば、いつかはその「最弱者」から反撃を受けて、元請け会社の弱点が顕在化させられる。

 そのあたり、余程用心しなければ、自分で自分の首を締めるようなものだ。

 以下、新聞から抜粋。

 神奈川・横浜市のマンションで、くいのデータが偽装され、建物が傾いた問題で、国土交通省が、元請けの三井住友建設による設計段階でミスがあった可能性もあると、調査を始めている。

 旭化成建材のもとで、くい打ちに携わったことのある元現場責任者が、取材に応じ、「設計の段階で問題があった」と指摘。
 元現場責任者は「(不正は)わたし自身もやっておりますし、何十人も同じことをやるのは当たり前ですね」と話した。
 証言したのは、20年以上、くい打ちに携わった元現場責任者。

 くいが固い地盤に到達していなかった問題について、設計図に問題があったと指摘する。
 元現場責任者は「与えられた図面の通りの施工は、している。
 (くいの長さで)不足が出るのであれば、設計の段階での問題があったんではないかと、考えます」と。

 元現場責任者は、設計の問題を元請け業者などに報告しても、下請け業者が、費用を負担させられる業界の構図が問題だと指摘。
 元現場責任者は「報告をしたところでも、金銭的や工期的なもので、デメリットは下請け業者になってくるのが現状」と。

 データ改ざんの背景には、こうしたプレッシャーもあった可能性があると。


補足、感想など

 記事にある元現場責任者のいうことがすべて正しいかどうかは分からない。
 ただ、杭打ち作業及び下請け業者の立場のようなものがおおよそ理解できるであろう。

 記事にある目下騒動の旭化成建材での杭打ち作業といっても、現場の責任者が、旭化成建材の社員という訳ではあるまい。旭化成建材から仕事を請け負った、更に下請けの小企業に所属している人であろう。

 こういう重層的な仕組み、そして、単価を上げることが難しい3K仕事なのだ—ということを理解して頂きたい。

 それでも、今回のような騒動が初めて? ということは、このような環境の中で、杭打ち作業はそれなりにキチンとされているということも分かって頂きたい。

 何度でもいいたい。
 杭打ち作業というものは、地下数十メートルという不透明な環境の「自然」というものを相手にして、手探りでなされているのだ。

 そこでは、経験というものが大事な要因なのだ。
 現場で働く人達の経験と矜持というものを信じてあげて欲しい。