2024年8月30日金曜日

ディズニーが映画の方向性の転換を宣言

 

海外「日本が我々の模範だ」 ディズニーが映画の方向性の転換を宣言し日本アニメにも脚光がウォルト・ディズニー・カンパニーのボブ・アイガーCEOが先日、ニューヨークで開催された「DealBook Summit 2023」に登壇し、「自社のパートナーやクリエイティブ・チームが、ストーリーよりもメッセージを優先することを、もはや容認しないと」述べました。アイガー氏はさらに、「クリエイターたちは第一の目的が何であるべきかを見失っている。我々はまず観客を楽しませなければならない」と、ディズニー作品には方針転換が必要であることを認めています。米三大ネットワークNBCのニュース専門局CNBCは、発言の背景に、「最新アニメーション『Wish』などの不本意な興行成績など、興行上のトラブルが続いていることが、同社の業績を圧迫している」という現実があると推測しています。アイガー氏の今回の発言は海外のネット上で大きな話題となり、CNBCの記事には1300件を超えるコメントが。さらにエンタメ専門サイトなどでも拡散され、日本のアニメとの比較論も活発になっています。寄せられていた反応をまとめました。

翻訳元■

■ まさに日本のアニメがやり続けていた事だ。そして、だからこそアニメは人気になったんだよ。 +45 

■ 昔のディズニー作品は、家族で安心して観られる、まさにエンターテインメントと呼ぶに相応しいものだった。その頃に戻ってくれるなら本当に嬉しい。 +39  

■ 実際にはどちらも大事だと思うけどね。 +34 

■ そうではないから興行的に上手くいってないのでは……。特に子どもには議題を押し付けるべきじゃない。 +35 

■ 結局エンタメ作品は、面白いかどうかが全てだ! +59 

■ そもそもハリウッド全体が、「最高のストーリーは親しみやすい人間の体験から語られるもの」という鉄則を忘れているように思うんだ。 +1280

■ アイガー氏の意見に心から同意する。優れたストーリーをちゃんと作れば、メッセージは自然と伝わるものなんだよ。 +244 

■ 日本がずっと教訓を示し続けてたのになぁ…。 +5 

■ だけどジブリ映画にもメッセージ性はあるよね?もちろんストーリーも重視されてるけど。 +4 

■ ジブリは気づきを与えてくれる作品であって、価値観を押し付けるようなことはしない。 +14 

■ ジブリが伝えたいメッセージは、もっと普遍的なものであるような気がする。あくまでも私の意見だけど。 +7 

■ 日本のアニメの良さは押し付けがましくないところなんだよ。「自分たちはそう思うけどね」程度なんだ。 +5 

■ 方針転換を嬉しく思う。「ムーラン」は私のお気に入りの映画の1つだけど、もしも今の時代に作られていたとしたら、どれだけメッセージ性が強いものになってたのか、私には想像することしか出来ない……。 +7 

■ 今後はメッセージを伝えることだけに焦点を当てずに、気分が良くなるような映画を制作してください。 +43 

■ エンターテインメント性の方が大事だって、私たちはもう何年も言い続けてたのに……。 90 

■ 重要なのはメッセージ性があるかどうかじゃなくて、その内容が道徳的なものであるか、それとも独善的なものに過ぎないのかという、その差なんじゃないかなって思うけど。 +10 

■ 日本のアニメにだってメッセージ性がないわけではない。でも特にそれを指摘されることはないよね。 

■ あなたがどの作品を指してるのか分からないけど、結局は押し付けるような形ではないからでは? +4 

■ ジブリが伝えるメッセージ性って、せいぜい「自然は大事にしよう」とか、そういう基本的な価値観じゃない? +6

■ 社会にとって中立的に有益なメッセージであれば、メッセージングは問題ではないんだけどね。 +25 

■ 昔(特に90年代あたり)の日本のアニメって、むしろメッセージ性が評価されてた気が……。 +4 

■ 皮肉にも日本アニメの黄金期だな。

■ 大人向けのアニメーションっていうのが、多くのアメリカ人からすれば斬新だったから、そういうイメージがあるだけじゃないかね。

■ 素晴らしい物語には、それ自体に素晴らしいメッセージが込められてるものだ。 +15 

■ 「日本のアニメは全て良作」みたいな、このスレで散見される認識に違和感がある……。アニメはディズニー作品以上に玉石混交なのに。 

■ そもそも「アニメ」って一口に言っても、1つの会社で作られてるわけでもないしね。 

■ みんながここで言ってる「アニメ」って、俺は勝手にジブリの事だと思ってたけど。ディズニーとの対比となるとそうかなって。 +2 

■ 「モアナ」(2016年)は良かったよね。メッセージ性を感じることがなくて、ただただ素晴らしいストーリーがあって、今でも大好き。 +47 

■ 日本のアニメがエンタメ性に注力してるように見えるのは、こっちで人気があるアニメのほとんどが、ショウネン系が原作になってるからだと思う。セイネン系はもっとメッセージ性があるよ。+6 

 アイガー氏の発言内容は正しい。エンターテインメント作品においては、ストーリーこそが何よりも重要なんだ。日本アニメはその点で80年代からずっと一貫している。エンタメの面で、日本こそが我々の模範だ。 +54 

■ ディズニーの場合は、「ディズニー」を取り戻せばいいだけ。そんなに難しいことではないさ。根幹にあるものは変わってないはずだからね。 +14 

■ 日本のアニメの「メッセージ」は健全だよね。映画「鬼滅の刃」は信念を持つ事の大切さを教える作品だった。親が子どもに見せたいのはそういう作品でしょう。 +32 

■ ディズニー作品にはずっとメッセージがあったよ。素晴らしいメッセージが。ただ最近は多くの人が違和感を抱くものだったから、それが受け入れられてなかっただけ。 +109 

■ ようやくだ。僕は長い間ストーリーを重視すべきだと思ってきた。ディズニー映画は素晴らしく、偉大で、斬新で創造的なアイデアを持っていた唯一の存在だった時代があった。そして大人が子供と同じくらいディズニー映画を愛してた時代も。今こそ、それらを取り戻そうじゃないか。 +7 



▲以下、筆者の過去のブログから転記する。

20171219 なぜ、日本だけが世界で唯一独自性を保っているのか ▲答えは簡単だ。日本は2000年に垂(なんな)んとする歴史において、異民族から支配されたことがないからだ。そのために、「文化」というものが良く保存されている。あのバリエーションの豊富さをみよ。世界中で行われている「日本祭り」で、催されている「芸事」「見せもの」「食べ物」の豊富さをみよ。その歴史と文化を保持しつづけようという気持ちが、日本人を結びつけている。まぁ、それが、海外からの移民等の他者に向かって、「郷に入れば郷に従え」という強力な圧力にもなっている。ヨーロッパの祭りなんてものを見ていると分かる。祭りが一向に盛り上がらないのだ。なんだ、これは--という気分になる。ヨーロッパのように異民族どおしが血で血を洗うような歴史であると、祭りというようなものが雲散霧消してしまうのだ。文化というものは、それだけ儚(はかな)い。その「儚(はかな)い文化」を必死で守ろうという気持ちが、日本人の独自性を維持させ続けているのだ。

以下、文章から抜粋。

フランスの新聞社であるフィガロ紙が投稿した、「なぜ日本が国際化の中で、唯一独自性を守れているのか」という記事から。以下が記事の抄訳。この世界の偉大なドグマであるグローバリゼーションを拒否しながら、世界経済の三大国家の一角に位置する国が存在する。そう言われて、あなたは信じる事ができるだろうか!しかしその国は存在する。日本だ。日本は2050年までに今より数千万単位で人口が減少し、労働者の40パーセントは退職することとなる。この状況ではどのOECD加盟国も、移民の受け入れ、女性への市場開放、労働生産性の向上など、リベラル的な対処法を受け入れるだろう。それでも日本は、グローバル化に抵抗しているのだ。移民の受け入れや女性の管理職が少ない点、労働生産性が相対的に低い点は、日本の文化や伝統の側面を考慮しなければいけないだろう。移民が増えれば国に必要なバランスや調和が崩れ、伝統を失うリスクがある。女性管理職を増やせば、「"主人"」と「"家内"」のバランスが崩れる。労働生産性は、労働者の地位向上によって解決する問題だろう。グローバル化に対する抵抗は、日本を不利にはしていない。今でも日本は世界第3位の経済大国なのだ。リベラルのドクサ(臆説)からすれば、これは奇跡的な事だろう。今世界には二つの社会モデルがあると言える。1つはリベラルが主張するように、多様で個人を解放した社会。そしてもう1つは、歴史ある文化や民族の均質性に誇りを与える、自分たちのアイデンティティを大事にする社会である。おそらく日本はこの戦いに負け、リベラル派のドクサが、つまりグローバリゼーションが歴史に刻まれることになるだろう。しかし抵抗する日本の姿は、「可能性の国」であることも証明している。日本は確かに、世界初のグローバリゼーションの「実験室」なのだ。

補足、感想など 筆者は、記事にある数千万規模で人口が減少するということを信じない。単なる机上の空論で、この日本社会に混乱をもたらすという施策に反対する。話は変わるが、アメリカのディズニーと日本のアニメのどちらが、世界へ影響を与えているのか—という議論があって、日本人がコメントしていた。その一部をご紹介したい。

 --ここから--

✦ ディズニーは万人向け、子供でも楽しめるが毒はない。日本のは多種多様、いろんな人が楽しめるが受け入れられない人も。ディズニーとジブリを比べるなら分かるが、日本アニメ全部とじゃどう比較していいかもわからん。

✦ アメリカの認知度調査で、今ではディズニーよりも日本のマリオの方が圧倒的に子どもに知られている。ディズニーはこのままじゃ衰退するぞ、みたいなのアメリカで記事になってた。

✦ディズニーなければ日本のアニメもなかったからそもそも比べるものではなくね?アニメとディズニーは目指してるものも違うし別々のコンテンツとしてさらに発展すべき。

✦中国台湾朝鮮の漫画やアニメは日本の影響下にして文化圏。アートスタイルなんて丸パクリ。しかも自覚なし。

✦そもそも西洋じゃ日本のアニメは文化的な影響が強すぎるってことで法律で視聴制限かけられちゃったんですが…。西洋のメディア業界が泡吹いて法に泣きついたって言うのに、ディズニーがスゴイ?話にもならんよ。

Netflixを筆頭とした動画配信サイトがその勢力図を書き換えると思う。ディズニーは代替が利かない、いわば殿堂入り。11なら他の追随を許さないのは事実だと思う。ただ、1vs日本アニメでは母数が違いすぎる1年に何本日本アニメ作られてると思ってるんだ?250前後だぞ。しかも(したくてしてるわけではないけど)収益度外視で。一方、日本のアニメ業界は外国資本が入ったのも最近だし、そもそもディズニーが対応できない分野を数で幅広くカバーしている。インフラと知名度、英語対応が進めばまだまだ伸びる。伸びただけ、作ってる人に金がわたるようにしてあげてほしい。

✦ディズニーはディズニーで素晴らしい!比べるものではないです。日本のアニメは、独特で斬新で一生掛けても全部観れるかわからないくらい種類が豊富。大人が楽しめる作品が多いからいいね。自国でこんな素敵な文化を長年維持してもらって楽しみが沢山あるって幸せなことですよね。アニメ業界の皆さんに感謝!これからもお体に気を付けて頑張ってくださいね!心より応援しています!

✦日本のアニメが影響力が強すぎるんだよ。ディズニーで国が騒いだことある?西洋…過去視聴率100%→日本アニメ規制。南アジア…ドラえもん人気加熱→規制運動。中国…過激な日本アニメ禁止。他国の法律さえ変えてしまう日本のアニメ。

ディズニーは世界に売れる物を作っている。日本アニメは自分の作りたい物を作ってる。カネになるかどうかよりまず好きな物を作るという日本文化は世界を徐々に浸食しつつあるのは間違いない。

✦昔から世界各国で日本アニメはテレビ放映されてんだけど。ゲームやらグッズやらタイアップやら派生商品も。

✦売り方も目的も違うのにね…とはいえディズニーと日本アニメ(ジブリとその他も含む)は切磋琢磨し合う関係にあると今でも思っているし、アニメーターはお互いをリスペクトしていると信じている…のだけど、多分そういう関係すら甲乙国家には分からないんだろうな…。影響受け合ってる作品ならたくさんあるのにね。列挙してたらきりないけど。

--ここまで-- 

もう、随分昔、マンガの編集者が、日本でマンガがヒットするための条件のようなものにふれていた。曰く、「正義」と「信義」となんか—3つくらい挙げていた。それなくして、日本人の心を打つことができないのだそうな。マンガ、アニメ関連で、日本のgnp の10%を占めるほどになったという。それは、上でふれた「日本人の価値観」を世界中に撒き散らしていることでもある。



20161122 日本のアニメのガラパゴス化

君の名は—というアニメを介して、日本のアニメのガラパゴス化が顕在化したようだ。いや、宮崎さんなどのアニメで、充分にガラパゴス化は分かっていたのだ。それに追い打ちをかけるように、新海誠さんのアニメでとどめをさしたということかな。ガラパゴス化っていうのは、日本人が・日本社会が世界の水準からして「頭一つ」抜け出してしまったということに外ならない。もう、日本人は、アメリカ・ハリウッドのアニメなんて、「幼稚で」「子供っぽくて」みてられないのだ。こうして、日本人は、自然と孤立化せざるをえない。世界から理解されないことを恐れまい。孤立化することを恐れまい。日本人は、胸を張って、この孤独の道を歩き続けよう。以下、新聞から抜粋。

興行収入184億円を突破し、興行成績で11回も1位の座に輝いた『君の名は』。同作は、台湾で週末興行ランキングで初登場1位となった。さらにタイ、香港でも興行ランキングでトップを飾り、アジアで堂々の4冠を達成するという快挙を成した。しかしアメリカのニュースサイトでは酷評という報告も上がる。 『君の名は』の世界での評価はどのようなものなのか。台湾では10月に公開、3日間の興行成績ランキングで1位。台湾で公開された『君の名は』が記録を破った。さらに1110日にはタイ、香港で公開、タイでは約7000万円の興行収入を記録し1位の座をゲット。香港でも3日間の興収が約8000万円とランキング初登場1位となった。4冠という偉業を成し遂げた『君の名は』だが、一方で厳しい評価も。アメリカのニュースサイトにおいて「『君の名は』は受賞できるか?」というタイトルで記事が。記事では、「『君の名は』は受賞するだけのものをもっているか?」と疑問を呈し、 ディズニー作品の『ズートピア』やディズニー・ピクサー作品の『ファインディング・ドリー』のような候補がいるため、「受賞できない」と声が上がっていると報告。これに対し日本では、「海外でどう評価されようと『君の名は』の凄さは変わらん、気にすんな」「米国人がどう思おうがいいじゃねぇか」と、同作の良さを称賛する声が上がった。「この作品はリア充じゃないとわからない。アメリカのアニメファンは非リアが多いんだろ」 「ディズニーの方が上等だとは思わんが。アメリカ人には受けるってこと」と。ちなみに「アカデミー賞 長編アニメ映画賞」における、近年ののアニメの成績を見ると、 2016年に『思い出のマーニー』がノミネートされるもディズニー・ピクサー作品の『インサイド・ヘッド』に敗れる。15年には『かぐや姫の物語』がノミネートされ、ディズニー作品『ベイマックス』に敗退、2014年は『風立ちぬ』がディズニー作品『アナと雪の女王』に敗れる。06年にも『ハウルの動く城』がノミネートするものの、ドリームワークスの『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』が受賞。しかし2003年まで遡れば、『千と千尋の神隠し』が『リロ・アンド・スティッチ』や『アイス・エイジ』などをおさえて受賞している。過去15年間で、日本アニメのノミネートは5回、そのうち受賞が1回。ノミネートしたのは全てジブリ作品だ。 こうして見るとオスカーではディズニー作品が強いことがわかる。ただ、日本国内では、興行収入で『君の名は』よりも上に位置する米国アニメば、『アナと雪の女王』のみ。日本でディズニー作品が、無双しているわけでもない、『君の名は』がアカデミー賞の最終候補作品に入らなかったとしても、アニメ文化の違いということで、気にする必要はない。アジア圏で同作が結果を残すことは、日本アニメへの理解がある国にはすごく受け入れやすいというなのだろう。

補足、感想など

冒頭でふれた。日本の映画もアニメのもうガラパゴス化している。もう、アメリカの作品と単純に比較するという発想がおかしいのだ。アッチは、アッチ。コッチはコッチということ。また、英語と日本語の差も大きい。つまり、日本人にとって、もう、アメリカのアカデミー賞などどうでもいい—そういうところまで、日本は来てしまったということなのだ。

-ここまで-