2013年9月20日金曜日

中国からの撤退リスクが過大だと —でもなぁ。

▲中国から日本企業が撤退しようとするとき、過大な費用がかかる仕組みを中国政府がつくっている。
 確かに、撤退しづらいだろうなぁ。

 でも、これはなぁ—と思う。
 新規に中国へ入ってこようとする企業も、阻止しているということなのだ。

 中国人はそのことに気づかない。そのことが分からない。
 出て行くな—と邪魔をすることは、新規に入ってくる企業の意欲すらも失わせるのだ。

 これを—。
 近視眼的思考・短期的発想というものさ。

 以下、新聞から抜粋。

 撤退にはどのような手段があるのか、解説しておきます。
 原則的な手法は、第三者(合弁事業の場合、合弁パートナーを含みます)に対して、自社が保有する 中国の子会社の出資持分を全部譲渡することによる撤退です(以下「出資持分譲渡型撤退」)。

 そして例外的な手法は、中国の子会社を経営期間の満了前に解散・清算することによる撤退です(以下「清算型撤退」)。

 前者が原則的といえるのは、後者が中国の子会社の法人格が消滅するまで、すべての資産を 売却・処分し、すべての負債を支払い、清算するという気の遠くなるような作業をしなければ ならないことと比較して、簡便かつ迅速で、相対的にリスクが小さいからです。
 以上を前提と して、今回は労働法に関わる、経済補償について説明していきましょう。

 清算型撤退を選択する場合、従業員との労働契約は必然的に終了します。
 中国の子会社その ものが解散・清算のプロセスを経て、なくなってしまうからです。
 このような場合、中国の子会社は従業員に対して、過去の勤務年数に応じた経済補償を行う 必要があります。

 単純化して言えば、中国の子会社で過去に満X年間勤務した従業員がいる とすれば、原則として基本賃金だけではなく、各種手当や補助などすべてを含む直近12ヵ月の 賃金の平均額Yを基準として、(X×Y)が経済補償の金額となります。
 この経済補償は、日本でいうところの退職金とは異なります。

 日本の退職金は企業が任意に 導入すべきもので法律が強制するものではありませんから、日本では退職金制度を持たない 会社が多数存在します。
 対する中国の経済補償は、撤退時など一定の定められた場面では会社が支払うことを法律が 強制します。

 また、両者はそもそも、目的や趣旨が異なります。
 たとえば、日本の退職金は 最高裁判例によれば「過去の貢献に対する報奨金」という性質と、「給与の事後払い」と いう2つの性質を有します。

 これに対し、中国の経済補償は「生活補助費」という古い呼び名 から推察されるとおり、転職が難しく失業保険制度も整っていなかった時代に「会社都合で 失業した従業員の生活補助」を付与する趣旨で始まった制度です。

■自社以外の企業や人民解放軍への在籍年数分まで補償?

 さて、経済補償の支払いの基礎となる勤務年数が、中国の子会社におけるX1年だけに限定 されるのであれば、日本企業も納得できるでしょう。
 しかし、近時、1. 国有企業との合弁 会社(中外合資経営企業)や、2. 現在は日本企業が100%出資する中国の子会社(外資企業。
 独資企業という通称も使用される)になっているものの、以前は国有企業との合弁会社であった場合に、経済補償の支払いの基礎となる勤務年数の算定法は驚くべきものです。

~中略~

 中国の子会社の古参従業員数が数千人から1万人単位にのぼれば、経済補償金額は天文学的水準に 達する可能性があります。


▲補足、感想など

 まぁ、日本企業がそもそも「撤退する」と公言するかどうかも分からない。
 少しづつ、少しづつ変化していくのかもしれない。

 日本の企業は、表面的にはそんな劇的な変化を好まない。
 でも、数年経てば、「アレいつの間に」てな感じで、人がどうかなり、設備がどうかなっていくものだ。

 それよりも大切なことは。
 冒頭で触れたように、「撤退をなんとか阻止しようとする」ということは、「新規に参入しょうとする企業をも阻止している」ということなのだ。

 要するに、増えない—ということ。

 撤退を阻止するったって、徐々に徐々に「減少」していく。
 それは、日本企業だけではない。
 中国が日本企業に対してどういう姿勢をとるか--ということは、欧米の企業だって見ているのだ。

 そういう中国経済がこれからどうなるか—分かりきっているではないか。

 中国人は本質的に資本主義というものが分からない。
 彼らには、近視眼的な視点をもった短期的発想しかない。

 徐々に徐々に、中国経済はその力を失っていくだろう。