2021年4月22日木曜日

果てしなき流れの果に 小松左京著 株式会社早川書房 昭和48年3月刊行 感想

 

尊敬する小松さんの本なのだが、ようやく「読めた」という感じがする。本を買ったのが何時だったか分からない。前に読んだことがあるのかどうかも分からない。もしかしたら、50年くらい前に読んだような気もする<部分的に微かな記憶があるのだが-->。

 この本の感想を書けるほどの能力が筆者にはない。

 アマゾンのレビュウのいくつかを転記して、ボンヤリと概略をつかんでみよう。

 --ここから--

小松左京さんの小説はこれが初めてだったのですが,これまで読んだSF作品の中でこれ以上のものは無かったです.個人的に文学作品でここまで話の起伏のつけ方が良かったものは初めてでした.あくまで主観ですが前半で立ち上げられた様々な伏線が,中盤から始まるハードSF的な展開の中で回収されると思いきやどんどん膨らんでいき,それらがラストで一気に回収され終息していく.読み終わった後は自分の中に作品世界の小宇宙が広がっている感覚がありました.

一番感動したのは時空を超える前に描かれる,非常に綺麗な文学的な風景でした.途中で展開される日本的情緒感あふれる文章は,ある登場人物が経験する時の流れの中での細かな風景の描写や老いていく様が「第三者目線」で穏やかに表現されます.ここが感動的過ぎるので,後の展開にあまり興味を持たなかった人も多いと思いますが,最終的にそれを再度また「登場人物目線」で表現されより一層強く記憶に残るような構成になっていました.終止,小松左京の作品におけるモチーフの使い方のうまさに圧巻でした.本作の内容や登場人物がどうとか言うのは些細な問題で、単純にスケールが大きいSFを読むと妄想が広がっていくのが気持ち良いですね。普通の人は自分の一生が世の中のすべてですが、それより前も後も果てしない時間が流れるのだなという事を考えさせてくれました。宇宙誕生から138憶年と言っても、永遠の未来からすれば宇宙は始まってすらない状態かもしれない。今は4つの力に支配されているそうですが、それも相転移の途中であり測り知れない未来には第5,6・・の力に分離されていく。そう今もインフレーションの初期段階なのだ。 とか妄想が広がります。


 永遠に砂の落ち続ける砂時計が白亜紀の地層から見つかる第一章。実際に話題となった何百万年も前の地層からネジが見つかったというオーパーツ(Out Of Place Artifacts)に関する記述や世界中の謎の事件などを取り込むことで、「ムー」的な古代ロマンに思いをはせるワクワク感もあり、非常に面白いです。そしてこの謎に近づくものが次々と事件に巻き込まれる展開を経たあとのエピローグ(その2)における感動的な最初の結末。この前半部分の物語はサスペンス&ミステリー的で、エピローグにおける物悲しさも相まって、ある意味分かりやすく親しみやすい感動を味わえます。しかし、本作の本領が発揮されるのは、第3章から。ここからとてつもなく壮大な物語へと発展していきます。その壮大さは、読者を置いてけぼりにしてしまう感があるほどで、実は私自身も十分理解できているわけではありません。例えば、前半の主人公野々村が、なぜこのような立場の活動をとるようになったのか、その経緯が記述されていないことも原因かもしれません。ただ、いったいこの物語はどうなっていくのかという謎は謎のままでも、様々な時代や場所における個々の物語はそれぞれ面白く、この多少の難解さを含む点がかえって本作の人気の要因なのかもしれません。

 特に、本作執筆時にはまだ書かれていなかった小松左京の大傑作「日本沈没」におけるその後の日本人が、この作品ですでに書かれていたことには驚きました。「日本沈没」で田所博士が「日本人は幸せな幼児だった。日本民族はこれから大人にならなければならない。日本民族が実質的になくなってしまうのか、それとも本当に新しい意味での大人民族に大きく育っていけるのか」と述べる場面がありますが、まさに、日本という母なる土地を失った日本民族がその後どうなっていくのか、という点について、超長期的視点で書かれていて、この点非常に興味深かったです。その意味で、本作は「日本沈没第三部」としての面白みもあります。そして、前半のエピローグ(その2)とつながるエピローグ(その1)での締めくくり方の巧さに物語の余韻を味わいつつ、誰かと本作について語り合いたくなる、そんな作品です。


 この作品は何度も読んでいますが、太陽に2つの大きな黒点が発生する描写の後、途中からどういう話だったかどうしても思い出せません。何度目かの再読です。前半はミステリアス、ドラマチックな展開でスケールも大きいです。後半から複雑、単発的、観念的になり、印象に残りにくくなります。

タイムマシンが発明されて、後半ではいくつかのルールを、木っ端みじんにする企てをもくろむ組織とそれを止めようとする組織の争いが描かれますが、小競り合いばかりで、読んでいて非常に退屈です。前半でミステリアスに感じた時間、空間を飛び回る描写が、後半は全くミステリアスさがなく、2つの勢力争いの描写も緊張感や盛り上がりを欠いているので、長編ということもあり後半を読むのが本当につらいです。50年以上前の作品なのに、かなり考えて書かれていますが、何度も読んだのに後半の記憶がないのは、後半が面白くなかったからだと改めて気が付きました。星3.5、おまけして4。


SFというジャンルが好きになったのは、小学生の頃。星先生の影響だったと思う。その後、たくさん読んだわけではないが、この作品に出会ったのは高校生の頃か。その間は、ショートショートのようなものを中心に読んでいた気がする。(あまりに昔過ぎて思い出せない 笑)この作品を読み始めて、引き込まれて、読み終えた後、この本を部屋に置いておくだけで、とても怖かった記憶がある。

一度本を開けば、その中に吸い込まれ、広大な宇宙を感じたり、時空間を遥かなる未来や過去にまるでジェットコースターに乗せられて移動させられるような、そういう体験をさせられるからである。

(そんな経験をしたのは、この作品以外では無い)そして、その後、私は本を手放し、今日に至る。

再び、電子書籍としてこの手にできて嬉しい。難しくて、また頭が混乱しているけれど。その後、色々な知識が増えたせいで、ジェットコースターには乗れなかったけれど。やはり、凄い作品であると痛感した!作者のあとがきや、それが1965年に書かれていたことに驚愕した!きっと、天からのインスピレーションで書かれていった作品なんだろうと思う。ああああこんな感想しか書けない自分がもどかしい、、、、。


話の展開や構成に読みにくさや不可解な点が読んでいると途中あるが、あとがきまで読めば著者も大変な苦労と悩みのなかでを書き上げた作品なんだとわかる。その作品を生み出す苦しみを乗り越えた先の物語の終盤から結末までの流れだと理解できると、この物語のセンスの高さ、作者の作品を生み出すために起こす化学反応の奇跡的な能力を感じ、この作品に今この時、この時代、この時間に出会えたことに喜びと感謝を感じる。


本作品の著者、小松左京は、2011年に没しているが、日本を代表するSF作家であることは、誰しもが認めるところでしょう。本作品は、1965年に雑誌連載後、1966年に刊行された、著者の第4作目の長編SFです。発表後、50年以上が経過していますが、2017年の現在でも、日本を代表するSF作品としての地位を保っていると言えましょう。そんな作品を2017年の年明け早々、読んでみることとしました。物語の当初の舞台は、作品の書かれた1965年頃の日本。6千万年前の地層から、不思議な「砂時計」が発見される。それは、容器内の砂が同じレベルを保ったまま、上から下に永久に流れ続けるというものだった。やがて、この出土品に関わった学者たちが、次々と失踪したり、死亡するなど、不可解な事件が起こる。そして、その謎が解かれぬまま、物語は、未来の地球へと舞台を移す。その頃、太陽に異常現象が起こり、その影響で、地球が破滅の危機を迎えていた。滅亡の危機に瀕した人類の前に現れたのは、果たして…。この後、物語は、「宇宙と人類」という壮大なテーマへ突き進むこととなります。そこには、時空を超えた、タイムトラベルの要素も加味され、スケール感は、とてつもないものになっていき、着地点がどこになるのか、見えないまま終盤へ向かいます。それでも、時空を激しく行き来する展開に、一気読みしなたくなる構成は、期待を裏切らない出来栄えと感じました。なお、余談ですが、途中、「二十一世紀の半ば、思いもかけぬ大地震と地質変動で、日本列島がわずかな高山頂をのこして、海底にしずんで」…という記述があり、後の、これまた代表作「日本沈没」の萌芽をみることができ、思わぬ発見をしてしまいました。最後に、本作品は、発表後、50年以上経過しても、まったく古びた感じのない、SF長編小説として、今後も高い評価を受け続けるのではないでしょうか。私のような、普段あまりSFを読まない方にも大いにオススメできる長編小説と言えると思います。


大学教授の助手をつとめる主人公野々村は、教授の友人から永遠に砂の落ち続ける砂時計を見せられる。白亜紀の地層から出土されたと聞き発掘現場に向かった一行は、十億年にも及ぶ時空を超えた戦いに巻き込まれ、驚くべき世界の仕組みと対峙する事になる。全体の四分の一程の所でいきなり挟まれる、壮大で美しくも純愛に満ちたエピローグ。そこで物語の結末が先に語られ、以降の章で未来の出来事を過去に遡って展開するというネタバレのような不思議な構成ながらも、引き込まれる物語の力強さ。古墳、ピラミッドの健造技術と造型の不思議。ダーウィンの進化論のミッシングリンク。それらについてなされるSF的解釈は、何故今までその可能性を考えなかったのか自身に疑問を抱かせるに充分な説得力と、時空を超える広大なロマンスを湛えた物語として展開されます。「待ち人来たる」なんておみくじを信じたくなるような、そんな作品です。

 --ここまで--

 冒頭でふれた。筆者は、ページをめくるのが苦しかった。内容を殆ど理解できなかったこともあるだろう。

 苦しんで苦しんで、無理やりページをめくり続け、やっと最後にたどり着いた。