▲天才を育成することはできない。宮崎駿という人を見ているとつくづく感じてしまう。
※育成に取り組もうとしたこともあるが、「ことごとく失敗に終わった。宮崎に続く有望な監督を見つける、育成するその困難さを知った」と語る鈴木氏。難題は、子会社化により解決されるのか。宮崎氏は引退するのか。約1時間の会見で見えてきた「ジブリの未来」とは──。
◆会見詳報 ジブリ・鈴木社長の冒頭あいさつ ■鈴木です。いつもの映画だと気楽にしゃべれるのですが、ちょっと違うと緊張する。宮崎駿とぼくは、気がついたら出会って45年の付き合いです。とんでもない年数になってしまった。ジブリもスタートが1985年。そこから数えて38年。その中で、ジブリはどうなるのか。この問題はぼく自身が悩んできました。ジブリはもの作りという仕事をやる一方で、会社を経営しなければならなかったのですが、宮崎が82歳、ぼくが気がついたら75歳。おわかりのとおり後期高齢者。ここから先は、ぼくが75であることを自覚するなら、一種、老害、そういうことも考えなきゃいけない年齢になったなと。いったい誰にジブリを頼んだらいいか? ■ぼくらが始めたときと違っていまのジブリは、ぼくらの想像を超えて大きい存在になった。それをいきなり息子だからといって、吾朗君に全部預けちゃうのは、これは、やっぱりこちらにとって虫のいい話で、それを受けざるを得ない吾朗君にはとんでもなくしんどい話。彼も随分考えてくれました。その結果、出てきた結論が、ジブリはひとりの人間が背負うには、大きな存在になりすぎたということだった。そういう中で、ぼくらが考えたのは、この先やっていくときに、やっぱり個人ではなくて、大きな会社の力を借りないと、やっぱりうまくいかないのではないか。そうしないと、ジブリで働いている人たちも安心して働けない。そんなことをつらつら考えた次第です。そういう中で、ぼくらが抱えている問題、後継者の問題です。■ジブリと日本テレビは本当に、長いお付き合いです。ナウシカのテレビ放映から始まるんですが、お付き合いの長さたるや、40年近くなる。日本テレビさんにお願いするのは、もしかしたらご納得いただけるのではないか。これはファン含め、みなさんの、そういうお考えがあるだろうと、そう推測したわけです。というわけで今般、スタジオジブリは経営の部分を当面今の日本テレビさんにやっていただく。虫のいい話ですが、日本テレビさんに預けて、ぼくらは作品作りに没頭する。日本テレビさんからも「今まで通りジブリはやってもらって構わない。その中で両者の関係を深くしていこう」となった。
【一問一答、主な質疑】
Q 宮崎監督が会見に来ていないが、宮崎監督の受け止めは。*鈴木氏 宮崎とぼくとでつくった会社です。それを吾朗君に継いでもらいたいという考えをぼくは持ったのですが、最後まで反対したのが宮崎。なんでか。理由は簡単。宮崎という名前のもと、ジブリを支配するのは違うのではないかと。もっと広い目で、いろいろやったほうがいい。それが理由として大きかった。というわけで、宮崎は、今朝改めて今日こういうことをやると説明したのですが、彼も納得していました。吾朗が継ぐことには「おれはやっぱり反対だ」と言っていました。
Q 老害というお話もされていた。今後のアニメ製作のイメージは。*鈴木氏 経営をどなたかにやっていただきたいと、かねがね考えていた。どういう体制で作品を作るかも大きな問題だった。なかなかぼくも現場で、いろいろやってみたのですが、ことごとく失敗に終わりましてね。宮崎に続く有望な監督を見つける、育成するその困難さを知った。ひとつだけ言い訳をさせていただく。「君たちはどう生きるか」という映画をつくったが、客観的に作品をみると「これ大変だな」と思った。同じものを要求されたら、今の若い人たち作れませんよね。それを強く感じました。宮崎はいま、「君たちはどう生きるか」の興行成績をものすごく気にしている。かつてないくらいなんですよ。もし、支持してくれる人がいるのなら、企画までは考えていいかなとか、非常に謙虚にいっている。今そういう心境であることだけは間違いない。
Q 「君たちはどう生きるか」はぜいたくな映画だった。子会社化についてお金の問題は影響しているのか。*鈴木氏 ちょっとどうしようかな(笑)。ちゃんと採算は取れました。おかげさまで。7年かけて頑張ってやっても回収できると証明できた。ぼく自身、本当のことをいうと難しいと思っていたが、思いのほかそうじゃないことがでてきた。ここから始まる、海外での上映がすごい勢い。
Q 後継者の問題があったが、宮崎監督がこれからも新しい才能、人材の育成をやっていきたいという思いをもって取り組む予定なのか、宮崎監督がまた新作を作るのか。構想は。*鈴木氏 作品というのは、宮崎や高畑がやる、作家を尊重してそれを中心に映画をつくる。そういうやり方がある。もうひとつは企画。企画とは、枠を決めちゃう。ディズニーというところは、ウォルト・ディズニー亡きあと、やっぱりうまくいかなかった。あるとき、ある人が責任者になって、企画力があった。3つの方針を決めた。1、古典をやろう。クラシックだと。ただしクラシックには必ず差別が入っている。それをどうオブラートに包むか。それが大きい。2、主人公は女性である。これも決めた。それから3つめ、主題歌を大事にする。この3つを決めてやり始めた結果、ディズニーは再生しました。残念ながらこの人のことすごく好きだったけど、飛行機事故で亡くなった。だからさっき申した、企画でやるのか、あるいは作家の才能に頼るのか。ジブリはそれでいうと、やってきたつもり、宮崎や高畑は作家主義、そのほかの若い人は企画主義。基本的にはこれだとまだ思っている。
Q 製作部門を10年前に一度解散し、その後アニメーターを集めた。社員として雇用を継続してアニメを作る体制をもう一度作り直すイメージなのか。*鈴木氏 それは、要するに、そういう考えに至るまでに随分時間がかかった。作家主義なのか企画主義か。ぼくは実は、そういう人材を育てるのもひとつの才能だと思う。若干開き直りに聞こえるかもしれないが、そういう人材の育て方、ぼくと宮崎はちょっと下手ですね。これは正直に申し上げます。誰か別の人がきて、ある考え方をつくる、それによって先に行くというありようはあるのだと思います。そう思っています。
Q 製作部門のトップを招いてスタジオをつくるのか? *鈴木氏 宮崎吾朗、彼はプロデュース能力がすごいんですよ。ぼくや宮崎より吾朗君のほうが才能がある。随分説得したことあるんですが、いや自分でやりたい、と実現しませんでした。
Q 「君たちはどう生きるか」を改めてみたときにこれは若い人には作れないんじゃないか、という話があった。安定的な人件費の保障があれば若い人が作れるのか。今回の決断との関係は。*鈴木氏 本当のことを言うと、宮崎駿とぼくというのは、わがままだったんですよね。自分勝手というか。2人は好き放題なことをやった。そういうことを言うと、人材の育成、その他に関してはさぼってきました。ぼくが思うのは、ジブリは世界でも珍しい、映画しか作らない会社。その考え方を誰かがどこかで変える。若い人材を育成するというのか、育つために必要なのはテレビシリーズ。テレビシリーズで若い人に機会を与えて秀作を作ってもらう。その中ででてきたのが高畑であり、宮崎だった。その意味で本物の経営者が必要。本物の。宮崎駿だって高畑勲だって、ずいぶんテレビシリーズやっている。ぼくらも彼らとやったのはある年齢に達してから。彼らは映画を作りたかった。経営者の健全な野心があれば、諦めるのではなく可能だと思う。世界のアニメ会社はそういうことをやっている。
Q 宮崎さんの今後の企画案やほのめかしは。 *鈴木氏 本当はあるんですけど内緒です。宮崎はとにかく引退宣言を繰り返してきましたから、またかと言われると困っちゃうが、やっぱり死ぬまで、企画だけじゃなく、本当に自分が作りたい。それは理解できます。そばにいて。やれるものなら死ぬまでやりたい、命のある限り。だと思います。
<以下、日本人からの反応>
*言うほど後継者育てようとしたか?
*まぁ、懸命な判断。
*パヤオは後継者現れても素直に認めんやろ。
6: 信者も大半はパヤオの育成能力が低いって認識なんとちゃうの。
*パヤオ自身は誰の育成してもらったの?
*吾朗&米林&庵野「オレらは?」
11: 一般的にジブリ作品=パヤオ作品やからね。「あ、これパヤオじゃないんだ。じゃ見ない」みたいな。
12: >>11いうほどパヤオの作品おもろいかな。
22: >>12釣り針デカすぎ。
24: >>22ラピュタとルパン以外マジで好きじゃない。
*>>24世間一般と感性ズレてるやん。
*>>14ここまで言われたら辞めてもええやろ。駿レベルなら他の仕事いくらでもあるわ。
*>>14ホント好き。
*>>14おじいちゃんをいじめないで。
*>>14厳しいとか言われるけど、これを言って良いくらいの待遇で働かせてるからな。他の会社はジブリのアニメーターなんて人件費高いからいらないって言われてる。
*ジブリがいまいち売れなくなったのってパヤオがどうこうよりアニメはできるだけ監督が個性出さずに原作どおりやることが求められるようになったからな。一時期天下とってたシャフトも今ではハズレアニメ会社扱いやし。
*「人と違うこと」を売りにしてる人が、自分と同じ視点を持てへんやつを拒否しとる。よう考えたら無茶振りや。
*もう今は新海誠がはやおボジションやね。
29: 「カリオストロ」~「紅の豚」までのパヤオは天才。「もののけ」以降のパヤオは不完全燃焼のとクソ映画しかない。
*>>29わかる。
*>>29カリオストロもルパン映画としては駄作やろ。興業収益も大赤字だったし、パヤオ自身そのあと自分で会社作るまで干されてた。
*>>29これその後の作品はもうジブリっていう看板だけで持ち上げてる感じ。
*ポニョトトロをすごいと思うことはあっても、ただおもろいと感じる大人は稀やとは思う。
*昔のアニメって原作に対してわざと手を加えるというか監督の色を出すのが喜ばれててそれで押井守とか高橋留美子と犬猿の仲になってたりするけど。今だとそのまんまアニメにするほうが求められてるからジブリみたいな個性のある会社は要らないやろな。
36: ジブリの版権は任天堂が買えばいいのになぁ。
*>>36任天堂がジブリ持てばもうディズニーランドみたいなテーマパーク開けるよ。
*近藤喜文を使い潰さず温存できていれば。
*ジブリ作画=近藤喜文だったからな。千と千尋以降米林になって動き甘くなったよね。
41: ジブリが下請けでエヴァやったのあるけど(静止した闇の中で)アスカもレイも顔がおかしい。
*>>41「静止した闇の中で」はネルフ職員の日常パートが面白い。ゲンドウの顔がムスカっぽい。
*てことはHuluにジブリ並ぶのか期間限定とかで入れ代わりにするとか。
*後継者って発想がまずおかしい気がする。
*イチローと全く同じ動きか近い動きする後継者作ろうとして、大谷やダルマーをスルーしてるみたいな印象がある。
*パヤオが人気なのはわかるけど、誰もなんでパヤオが人気なのかは理解してなさそうなのエグいよな。
*ジブリらしい作品はもう作れないんかね。
*参考までにスタジオジブリで宮崎駿が原作担当してない作品一覧
火垂るの墓 原作:野坂昭如 魔女の宅急便 原作:角野栄子 脚本 監督:宮崎駿
おもひでぽろぽろ 原作:高畑勲 耳をすませば 原作:柊あおい 脚本:宮崎駿
ホーホケキョ となりの山田くん 原作:いしいひさいち 猫の恩返し 原作:柊あおい
ハウルの動く城 原作:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 監督:宮崎駿
ゲド戦記 原作:アーシュラ・K・ル=グウィン 借りぐらしのアリエッティ 原作:メアリー・ノートン コクリコ坂から 原作:佐山哲郎 かぐや姫の物語 原作:竹取物語 思い出のマーニー 原作:ジョーン・G・ロビンソン レッドタートル ある島の物語 原作:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット 劇場版 アーヤと魔女 原作:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ ↓以下の作品は原作、脚本、監督すべてが宮崎駿↓天空の城ラピュタ、となりのトトロ、紅の豚、もののけ姫、千と千尋の神隠し、崖の上のポニョ、風立ちぬ、君たちはどう生きるか
*追記しておくが風の谷のナウシカの製作はスタジオジブリではなく、その前の制作会社である株式会社トップクラフト。風の谷のナウシカで成功を収めた功績で徳間書店出資され設立したのがスタジオジブリ。ナウシカは原作:脚本:監督:宮崎駿。
*片渕須直監督は育成成功例じゃないか。ジブリにおらんから後継者とかじゃ全然ないけども。
*片淵監督はジブリに入る前から嫁の浦谷千恵さんとつるんで独立志向があったし。魔女の宅急便で演出を駿の横取りされた経緯があるから弟子でもなんでも無い。駿のミリ友としてジブリに残って欲しいと言われて、呆れて出て行った人だしなぁ。片淵監督の徹底的に資料を漁る習性はミリオタの性だから駿直伝でもないしねぇ。
*宮崎吾朗は自分が会社の後継者になることを固辞したそうだが。
*失敗して詰め腹を切らされるということだけは理解していたんだな。
*宮崎駿自身の才能も枯れたし、ジブリももう終わりそうだな。新海誠もボーイミーツガールやSFは書けても、子供向けのファンタジーは厳しいからジブリの後継とは言えないし。
*パヤオの後継者より高畑さんの後継者手に入れられなかったのが損失大きい。
*上に駿と鈴木が居る会社で企画力を持った若手が育つ訳ない。AIがあるとは言え経験豊富なアニメーターの仕事は幾らでもある。3DCGのモーション付けやらメディアに至ってはtubeやネット界隈からテレビ、映画まで。ジブリはこうあるべきというのを捨て去らないと制作部門は残らずただの版権管理会社になってしまうやろうな。
*パヤオは配信が大キライ。だからジブリの経営陣が資金調達の為に作品を配信で稼がなきゃいけなかった時も、パヤオにバレないように日本とアメリカを配信対象から外し、配信会社もジブリと縁が深いディズニーが絡まないNetflixにした。でも配信大キライなパヤオが亡くなった後はディズニーとの関係を深め、配信も日本とアメリカも対象に入れてディズニープラスに移籍する予定だった。が、パヤオが後継者がいないことを理由に自分が生きてる内にジブリの身売りする箏を考え始めた。困ったジブリ経営陣は、日本テレビに身売りする案をパヤオに提案。なぜなら日本テレビは既に配信でHuluと提携していて、本国Huluの大株主はディズニーグループ。いずれHuluとディズニープラスが統合することは既定路線。それならばジブリ経営陣が想定していた「パヤオ亡き後計画」も大きな変更はなくなるから。
*死ぬまで自分が一番でいいだろ。
*影響受けた人はいっぱいいるんだけどね。
*本人に作品を作る才能があっても人を育てる才能は無かっただけな話。ワンマンな人にありがちだな、そういう人ほど後継者の育成に失敗する。
*まあポニョまではええやろ、その後からやら。借り暮らしのアリエッティってどうやったんや?
*新海とかアニメ普段見ないような連中が、CG駆使した映像美が良いってチヤホヤしてるだけだし、他には稼ぎ場をなくしたチューバー連中が深掘りだの考察とかさせてる程度にしか単純なアニメを作ってないから、単純な娯楽では無くしてるでしょ。ぼーっと何も考えずに見られるアニメが無くなったのと、最近見たアニメがやたらキャラとかの雰囲気がディズニーっぽいなと思ってたら、美女と野獣のダンスパートとか丸パクリで酷すぎるって思って有料視聴だったけど、ブラウザーのタブを閉じた。ジブリみたいな絵でも話でも楽しめる作品を生み出せる人間が出てくればなぁ、惜しむらくはCGになってしまったから手書きの良さが消えたことかな。駿の才能のような時代に育てられた人間でないと、中々今の世の中みたいな物などに恵まれた時代では難しいんじゃないかな。古いものを淘汰していく日本では、生まれ持った才能に委ねられると思う。
-ここまで-