▲ふ~んと思った。
えっと、かっての大田房江さんだっけ、知事として松井さんの能力は、大田さんより、絶対「上」だぞ。
これだけ、evenki族工作組織の日刊ゲンダイが松井さんをディスる意味ってどこにあるのだろう。
さて、さて。
まず、表題の記事を見ようか。
2019/03/31(日)
大阪府議選(定数88)と大阪市議選(同83)が29日、告示された。
先に火ぶたを切った「大阪入れ替えダブル選」と並んで、大阪維新の会が政策の“一丁目一番地”に掲げる「大阪都構想」を実現できるかどうかを占う選挙だ。
大阪維新にとって、ダブル選勝利と府・市議選での議席過半数獲得が、住民投票を実施する必須条件だが、情勢は厳しい。
進退窮まったのか、大阪市長選に出馬した松井一郎前知事(55)の迷走に拍車がかかっている。
◇ ◇ ◇
「選挙でいくら良いことを言っても、口先だけじゃダメ」
29日の大阪市内の街頭演説で、こう熱弁を振るった松井前知事。
ところが、肝心の都構想の中身は、お寒いくらいにスッカスカ。
もっぱら「府と市の二重行政の解消」という従来の主張を繰り返すだけで、住民投票の実施時期を巡って“密約”を交わしていた公明党への恨み節をこう炸裂させた。
「(公明党に)約束を反故にされました。だまされたフリをしながら、(都構想について)議論、議論と言って時間を引き延ばしていれば、こんな厳しい戦いはしなくてよかったでしょうね」
「ダブル選に突っ込んだんはアンタやないんか」とツッコまれそうなものだが、迷演説はエスカレート。唐突に「知事になりたいんじゃない、市長になりたいんじゃない」と言い出したと思ったら、その直後に「知事になり、市長になり、大阪を東京に負けない大都市にしたい!」と息巻いた。
支離滅裂にもホドがある。
「今月25日に放送された大阪の府知事候補と市長候補が顔をそろえた討論番組もメチャクチャだった。
ダブル選で最も訴えたい公約を聞かれた松井さんがフリップに書き込んだのは『重大虐待ゼロ』。 『重大虐待』が何を指すのかもチンプンカンプンですし、そもそも都構想の是非を問いたくてダブル選に打って出たのではないのかと。都構想で票積みが苦しいとみて争点隠しに走ったようですが、かえって失笑を買っています」(在阪マスコミ関係者)
松井前知事がここまで迷走しているのは、本人が自覚している通りで、大阪維新が「厳しい戦い」を強いられているからだろう。
そもそも、ダブル選には「党利党略」「大阪の私物化」といった批判がついて回っていることに加え、松井前知事は八尾市出身。
「八尾のオッサンが、大阪を潰しにやってくる」と煙たがるムードが広がる一方、松井前知事への支持はちっとも広がらない。
自民党が実施したとされる直近の世論調査では、自民候補の柳本顕元大阪市議(45)とほぼ横一直線。<松井45、柳本43>と大接戦だ。
形勢逆転のカギを握るとみられるのが維新最強の“人寄せパンダ”橋下徹元大阪市長だが、街頭演説などの表立った支援は期待できそうにない。
「松井さんはかなり焦りを強め、市議や府議をギリギリ締め付けている。橋下さんとは電話で選挙対策を相談しているようですが、橋下さんが表に出てくることはなさそう。ヘタに関わるとテレビ出演がすべて飛んでしまう。新刊の売れ行きも左右しかねない。橋下さんは、ソロバンをはじくのが得意な人やからね」(府政関係者)
松井前知事がバッジを失い、維新は“沈没”となるか。
日刊ゲンダイ
▲補足、感想など
左様か—と思った。
2017年頃の松井さんの発言をみようか。
--ここから--
2017/10/24(火)
日本維新の会の松井一郎代表(大阪府知事)は23日、衆院選の結果について
「厳しい結果だ。なかなか競り合ったところで勝ちきれなかった。今の我々の力がその程度だということだ」と述べた。 大阪府庁で記者団に語った。
松井氏は、「我々のメッセージが広がっていない。(大阪では)投票率も5割を切っているし、有権者に興味、関心を持っていただける活動になっていない」と語った。
一方、維新が来年秋に目指す大阪都構想の住民投票の実施については、「全く変わりない」と強調。
「(都構想を)市民の皆さんに判断していただきたい。住民投票で前回負けているわけだから、軽く勝てるなんて思ってない」と述べた。
--ここまで--
松井さんは、愚直に現実を直視できる。
その部分が、筆者などが支持できるところだ。
松井さんなど支持率が記事となっていた。
--ここから--
2019/4/1
7日投開票の大阪府知事・市長のダブル選で、日本経済新聞社は3月29~31日に情勢を調査した。
知事選は大阪維新の会政調会長で前市長の吉村洋文氏が自民党が擁立した元副知事、小西禎一氏を先行。
市長選は維新代表で前知事の松井一郎氏が優位な戦いで、自民推薦の元市議、柳本顕氏が追い上げている。
知事選では吉村氏が知名度を生かして幅広い世代に浸透している。維新支持の9割を固めたほか、自民支持層の5割を取り込んでいる。小西氏が自民支持層で固めたのは3割程度で、立憲民主党支持層で6割、共産党支持層で5割にとどまる。
市長選では松井氏が維新支持層の9割を固めた。
柳本氏は自民支持層の5割、府本部が推薦する公明支持層の8割を固めた。
ダブル選は市を廃止し、府市を事実上統合する維新の看板政策「大阪都構想」の是非が最大の争点だ。維新と自民を中心とした「反維新」勢力が対決する構図だ。
調査は共同通信、産経新聞、毎日新聞、関西テレビ、毎日放送と共同で実施。
得られたデータのみを共有し、各社が独自に分析した。
大阪府の18歳以上の男女に乱数番号(RDD)方式による電話で実施。1225件の回答を得た。回答率は68.7%。
--ここまで--
まぁ、波乱なく、松井市長、吉村知事—というところで収まるだろう。
それにしても、日刊ゲンダイの立ち位置というものがどうも理解できない。
大阪市会議員、大阪府会議員—と人数が減少するだろうが、そのあたりの抵抗勢力が、日刊ゲンダイの後ろ盾かな。
★追記。
都構想についての高橋洋一さんの記事をみてみよう。
--ここから--
2019.3.7
「大阪ダブル選」で再び浮上した「大阪都構想」の意味するもの
高橋洋一:嘉悦大学教授
「大阪都構想」をめぐり、大阪府の松井一郎知事と大阪市の吉村洋文市長が、任期満了前にそろって辞任した上で、4月の統一地方選で知事選に吉村氏が、市長選に松井氏が「入れ替わり」で出馬、出直し選を行う可能性が高まっている。
「大阪都構想」の賛否を問うた2015年の住民投票では、僅差ながら敗北した。
その後、松井知事も吉村市長も都構想を選挙公約に掲げて当選したので、その実現は政治家の使命だと考えたのだろう。そうでなければ、両氏に投票した人を裏切ることになる。
だが4年前のリベンジはともかく、筆者は「大阪都構想」は、行政の無駄をなくすだけでなく、大阪や近畿圏の活性化の鍵を握ると考えている。
大阪府と市の「二人三脚」
功を奏したG20開催や万博誘致
「大阪都構想」というのは、大阪市を廃止して複数の特別区に分割、市の持っていた権限や財源の一部を大阪府や特別区に移譲しようというものだ。
府と市の二重行政を排除し、地域の実情に応じて小回りのきく行政サービスを実現できる。
松井知事と吉村市長は、今年6月のG20サミット首脳会議の大阪開催や2025年の大阪万博誘致、IR(カジノを含む総合型リゾート)誘致に取り組んできた。
これらの成果は、「大阪都構想」を掲げる同じ維新の会の首長が「二人三脚」で取り組んだからできたといえる。
橋下府知事と平松大阪市長時代に象徴されるように、府と市が対立したり権限を争っていたりしていたのでは、万博を誘致するという機運にもならなかっただろう。
今の「二人三脚」は、松井府知事と吉村市長の人間関係でもっているが、それを制度化するのが、「大阪都構想」である。
大阪府市が「都」であったら、「都知事」1人が奮闘すればできるのだ。
過去は対立して「府市合わせ(不幸せ)」の歴史
今まで、大阪府と大阪市の対立は大きな無駄を生んでいた。これは、「府市合わせ(不幸せ)」と呼ばれてきた。
いろいろな分野で起きたが、万博でもそういう歴史がある。
1970年の大阪万博でも、府と市の対立があったようだ。
万博会場をどこにするかで、大阪市内にすれば万博の手柄が大阪市になってしまうというので、大阪府が吹田市内に用地を取得した。
ところが、大阪府としても無理をしたようで、万博用地は万博が終わった後は、公園にすることになっていたが、府ではその管理費が捻出できず、用地の半分を国へ譲渡した。
そして、公園管理のために「日本万国博覧会記念協会」という天下り法人を国が作ることにまでなったのだ。
筆者は官僚時代に、こうした天下り法人を整理合理化する仕事をしていたが、国が「日本万国博覧会記念協会」を作り、公園管理という、本来なら地方自治体の事務を行っているのを不思議に思った。
それでその経緯を調べているうちに、「府市合わせ」にぶち当たったのだ。
最終的には2007年に「大阪府の納得が得られれば」という条件付きで、管理業務を大阪府に移す方針を閣議決定した。その後、国と大阪府で交渉し、2014年に大阪府が公園管理を行うことになった。
2025年の大阪万博でも、かつての「府市合わせ」の残滓(ざんし)がある。
万博を開催する用地は、大阪市の負の遺産である大阪北港の人工島・夢洲を活用することになっている。
この夢洲は、大阪市が、埋め立て造成をして、新都心開発に突き進んだ事業だった。
だが、市だけでは限界があった。市の運営では広域的な発想のしようがないために、結局、開発は頓挫し、ゴーストタウン化した。
今回、大阪府や市が違うのは、誘致の段階から連携し、交通機関の整備も、関空から夢洲、夢洲から京都への直行便を構想し、この動線を生かして、近畿圏を活性化しようとしていることだ。
こうした発想や取り組みは従来の「府市合わせ」では考えられなかった。
広域的な地域の発展政策を行う上でも、「大阪都構想」は合理的なのだ。
「出直しダブル選挙」が行われて、もし松井氏と吉村氏のどちらかが敗れれば、当面のG20首脳会議は実施されるだろうが、万博とIRの雲行きは怪しくなるだろう。
そうなると夢洲はゴーストタウンのままであり、将来の大阪の発展も望めなくなる可能性がある。
今回のダブル選挙はまさに大阪のみならず近畿圏が活性化するかどうかの今後の大きな岐路になるだろう。
行政の最適規模を考えれば
大阪市は大き過ぎる
もともとは「大阪都構想」の理論的な基盤は、都市の最適規模論がある。
その前提として、行政には、決定や自治などをできるだけ小さい単位で行い、できないことだけをより大きな単位の自治体にゆだねるという「補完性の原則」というものがあり、「現場に近いほどいい」となる。
つまりゴミ収集、保健所などは基礎的な自治体(市町村)、上下水道や公共交通などの広域的なインフラは広域(都道府県)、外交・防衛などは国という役割分担になる。
基礎的な自治体の最適規模は、人口で30~50万人程度というのが、行政の定説である。
この観点から考えれば、人口260万人の大阪市は大き過ぎる。
政令都市制度自体が、そもそも最適規模から逸脱しているが、大阪府と大阪市の歴史的な関係は両者が過度に競い合うことで、理想的な「補完性原則」からほど遠いものだった。
「大阪都構想」は2015年の住民投票で否定されたが、よりよい制度を目指し、大都市制度として、総合区(大阪市を残して市内を8つの総合区に再編)と、特別区(大阪市を廃止して4つの特別区に分割)の設置する案が継続的に検討されてきた。
大阪府・市は昨年11月16日、広域行政の課題を話し合う「副首都推進本部会議」で「大阪都構想」の経済効果を取り上げた。都構想の反対派、会議を欠席し議論すら阻んでいる。
この試算の内容は、大阪市のホームページに掲載されている(http://www.city.osaka.lg.jp/fukushutosuishin/cmsfiles/contents/0000441/441469/houkokusyo.pdf)。
試算は筆者が属する大学の研究者が行ったものだ(筆者は関わっていない)。
その内容をみると、基礎的自治体の最適規模論から考えれば、大阪市は過大であり、民意への即応性がある特別区のほうが最大で1兆円程度も経済効果で優れていることが、定量的・客観的に示されている。
そこでは標準的な分析手法が用いられており、一般的な研究者なら同様の結論となるだろう。
行政施設の「過小供給」解消
近畿圏の活性化につながる
この試算でわかったのは、大阪市が最適規模より過大だという一般論だが、個別の行政サービスの分野で、大阪市が過大で、行政施設が過小供給になっていることは明らかだ。
本コラムでも、例えば、清掃工場については、2015年5月15日付『藤井教授に再反論する 「大阪都構想」は都市経営として合理的だ』で論じた。
また児童相談所については2019年2月21日付『「野田市女児虐待死事件」が浮き彫りにした行政の「欠落」』で、取り上げているので、参考にしてもらいたい。
だが、「大阪都構想」は、こうした行政の最適規模論にとどまらず、府と市が無用な対立で消耗するのでなく、広域的な地域の発展などを構想できる統治機構の改革でもあるのだ。
--ここまで--
★追記。
都構想についての高橋洋一さんの記事をみてみよう。
--ここから--
2019.3.7
「大阪ダブル選」で再び浮上した「大阪都構想」の意味するもの
高橋洋一:嘉悦大学教授
「大阪都構想」をめぐり、大阪府の松井一郎知事と大阪市の吉村洋文市長が、任期満了前にそろって辞任した上で、4月の統一地方選で知事選に吉村氏が、市長選に松井氏が「入れ替わり」で出馬、出直し選を行う可能性が高まっている。
「大阪都構想」の賛否を問うた2015年の住民投票では、僅差ながら敗北した。
その後、松井知事も吉村市長も都構想を選挙公約に掲げて当選したので、その実現は政治家の使命だと考えたのだろう。そうでなければ、両氏に投票した人を裏切ることになる。
だが4年前のリベンジはともかく、筆者は「大阪都構想」は、行政の無駄をなくすだけでなく、大阪や近畿圏の活性化の鍵を握ると考えている。
大阪府と市の「二人三脚」
功を奏したG20開催や万博誘致
「大阪都構想」というのは、大阪市を廃止して複数の特別区に分割、市の持っていた権限や財源の一部を大阪府や特別区に移譲しようというものだ。
府と市の二重行政を排除し、地域の実情に応じて小回りのきく行政サービスを実現できる。
松井知事と吉村市長は、今年6月のG20サミット首脳会議の大阪開催や2025年の大阪万博誘致、IR(カジノを含む総合型リゾート)誘致に取り組んできた。
これらの成果は、「大阪都構想」を掲げる同じ維新の会の首長が「二人三脚」で取り組んだからできたといえる。
橋下府知事と平松大阪市長時代に象徴されるように、府と市が対立したり権限を争っていたりしていたのでは、万博を誘致するという機運にもならなかっただろう。
今の「二人三脚」は、松井府知事と吉村市長の人間関係でもっているが、それを制度化するのが、「大阪都構想」である。
大阪府市が「都」であったら、「都知事」1人が奮闘すればできるのだ。
過去は対立して「府市合わせ(不幸せ)」の歴史
今まで、大阪府と大阪市の対立は大きな無駄を生んでいた。これは、「府市合わせ(不幸せ)」と呼ばれてきた。
いろいろな分野で起きたが、万博でもそういう歴史がある。
1970年の大阪万博でも、府と市の対立があったようだ。
万博会場をどこにするかで、大阪市内にすれば万博の手柄が大阪市になってしまうというので、大阪府が吹田市内に用地を取得した。
ところが、大阪府としても無理をしたようで、万博用地は万博が終わった後は、公園にすることになっていたが、府ではその管理費が捻出できず、用地の半分を国へ譲渡した。
そして、公園管理のために「日本万国博覧会記念協会」という天下り法人を国が作ることにまでなったのだ。
筆者は官僚時代に、こうした天下り法人を整理合理化する仕事をしていたが、国が「日本万国博覧会記念協会」を作り、公園管理という、本来なら地方自治体の事務を行っているのを不思議に思った。
それでその経緯を調べているうちに、「府市合わせ」にぶち当たったのだ。
最終的には2007年に「大阪府の納得が得られれば」という条件付きで、管理業務を大阪府に移す方針を閣議決定した。その後、国と大阪府で交渉し、2014年に大阪府が公園管理を行うことになった。
2025年の大阪万博でも、かつての「府市合わせ」の残滓(ざんし)がある。
万博を開催する用地は、大阪市の負の遺産である大阪北港の人工島・夢洲を活用することになっている。
この夢洲は、大阪市が、埋め立て造成をして、新都心開発に突き進んだ事業だった。
だが、市だけでは限界があった。市の運営では広域的な発想のしようがないために、結局、開発は頓挫し、ゴーストタウン化した。
今回、大阪府や市が違うのは、誘致の段階から連携し、交通機関の整備も、関空から夢洲、夢洲から京都への直行便を構想し、この動線を生かして、近畿圏を活性化しようとしていることだ。
こうした発想や取り組みは従来の「府市合わせ」では考えられなかった。
広域的な地域の発展政策を行う上でも、「大阪都構想」は合理的なのだ。
「出直しダブル選挙」が行われて、もし松井氏と吉村氏のどちらかが敗れれば、当面のG20首脳会議は実施されるだろうが、万博とIRの雲行きは怪しくなるだろう。
そうなると夢洲はゴーストタウンのままであり、将来の大阪の発展も望めなくなる可能性がある。
今回のダブル選挙はまさに大阪のみならず近畿圏が活性化するかどうかの今後の大きな岐路になるだろう。
行政の最適規模を考えれば
大阪市は大き過ぎる
もともとは「大阪都構想」の理論的な基盤は、都市の最適規模論がある。
その前提として、行政には、決定や自治などをできるだけ小さい単位で行い、できないことだけをより大きな単位の自治体にゆだねるという「補完性の原則」というものがあり、「現場に近いほどいい」となる。
つまりゴミ収集、保健所などは基礎的な自治体(市町村)、上下水道や公共交通などの広域的なインフラは広域(都道府県)、外交・防衛などは国という役割分担になる。
基礎的な自治体の最適規模は、人口で30~50万人程度というのが、行政の定説である。
この観点から考えれば、人口260万人の大阪市は大き過ぎる。
政令都市制度自体が、そもそも最適規模から逸脱しているが、大阪府と大阪市の歴史的な関係は両者が過度に競い合うことで、理想的な「補完性原則」からほど遠いものだった。
「大阪都構想」は2015年の住民投票で否定されたが、よりよい制度を目指し、大都市制度として、総合区(大阪市を残して市内を8つの総合区に再編)と、特別区(大阪市を廃止して4つの特別区に分割)の設置する案が継続的に検討されてきた。
大阪府・市は昨年11月16日、広域行政の課題を話し合う「副首都推進本部会議」で「大阪都構想」の経済効果を取り上げた。都構想の反対派、会議を欠席し議論すら阻んでいる。
この試算の内容は、大阪市のホームページに掲載されている(http://www.city.osaka.lg.jp/fukushutosuishin/cmsfiles/contents/0000441/441469/houkokusyo.pdf)。
試算は筆者が属する大学の研究者が行ったものだ(筆者は関わっていない)。
その内容をみると、基礎的自治体の最適規模論から考えれば、大阪市は過大であり、民意への即応性がある特別区のほうが最大で1兆円程度も経済効果で優れていることが、定量的・客観的に示されている。
そこでは標準的な分析手法が用いられており、一般的な研究者なら同様の結論となるだろう。
行政施設の「過小供給」解消
近畿圏の活性化につながる
この試算でわかったのは、大阪市が最適規模より過大だという一般論だが、個別の行政サービスの分野で、大阪市が過大で、行政施設が過小供給になっていることは明らかだ。
本コラムでも、例えば、清掃工場については、2015年5月15日付『藤井教授に再反論する 「大阪都構想」は都市経営として合理的だ』で論じた。
また児童相談所については2019年2月21日付『「野田市女児虐待死事件」が浮き彫りにした行政の「欠落」』で、取り上げているので、参考にしてもらいたい。
だが、「大阪都構想」は、こうした行政の最適規模論にとどまらず、府と市が無用な対立で消耗するのでなく、広域的な地域の発展などを構想できる統治機構の改革でもあるのだ。
--ここまで--
未来を切り開く可能性が少しでも高い方向を選択するというのは、妥当な考え方だと思える。