▲芸術家の村上隆さんが、「クールジャパン」という表現を批判している。
まぁ、確かになぁ。
自分で「クールジャパン」なんぞというのは、恥ずかしい。
村上さんの批判が的外れだという気はない。
でもなぁ、と思う。
今、世界で戦争も知らず、平和で豊かな生活が数十年も続く国家が日本以外どこにある。
いわば、オタク文化とは、豊かで平穏な生活が数十年続くというガラパゴス化した日本だからこそ、生まれてきた成果というべきものであろう。
それをことさら卑しめる必要もあるまい…と筆者は思う。
そして、日本と同様な状況となったとき、世界中のどこでも「オタク文化」というものが花開く可能性が高かろう。
以下、記事から抜粋。
現代美術家、村上隆さんの「クール・ジャパン」に対する発言が波紋を広げている。
「クール・ジャパン」とは、日本独自のカルチャーを指す言葉で、 海外で評価を受けている動きを指す。
村上さんは、インタビューで、 『クール・ジャパン』なんて外国では誰も言っていません。うそ、流言です」と。
村上さんは、海外でフィギュアが落札されるなど、海外での評価も極めて高い。
代表作として、ルイ・ヴィトンとの「お花」など、キャラクターがあるが、 一方で「オタク文化を利用し商売している」と、日本のオタク層からは批判を受けてきた。
村上さんは、「『クール・ジャパン』なんて外国では誰も言っていません」「日本人が自尊心を満たすために勝手にでっち上げているだけ。 キャッチコピーに過ぎない」
「少しずつ海外で理解され始めてはいますが、ごく一部のマニアにとどまり、到底ビジネスのレベルに達していない」 と、海外における日本文化の現状を伝えた。
発言に対し、「炎上」した。
「ならオメーのガラクタの異常な高値はなんなんだ 」など、ネット住民から非難が殺到。
村上さんは「3・11を経て、以前のように楽して生きられない時代になった」と。
いま全長100メートルの「五百羅漢図」を製作中であることを明かした。
そして、サブカルチャーやオタク文化は「平和な日常」から生まれてきた「あだ花のような文化」であり、 日本の現状を「ぬるい」と指弾した。
▲補足、感想など
筆者は、このブログで何度もふれた。
これは、文化というもののもつ「ローカル性」ということだ。
宮崎駿さんが、いみじくも言っている。
外国の人がみてくれるのは有り難いがジブリのアニメを作る時、観客として想定しているのは「日本人」だけなのだと。
このあたりだなぁ。
他のものとして、日本画とか陶芸、俳画なんてものは、外国人にはその価値が分かるまい。
外国人に認められないから、その価値が低い…と筆者は言っているのではない。
これは日本人の、日本の独創の美なのだ。
そして、ジブリのアニメの良さが分かる人は、外国人でも言わば「日本化」「日本人化」した人だといってよかろう。
記事にある村上隆さんは、確か芸大の日本画科の出身だったはず。
上で例に挙げたとおり、外国の人間にもっともその価値を認められない日本画科であるが故に、逆に記事にあるような激しい言葉がでるのだろう。
日本という文化を背景にした何か(別に日本画にとらわれず、アニメであろうが、フィギュアであろうと構わない)で、世界に自分の力をアピールしたいと考えているのだ。
いや、ついでにもっとつっこんで言うと、世界で仮に「クールジャパン」なるものが流布されているならば、「日本画」の価値も当然認められている筈ではないか…という”うめき声”を村上さんはあげているのではあるまいか。
だからこそ、自己満足的な「クールジャパン」なんて言葉の力を借りてはいない<このあたりがぬるくないとでも言えばいいのかなぁ>…と強調しているのだ。
これは村上さんの芸術家としてのプライドを称えよう。
そういえば、先日、カナダの女子高生のスカートが短くなって、制服をやめようとかいう声が挙がったというニュースがあった。
元々、カナダ等欧米諸国には制服なんてなかったのだが、日本のアニメをみて育った世代が制服をとりいれ、まるで日本の女子高生と張り合うようなスカートの短さとなったらしい。
こういう風に、世界で「日本化」が進みつつあるとみればいいのかな。