▲ざっと読んで、日下公人さんの記憶力の良さを改めて感じた。
昭和5年生まれだから1930年、もう90才ということなのだなぁ。
それでも、これだけの記憶力を維持しているって、すごいな。
日下公人さんと渡邉哲也さんの対談なのだが、志向の方向性がよく似ていて、違和感のない対談となぅている。
筆者が感じたことは、一つだ。
ちょうど150年前に日本は、幕藩体制を放棄して、明治維新という切り替えをやって、富国強兵を初めた。
以後、150年という「坂の上のかかる雲」を眺めながら、坂道を登ってきた。
で。
坂の上にあったのは、150年前に捨て去った「江戸時代」だった—という感じ。
150年という試行錯誤をして、また、江戸時代へ辿りついたというのも奇妙な感覚ではある。
19世紀の後半だ。
西欧、アメリカなどは、産業革命という巨大な機関車が轟々という轟音を響かせ、通りすぎていた時代だ。
日本は、とにもかくにもこの産業革命の機関車に乗るために、「江戸時代」を捨てたのだ。
振り返っても、致し方のないことだった。
産業革命とはすなわち、エンジンだ。
日本人は、以後、エンジンを造り続け、自動車などでは世界最強をうたわれるまでになった。
この位置に立ち、また、行き過ぎたグローバリズムが逆行するタイミングがきた。
日本も閉じこもるとは言わないまでも、近隣の悪辣・理不尽な諸国に関わり合う必要はない。
江戸時代のように「日本人的美意識」を生かした生き方をするようになるだろう---と。
筆者が考えていた「次なる150年」という日本の新レジームの「明確な姿」が見えてきた感じがした。
日下公人さんは、以前、世界は日本人化するということを言われていた。
日本人化した国だけが繁栄するという意味だと筆者は思った。