▲逢坂剛という人の文章は、並の作家より頭一つ抜けているなぁ。この人の文章って、こうコツンと当たりがある感じがする。
著者の頭の良さというものがよく分かる。
文章もうまいというより、そのねちっこさというか、こう容器に積込めるだけ積み込んだという感じが好きだ。
例のごとく、アマゾンの評も参考としたい。
評価点は、3.6/5
ちょいと、評者の文章をみてみよう。
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スペイン内戦からフランコ将軍の独裁時代を舞台にした逢坂剛のスペインものシリーズ。
スペインと言う料理しがいのある材料に、スパイとアクションと謎解きといった風味をちりばめた短編5本を収録。デビュー初期のそれも含まれているので、荒削りな部分、冗長(説明文がちょっと多い)な部分もありますが、前述したキーワードが気になる方は楽しめるのではないかと。
熱き血が騒ぐクールなハードボイルド
スペイン内戦が終結した後外務省書記生宮川が日本帝国公使館で発見した黒こげ死体『幻のマドリード通信』、カディス最高の歌い手エル・レバンテに近づく事を命じられた日本人のギタリストその終末は『カディスからの脱出』弟の莫の代わりにカディスに向かった迎田『カディスへの密使』等々、スペインの闘争に絡めた5つの短編、短い中にもきっちり織り込んだどんでん返し、熱き血が騒ぐ、でもクールなハードボイルド、いつも長い作品が多いが、短編もうまい
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この小説を読みながら、逢坂さんという人の経歴が気になった。
ウィキペディアから抜粋してみよう。
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逢坂
剛(おうさか ごう)誕生 1943年11月1日(75歳)職業 小説家
最終学歴 中央大学法学部法律学科 ジャンル推理小説、冒険小説、時代小説
代表作 『カディスの赤い星』(1986年)『平蔵狩り』(2014年)
主な受賞歴 オール讀物推理小説新人賞(1980年)
日本冒険小説協会大賞(1986年)直木三十五賞(1987年)日本推理作家協会賞(1987年)
吉川英治文学賞(2015年)
開成高校を経て、中央大学法学部へ進学。1966年に卒業博報堂に勤務する傍ら、執筆活動を行う。17年ほど兼業した後、1997年に社屋が芝浦に移るのを機に31年勤めた同社を早期退職し、神田神保町にオフィスを構える専業作家となった。
17、8歳の頃から独習でクラシック・ギターを弾いていたが、大学時代に限界を感じる。そんな時、神保町のシャンソン喫茶で、サビーカスのフラメンコギターのレコードを聞いて衝撃を受け、カンテ・フラメンコを聴いてはまる。それがきっかけで本場のスペインにも興味をもち、1971年には2週間の有給休暇をとって初めて現地を旅行した。このことが影響し、作家になってからも『カディスの赤い星』をはじめとしてスペインを舞台にした作品を多く執筆している。
2001年から2005年まで日本推理作家協会理事長を務めた。
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数年ぐらい、スペインに滞在した経験があるのではないか---と思っていたのだが。
この文庫本の解説に逢坂さんに関することが文章となっていた。
その部分だけを抜書きしたい。
・「ともかく私にとってスペイン現代史はライフワークのテーマであり、学者や歴史家とは別の立場からスペインの断面を切り取る仕事を続けたいと考えている」
・「逢坂剛はひとつずつ丁寧に仮説を加え、さらにひねりを加えた結末を用意して読者に提示するのだ。彼のミステリの特徴は、日本人離れしたこの「ひねり」にある。つまり、あっと驚くエンディングだ。それも一度ひねって、うむなるほどと思わせたのちに、もう一度さらにひねるのである。日本のミステリ作家にあって、彼のこのひねりはほとんど一回転分多いのではなかろうか」
→この部分が、冒頭筆者が「ねちっこい」と表現した部分であり、日本人の淡白さと一線を画している感じがする。