2012年2月10日金曜日

パナソニックの赤字の意味。

▲パナソニックが今年の3月末の決算で、8000億円近い赤字となるという。
 一見、ぎょっとするのだが、なにか2009年3月末決算の時に似ていないか。

 この時とばかりにどさっと大赤字にするという「やり方」は。

 (ついでのことながら、このあたりだなぁ。欧米の企業でこういうことをした—という話を聞かない。アメリカの景気が回復基調にあるというニュースが流れるが、赤字を隠していて、近い将来、顕在化する可能性が あるのではないのか)

 (更に、ついでのことながら、ニッサンが最高益だとこのタイミングで発表していたなぁ。ニッサンだとて、震災関連等で被害を受けていなかったか。
 ゴーンさんが損失を隠しているとは思わないが、欧米系の企業の経営者との違いを感ずる。危機にあったとき、むしろ、”こんなに頑張っている”という姿を見せたい--という対応をしがちだ。対して日本の場合は、大坪社長のような対応がとれる。さぁ、結果としてどっちがいいのかなぁ)

 一つの見方は、プラズマに完全に見切りをつけたということだろう。

 以下、新聞から抜粋。

 パナソニックの大坪文雄社長は、インタビューに応じ、 赤字が続くテレビと半導体事業について 「工場の一部停止など痛みを伴う構造改革を行い、平成24年度は黒字化する」 と述べ、24年3月期の業績予想が過去最悪となる7800億円の最終赤字に 陥る要因となった両事業の黒字転換を明言。

 成長戦略の一つと位置付ける白物家電の海外展開では、新興国に加え欧米の 生産拠点拡充も示唆した。

 来年度以降に参入を計画している鮮明な画質が特徴の有機ELテレビについては 「自己完結型でいいのか知恵を絞る」と 述べた。

 主要部品となるパネルの自社生産にはこだわらない考えを示し、他社との 合弁生産や外部調達も視野に入れる。

 富士通、ルネサスエレクトロニクスとのシステムLSI(大規模集積回路)事業の 統合協議については「コメントできない」とした上で、 「半導体の赤字脱却に向け、あらゆる可能性を追求している」と。

 白物家電は 「世界的にみれば中間所得層が爆発的に増える」として、海外展開を強化する。

 白物家電の生産は日本やアジアが中心だったが、インドやブラジルといった 新興国で新工場を立ち上げるほか、「欧米でも拠点展開を考える」と述べ、 海外生産を拡大する方針を示した。

 また、消費電力などを即時に把握できる ネットワークに接続された白物家電も、早期に事業化する計画を明らかにした。

 成長戦略の一つである工場や店舗に空調や照明、太陽電池などを一括して提案する

 “まるごと事業”を推進するには、「パナソニックだけでは難しい」と説明し、 三洋電機とパナソニック電工を統合した効果を改めて強調した。

 今年度に過去最悪の最終赤字になる見通しについては 「経営責任を痛感している」と語った。
今後は「全社一丸となって成長戦略を進める」と述べ、来期も社長にとどまり 構造改革を進める考えを示唆した。


▲補足、感想など
 赤字について、「経営責任を痛感している」と言いながら、社長に留まるとはどういうことか。
 つまり、パナソニックの社内で、大坪社長を責めるという声があがっていないことを意味している。

 この赤字の理由として、プラズマ関連の償却費(後数年あったらしい)を一度に計上したためのようだ。
あれだけ液晶と競合しながら、こだわったプラズマを切るというのは、辛い決断であろうが、技術の世界の競争の厳しさからやむを得ないものだったろう。

 まぁ、そこでリーマン・ショックの後の時の決算と同じく、不採算部門の赤字を一切合切、このタイミングで費用として計上して、b/sをピカピカにし、改めて儲かりそうな新製品開発に資金をつぎ込もうという判断であろう。

 経営者としては、正しい判断だと思える。

 パナソニックの次なる飛躍を期待したい。