▲ズルをする。そして、周囲がそれを容認する。
そのことが、ドイツの技術開発力を段々弱くしていくのだ。
どうやら、不正ソフトのことはメルケル首相も知っていたようだ。
なんだ、これは。
技術の世界に、はったり、虚勢、ごまかし—なんてものは存在しない。
あるのは、ただただ「事実」のみだ。
こういう世界観というものは、錬金術以来の西欧諸国が確立したものであろう。
それが、いつの間にか、ズルというか不正を行い、そして、それを国の指導者までまきこんで、容認・擁護するようになったということだ。
どうやら、日本などを含めた新興勢力に勝てなくなった頃から、こういう傾向がでてきたのだろうな。
既得権益という「巨大な守るべきもの」があり、しかし、技術開発力では、日本を含めた新興勢力にはどうしても太刀打ちできない—そういうタイミングに、「ズル・不正」という悪魔の声が西欧諸国の指導部、技術開発責任者の耳に聞こえはじめたということだろう。
これは。
西欧諸国の「科学的精神」の衰退なのだ。
西欧諸国の「教育システム」の衰退なのだ。
牢固たる階級社会の中では改善できないことかもしれない。
しかし、それは西欧諸国の経済が破綻していくことを指し示している。
自分で蒔いた種からの果実は、自分で刈り取るしかないのだ。
以下、新聞から抜粋。
★ドイツ株急落、時価総額48兆円吹き飛ぶ-VW不正などで逆風強まる
ドイツ株は欧州債務危機以降で最悪のペースで下げ続けている。
指標のDAX指数は2期連続マイナスに向っており、
過去最高値を付けた4月から時価総額が約4000億ドル(約48兆円)吹き飛んだ。
DAX指数はユーロ反発とギリシャ危機の悪影響を背景に高値から下げ始め、中国景気減速をめぐる懸念の強まりと、
フォルクスワーゲン(VW)による排ガス検査不正発覚を背景に、下げ足を速めている。
バンクハウス・ランプのストラテジストは、「投資家らはある程度、
リセッション懸念を織り込み始めている。
中央銀行がもはや対応できないと受け止められたら、極めてネガティブな材料となるだろう」と述べた上で、
「だが、相場は中期的に下げることなく、上昇するとまだ考えている。投資家らが過剰反応したためだ」と。
DAX指数は4月に過去最高値を記録した後、9月28日までに23%下落。
期間としては
2011年12月以降で最速の下げとなった。
今四半期だけで14%値下がりするなど、その下落率は西欧の主要株価指数の中で最もきつい。
DAX指数構成銘柄の株価収益率(PER、予想収益ベース)は11.5倍に低下、2005年まで遡ると、
欧州株の指標であるストックス欧州600指数との比較で最低の水準に近づいた。
一部投資家にとってこれはドイツ株を購入するシグナルとなる。
ライファイゼン・キャピタル・マネジメントの株式部門責任者は、「不安を背景に相場が下落した場合、
当社は買い手だ」とし、「一部のドイツ銘柄を保有しており、当社のポジションに極めて満足している」と語った
▲補足、感想など
西欧諸国全体で、これら自動車会社を守り切るつもりのようだ。
また、同時に日本などへのバッシングも始まっているようだ。
--ここから--
VWの醜聞は、ドイツ人自身の醜聞
いずれにしてもこの事件は、株式市場を見てもわかる通り、問題が一企業に留まらず、ドイツ全体に波及する恐れがある。
だから、ドイツ人が戦々恐々としているのはわかるが、一つ気になったのは、ZDF(第二テレビ)のニュースに出てきた経済専門家の話。
「我々の車が世界中で認められていたのは、安いからではなく、その高品質のせいであった。
今回の事件でその品質に傷がつけば、他国のメーカーが力を増す」
今回の事件でその品質に傷がつけば、他国のメーカーが力を増す」
そこまではわかる。問題はそのあとだ。
「そうなれば、"ワンダフル! "と言いながら、他のメーカーがその隙間に入り込む。たとえば、トヨタ!」 と、トヨタを名指しで、しかも憎々しげに語ったのだった。
これは非常に示唆的だ。
すでに日本企業は、人の災いを喜ぶ悪者にされている
しかし、言っておくが、日本車も安いから売れているわけではない。安くて、しかも品質がよいから売れているのである!私はドイツでも日本車に乗っている。
ドイツ人は、おそらく私が日本車を誇りに思うのと同じく、ドイツ車に対してアイデンティティーを感じている。特に国民車VWはドイツの技術であり、ドイツ人の誇りであった。
VWの醜聞を、ドイツ人は自分自身の醜聞と感じている。
だから私の勘では、ドイツ人はこの危機を抜け出すため、ドイツの成功を妬んでドイツを陥れようとする国(←アメリカ)や、ドイツの不幸を利用する姑息な国(←日本)といった敵を見出し、久々に一致団結するような気がする。
ドイツの雇用の7分の1は、自動車とその関連産業で支えられている。
23日、ヴィンターコーン社長は早くも辞任。
この事件が、これからまだまだ深刻な問題に発展していくことは間違いない。
--ここまで--
冒頭でふれた。
★牢固たる階級社会 ★新興勢力に勝てない技術開発力 ★ズルへの傾斜そしてそれを容認する社会—---それらの西欧諸国のもつ「科学的精神の衰退」を直視せよ。
その衰退を直視しない限り、未来は見えてこない。