▲菅首相が「五輪の開催は不可能だ」と言わない限り、iocも当然、五輪を開催しないという決断はしない。当然ではないか。逆に言えば、菅首相が「五輪を開催する」と決断した以上、iocも五輪を開催するという決断をする。それでいい—と筆者は思う。田原さんが東京五輪開催についてなにかコメントをしている。以下、新聞から抜粋。
2021/06/02(水)
東京五輪の開催中止を求める声が高まる中、なぜ菅義偉首相は踏み切らないのか。ジャーナリストの田原総一朗氏は、その理由を推察する。東京五輪・パラリンピックはそれぞれ7月23日、8月24日から開催されることになっていて、開催まで2カ月を切っている。東京新聞などが合同で、5月22、23日の両日に都内の有権者に意識調査をしたところ、60.2%が東京オリパラの開催について「中止」を選択した。大会開催について、菅義偉首相は「国民の命や健康を守り、安全・安心の大会を実現することは可能」と強調しているが、これに納得できるかと問うたところ、67.2%が「納得できない」と答え、「納得できる」は13.2%だった。また、政府の新型コロナ対策については、「全く評価しない」と「あまり評価しない」を合わせると8割近くになり、「大いに評価」と「ある程度評価」は合わせて約2割という結果だった。そして、菅内閣を「支持する」と答えたのは16.1%で、「支持しない」が64.4%であった。ところが、東京都のコロナ対策では評価が分かれた。飲食店への営業時間の短縮要請、大規模商業施設への休業要請などについて、「評価する」は「大いに」と「ある程度」を合わせると46.3%で、「評価しない」は「全く」と「あまり」の合計で49.7%。政府の新型コロナ対策への評価が低いのに比べてほぼ半々と、一定の理解を得た格好だ。問題は東京五輪である。都民の多くが中止を求めているのに、IOCのジョン・コーツ調整委員長は21日に共同会見で、「今春の宣言下で五つのテスト大会が成功裏に行われた。たとえ緊急事態宣言下でも開催はイエスだ」と答えた。さらにIOCのバッハ会長も「われわれは東京五輪の開催は、犠牲を払ってでも実現する」と表明した。いずれにも国民の多くは強い不快感を覚えている。そして、日本の新型コロナ感染者数の増加に危機感を募らせて、米国政府は日本への渡航を中止するように求めている。
▲補足、感想など
田原さんって、一体なにものだろう。さて、東京五輪開催につき、どこに核心があるのだろうか。それは、「首相というポストは、日本で一番情報を多く集めることができる」ということだ。そりゃ、田原さんのいうとおり、新聞等の世論調査とかもあろう。そういうものも含めて、日本で一番多くの情報をあつめることができるのだ。それら集めた情報を分析して、菅首相は、最終的に「判断・決断」しているということを認識すべきだ。田原さんの指摘している世論調査など、単に「情報のホンの一部」にすぎない。冒頭でふれた。日本国内での最終決断者である菅首相が「五輪開催を決断」している以上、iocも当然、「五輪開催を決断」する---それでいいと筆者は思うし、支持する。
田原さんのひっかかりの多くは、コロナ対策であろう。それはギフテッド高橋洋一さんの記事をみて頂こう。
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さて、2ヵ月先の東京五輪について、中止への動きが政治問題化している。結果として筆者もそれに巻き込まれた形だが、その政治的な議論はさておき、そのときの新型コロナの感染状況はどうなっているのかを考えてみたい。まず、ワクチンの接種状況と新型コロナの感染状況の関係を見てみよう。G7諸国でみると、ワクチン接種の一定期間後、新型コロナの感染は確実に抑制されている。カナダ、フランス、ドイツは、100人当たりのワクチン接種が24回程度になると、新型コロナの新規感染率(人口比)がピークとなり、それ以降減少傾向に転じている。
★あと約1ヵ月でピークアウト:イタリアでは12回程度から減少している。これらの国では、ワクチン接種直後に一度ピークが来ているが、その後再び波が来たために、ワクチン接種が一定以上になって再びピークアウトしている。イギリスとアメリカではワクチン接種の直後から減少しているが、これは波がなかったからだろう。いずれにしても、こうしたG7諸国の例でみると、遅くとも24回程度、早ければ直後から減少になると思われる。日本は、ワクチン接種直後に一度ピークになっている。再び波が来るとしても、遅くてもワクチン接種が24回程度でピークアウトするだろう。5月27日現在で、ワクチン接種回数は100人当たり8.8回だ。1日で60万人ペースでワクチン接種が行われれば、24回まではあと約1ヵ月である。なお、この60万人ペースは、海外の事例から見れば、かなり控えめだ。実際にワクチン接種では、習熟度等がまずので、ワクチン接種回収は、初めのうちは加速度がついて増加し、そのうちに鈍化していく。日本の60万人ペースはそうした海外から事例から見れば控えめだ。これは下図をみれば日本の予測の傾きが海外と比較しても小さいことからいえる。いずれにしても、日本のケースに当てはめれば、このまま新たな波がこないと、今の減少傾向が続くだろう。もしもう一回波が来ても、遅くともあと1ヵ月以内でピークアウトするだろう。それでは、2ヵ月後はどうか。そのときには、日本では100人当たりのワクチン接種回数は40回程度になっているとしていいだろう。G7諸国の場合、新たな波が来ないと、40回接種時の新規感染率は当初ピークの75~90%減程度になる。新たな波が来ても25~50%減程度だ。
★ピークの波も小さくなる:これを単純に日本に当てはめると、直近ピーク時は5月10日前後の100万人あたり50人程度(全国で6000人程度)であるので、新たな波が来ないと、100万人当たり5~12人程度(全国で600~1500人程度)になるだろう。もし新たな波が来ても、100万人当たり25~38人程度(全国で3000~4500人程度)だろう。新たな波が来ないと劇的な改善になり、もし新たな波が来ても、いったんは悪化するが、2ヵ月後には、今より悪くなるようなことはなくなっているだろう。これらの状況を示したのが※下図(末尾で)だ。もともと日本の感染状況は欧米に比べて少ないが、ワクチンが浸透するとさらに、波は小さくなる。
予測1はあと一回波が来るとの前提で、予測2はもう波が来ないとの前提である。もう一回波が来ても、ワクチンの効果で波が消される可能性が高いと思う。こうした予測経済の常であるが、感染力が高いといわれる新株が急速に日本で拡大したらどうなるかであるが、この計算の前提になっているのは欧米の状況であり、新株が欧米でもあることを考えると、日本だけが特別の状況にならないかぎり、新株はある程度計算前提に織り込まれていると考えていいだろう。先の24日、米国務省は日本に対する渡航警戒レベルを4段階で最も厳しいレベル4に引き上げた。これがまたセンセーショナルに日本のマスコミで取り上げられた。米国の基準はかなり形式的であり、過去28日間の新規感染者数で、10万人当たり100人を超える状態が継続すると最も厳しいレベル4となるが、日本はそれに該当したが、米国や欧州連合(EU)など約150カ国が該当しているので、日本だけが適用になっているわけではない。
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もう、すでに日本の誰しもが、「コロナ後」に向かって、猛進しているのだ。