2011年5月16日月曜日

災害発生時に勾留中の容疑者をどうすべきなのか。福島地検。

▲数日、遠方へ出張しており、書き込めませんでした。

▲3月の大震災の発生時、福島地検で、拘留中の容疑者を釈放するという判断をした。

 この判断をした検事正が降格人事を受けたようだ。

 さて、今回の場合、結果として福島地検の建物は、倒壊・火災という災害に見舞われなかったのだが、火災が発生し、延焼したらどうだったのか。

 総合的な判断としては多分正しい。

 この人事を見ていると、判断はいいとして、釈放までの手続きが不十分ではないか…ということのようだ。

 ただ、実際に災害が発生した時点で、最高検に、警察に相談を求めるだけの時間的な余裕があったのか。

 追い詰められ、緊急に判断を求められたときどう判断すればいいのだろうか。

 この検事正は、自分が責任をとる・という覚悟で判断したものだろう。

 法律の不備を、検事正個人の常識で補ったということか。

 法務省は、そういう人間を責められるのか。

 以下、新聞から抜粋。

 法務省は、東日本大震災直後、福島地検が勾留中の容疑者31人を釈放した問題で、 中村明検事正を最高検検事に異動させる人事を発令。

 法務省は「(釈放に)違法性はなかったが、高検、最高検や警察との調整が不十分だっ た。

 捜査がほぼ終了したので人心一新を図った」と説明しているが、事実上の更迭とみられる。

 福島地検は震災直後、捜査遂行が難しくなったとして31人を処分保留で釈放。

 窃盗容疑で逮捕されていた女が釈放後、コンビニに侵入した容疑で逮捕されたほか、強制わいせ つ事件で逮捕された男が含まれていたことも判明した。

 31人の大半がその後、刑事処分 を終えた。

▲補足、感想など

 一見、降格人事のょうにみえるが、これは世間からの批判を受けての見掛け上のものであろう。

 数年、最高検に在任のまま、世論の落ち着くのを待って、元に戻そうという目論見であろう。

 まぁ、筆者はそれでいい…と思う。

 こんどの大震災のような災害の際、検事とかどうとかの前に人間としての常識のようなものが問われるのだ。(その意味でこの検事正はなんとも男らしい)

 確かに、結果として犯罪者をなにもせずに世間に放置した結果となった。

 逆にいえば、これだけの災害にも拘らず、容疑者達が生き延びることができたからであろう。幸運に恵まれたといっていい。

 もし、容疑者達を勾留したまま、火災の延焼で死に至らしめたとき世論はどう動くのだろうか。

 そう考えれば、この検事正の判断が間違っていたとはいえまい。

 だからこそ、最高検で「批判のほとぼりが冷めるのを待とう」という法務省の判断ではあるまいか。