2011年8月17日水曜日

ゴルバチョフさんは、資本主義が分からない。

▲ソ連が崩壊して、20年が経過した。

 ソ連時代最後のゴルバチョフさんの回顧したコメントがロシアの新聞に載った。

 彼の最後の地位はなんだっけ。

 大統領ではないしなぁ、書記長だったかな。

 ただ、筆者はゴルバチョフさんのコメントを読みながら、どうしてもこの人は資本主義というものが理解できないのだなぁ、と感じた。

 そのことは、現在のドイツで旧東ドイツの人々が、旧西ドイツの人達から、一段低くみられている理由(ちぇ、こいつら、使い物にならないなぁてな感じかな)に通じている。

 以下、ロシアの新聞から抜粋。

 旧ソビエト連邦のミハイル・ゴルバチョフ元大統領(80)は、ロシア新聞)の取材に応じ、20年前の1991819日の旧ソ連共産党強硬派によるクーデターの数週間前に、危険が及ぶ恐れがあると当時のブッシュ米大統領から忠告を受けていたことを明かした。

 また、ソ連邦崩壊を防げなかったことを悔やみ、故ボリス・エリツィン氏を批判。

 ゴルバチョフ氏はブッシュ氏から、共産党が民主改革に不満を持っているとの情報を伝えられたという。

「ブッシュ氏側から電話があった。ブッシュ氏は、モスクワのポポフ市長から得た情報について話した」

 だがゴルバチョフ氏は米大統領の発言を信用しなかった。

 ソ連国内に変革の兆候がある中、武力で権力を掌握しようとするのは「大ばか者でなければしない」決断だと考えたからだ。

 しかし、「残念ながら、彼らは本当に大ばか者だった」とゴルバチョフ氏は振り返る。

 819日のクーデターにはソ連国家保安委員会委員長や副大統領、国防相と内務相も加わった。

 黒海沿いで休暇中だったゴルバチョフ氏は軟禁され、クーデター勢力は政権獲得を表明し、民主化の時代の終焉を宣言した。

 「あの休暇をとるべきではなかった。あれは間違いだった」

 クーデターは3日後に失敗。

 その後、エリツィン氏がロシアの権力を掌握し、数か月後にソ連は解体した。

 大改革を相次いで打ち出したゴルバチョフ氏は、ソ連を葬り去る意図は一切なかったと語り、199112月にソ連を正式に解体させたエリツィン氏を厳しく批判した。

 ゴルバチョフ氏は、エリツィン氏について「彼には強い権力欲があった」と語り、「彼を、心地よい場所で水キセルでも吸えるように、バナナ共和国に大使として送っていればよかった」と。

 ブッシュ米大統領は、198993年の在任中、ゴルバチョフ氏に最も近い西側首脳の1人とされ、ロシア独立に動いたエリツィン氏への正式な支持表明も遅かった。

 米ソ大統領は、199011月に冷戦体制の終結を宣言するパリ憲章に署名。

 多くの歴史的な記念イベントに両者そろって登場した。

 ゴルバチョフ氏は当時、米国とドイツは「ソ連が崩壊すれば、その破片が自分たちに襲いかかるかもしれない」との懸念からソ連を崩壊させない方針を支持していた、と信じていたという。

「ブッシュ氏は、ウクライナやバルト海沿岸部を引きとめていた」「だが、ワシントンのほかの連中は、腕まくりをして、密かに(ソ連崩壊に向けて)少しずつ行動していた」

 198911月のベルリンの壁の崩壊からまもなく、東西ドイツ統一の機運が高まる中、ソ連は分裂した。

 バルト3国の1つ、リトアニアは19903月に独立を宣言。

 91年にはバルト海沿岸の残りの2国とウクライナが続いた。

 ゴルバチョフ氏は、ソ連を救うためには、ペレストロイカ(改革)とグラスノスチ(情報公開)を始めるのが遅すぎたかもしれないと語る。

 その一方で、19916月に西側諸国に求めた300億ドルの融資が実現していれば、ソ連は生き延びることができたかもしれないと語った。

 この融資が実現しなかった理由についてゴルバチョフ氏は、「アメリカと日本が反対したんだ」と。

▲補足、感想など

 どのあたりから。

 10年位前かなぁ、ゴルバチョフさんが、日本のテレビによく出ていた時代があった。

 その頃に、東京の地下鉄の中で目撃したとかいう人がいたなぁ。それだけ、日本の安全というものを信頼していたのだろう。

 ゴルバチョフという人が有能な政治家であることは筆者も認める。

 しかしながら、ペレストロイカ(改革)とグラスノスチ(情報公開)をもう数年早くしはじめたところで、ソ連という機構のもつ矛盾の大きさでは、順調に変革していくことは無理だ。

 そんないつ崩壊してどうなるかも分からないところにお金は貸せない。

 融資をアメリカと日本が拒絶したというのは当然だ。

 このあたりだなぁ。

 ゴルバチョフ旧書記長はいかにも恨みがましくしゃべっているが。

 そもそも旧ソ連圏では、複式簿記すらも採用していないのだ。

 お小遣い帳方式で、お金の出し入れを記録しているような国とまともな融資の話ができる訳がない。

 ここらに、ゴルバチョフ旧書記長のもっている常識では、理解できない世界があることが分かる。

 ゴルバチョフという人は、結局、ソ連時代に育ち、ソ連時代の価値観(いや、もっと古いモンゴル帝国の頃の価値観<ツァーリズム>を含めた)を持ち続けている人なのだろう。

 彼は、資本主義というものを理解できないし、理解しようともしていないのであろう。

 まぁ、いい。致し方あるまい。

 旧西ドイツの人達が、旧東ドイツの人達に対して抱いているであろう「諦観」とはこのようなものなのだろうなぁ。