2013年1月27日日曜日

どこまで円安にできるかはアメリカの意向しだい---とソロス氏。


▲ジョージソロスという人の「目の確かさ」にはいつも驚かされる。
 賢い—とか、頭がいい--とか表現すれば当っている筈だが、完全には言い表していない気がする。
 それは。
 この人、確か東欧の出身で、子供の頃、西側へ逃げてきた人だったと記憶する。
 1960年代、ベルリンの壁めぐって、東ベルリンから西ベルリンへ逃げ出す事件は、血なまぐさいものであった。
 子供の頃に、「生きるか死ぬか」という思いをした人は、その後の人生が異なる。
 「逃げ出し得た」ということは、運も良くなければならないし、頭も良くなければなるまい---鈍ければ当然死んでいるはずだ。
 まぁ、そんなことでソロスさんの判断には、「生きるか死ぬか」--という怨念がこもっている--とでもいえば、多少は近いのかな。
 いや、話がそれた。
 そのソロスさんが、日本の円安誘導に理解を示した。ただ、どこまで円安になるかはアメリカの意向次第だ—と。
 まぁ、そうだろうなぁ、と筆者も思う。

 以下、新聞から抜粋。

 投資家のジョージ・ソロス氏は、ユーロは存続し、 他の諸国が一段と拡張的な政策を推進する中で相場は上昇することになりそうだとの 見通しを示した。
 同氏は、ドイツが提唱する財政緊縮策に対して最も積極的な批判 を展開している人物の1人として知られる。

 ソロス氏は世界経済フォーラム(WEF)年次総会で、 財政緊縮を現時点で採用するのは誤った政策だとあらためて主張し、今後1、2年は 「非常に緊迫した状況」が続くと予想した。
 同氏は一方で、「通貨戦争」に各国が突入するリスクが存在し、これは欧州中央銀行 (ECB)の行動様式を変えることにつながる危険があると指摘。

 主要国はそのような対 立を回避するための合意点を見いだす必要があると訴えた。

 ソロス氏は円相場の動きについて、日本銀行の政策が「本物」であることに起因している との見方を示す一方、日本の当局が円相場をどこまで押し下げることができるかは、 米国がどの程度まで容認する意向であるかによって制限されるだろうと語った。

 さらに「ユーロは上昇し、円は下落する」機運があると述べ、「事態がどこまで進むかは分 からないが、どちらの方向に向かっているかを指摘することはできる」と付け加えた。


▲補足、感想など

 ソロスさんの発言全体をみると、「う~ん、そのまま信ずるのはあぶないなぁ」という気がする。
 それは、自分の発言が「相場」を動かす—という読みがあるからだ。
 自分の発言で「相場を動かし」て、儲ける—という場合も充分に考えられる。
 まぁ、冒頭でふれたように「決死の思い」で逃げ出してきた人だからなぁ、一筋縄ではいかない人だ。
それはそうとして。
 ソロスさんの言っていることに、筆者も賛同する部分をあげると、
あ、ドイツの財政緊縮策に反対する。
い、円が下落するが、どこまでかはアメリカの意向との綱引きだ。
 --ぐらいか。
 このブログで、今、世界で日米二強時代へ突入しつつある—と書いた。
 二強ねぇ---
 とりあえず、アメリカの本格的な復活までは---と注釈をいれようか。
 アメリカ経済がリーマンショックから完全に復旧するまでには、まだ、数年かかる。それまでは「日米二強時代」となる。
 米経済の完全復活までは、日本はかなり自由に思い通りにできる筈だ。
 円安の方向へいくとして、1ドル=100円~110円前後がアメリカとの綱引きかな。
 このあたりだろう。
 だから、ヒラリー・クリントン国務長官が、尖閣諸島の問題で、中国へ強硬発言をしたのだ。
 クリントン国務長官の発言の背景には理由があると思える。
 それは、上で書いたように、今後数年は、日米二強時代となる。
 そのタイミングで、中国と小競り合いがあって、日本の海保の隊員が死亡するというようなことがあれば、日本の世論は一気に沸騰し、国防軍の創設、憲法の改正へ踏み込み、原爆・原潜の所有へと進む可能性が高い。
 いわば、このタイミングで「日本という虎を野に放つ」ことになり、アメリカのコントロールが効かなくなる—と恐れたのだ。
 まぁ、当たりだろうなぁ。
 今、中国との紛争が発生すれば、クリントン国務長官が恐れている道筋の通りになる。
 アメリカ経済が弱まっている、そのタイミングだからこそ、更に恐れているということだな。クリントンさんは。
 ついでながら、このクリントンさんの素早い行動・決断を支えているのは、日本・日本人をよく理解しているという自信からくるものだな。
 先の大戦で、死力を尽くして戦ったが故の「理解」といえるのかもしれない。
 これに較べれば、中国の習近平さんの日本人への理解はどこか甘く、今度の反日騒動をみるごとく、最期は「どう決着をつけようか」とオロオロするばかりだ。