2021年12月19日日曜日

釈迦の読み方 増原良彦著 祥伝社 昭和57年12月刊行 感想

 

この本は、べつに仏教の解説書ではない。「彼はなにを悟り、何を語ったか」という説明文がついている。一読したが、筆者にも分かったという部分が少ない。ただ、同意したのは、「ものの見方」の部分だ。筆者はこのブログを書く意味として「目の前を過ぎてゆく現象の核心をつかめば」---と掲げている。それと通底しているのではないか--と感じた。釈迦の説かれる苦(く)の原因である煩悩をなくす方法として、八正道(はっしょうどう)という実践項目を説かれている。1.正見(しょうけん)---正しいものの見方 2.正思惟(しょうしい)--正しい思索。自己本位なものの考え方をすることなく、ものごとについての的確な判断力をもつこと 3.正語(しょうご)--正しい言語活動。嘘をつくな、という戒めは当然であるが、それよりもっと積極的に、美しい言葉を使うことが要求されている。4.正業(しょうごう)--正しい行為。正業はからだの行為について言っている。無益な殺生をせず、盗まず、不倫の行為を避けるのが、正しい行為である。5.正命(しょうみょう)--正しい生活。正しい職業につくこと。6.正精進(しょうしょうじん)--正しい努力。7.正念(しょうねん)--念とは注意力である。8.正定(しょうじょう)--精神統一である。出家者の場合は、座禅すること。

八正道の中で一番大事なのは、正見である。正しいものの見方ができるようになるには、普段から正しいことばを使い、正しい行為をし、正しい生活をし、正しい努力をつづけていかなければならない。それができて、はじめて正しいものの見方ができる。つまり、これは持ちつ持たれつの関係である。正見と正語・正業・正命・正精進—とは、車の両輪であって、二つが互いに助け合って向上していくものである。----本からの抜書であるが、この辺りは納得した。幸運の女神にぎゅと抱きしめられるためには、こういう生活態度でなければならないのだなぁとも感じた。