2011年10月14日金曜日

地震予知について、「反省」などいらない。

▲今の技術では、できないものはできない、予知できないものはできない…とはっきり言うべきではないのか。

不可能なものは不可能だ。そこに反省などという言葉はいらない。

将来的な希望としてできればいいと考えている--とでも言うべきであろう。

科学者は、不可能を可能なものにしたい…と努力するとしても、現時点で不可能なものを可能だという<まぁ、ウソだわなぁ>人間ではない。

知的正直とはそういうことであろう。

以下、新聞から抜粋。

日本地震学会で、東北大地震・噴火予知研究観測センターの松沢暢教授(地震学)は 東日本大震災の発生可能性を事前に指摘できなかったことに対し、異例の発表をした。

松沢氏は「プレート境界の固着が弱いという状況証拠と100年ほどのデータから、M7~8程度の地震しか 起きないと判断してしまった」と振り返った。

発表のタイトルは「M9の地震が発生するとは思わなかった根拠と実際にそれが発生した理由について」 古いプレート境界は固着が弱く、中規模の地震やゆっくりとした断層の滑りで、固着が解消されやすいとされる。

東北地方に沈み込む太平洋プレートは、最も古い海底の一つ。

松沢氏は「古いプレートが深くまで沈み込む場合は大きな地震は生じにくいという1970年代の理屈が定説化していた」と説明。

固着が弱いと思わせる観測事実もあった。

約100年分の測量データから、東北では数十年の間隔で発生する M7クラスの地震で、内陸にかかる力が解消されるとの解釈が可能だった。

しかし東日本大震災の本震では200キロにわたる震源域で、水圧が岩石を押し広げたことによるプレート境界の 摩擦の低下や、「滑り過ぎ」という特異な現象が起きたとされ、平均で20メートルも断層が滑る超巨大地震になった。

松沢氏は「プレートの固着が弱くても、力を全て解放する地震が生じれば境界が数十メートル動き得ることに 思い至らなかった」と悔しさをにじませた。

▲補足、感想など

記事には「反省」とか書いてあるが、松沢先生はべつに反省しているのではない。

それにしても、発表のタイトルがいいなぁ。

「M9の地震が発生するとは思わなかった根拠と実際にそれが発生した理由について」---って。

いかにも科学者らしい科学者だ。

現時点では不可能と知りつつ、地震予知というリスクの高い分野に果敢に攻め込んでいる学者なのだなぁ。

できなかったことをなぜ出来なかったか…とその失敗?の経験を後世に残そうとされているのだ。

日本という国はまだ大丈夫だ。安心した。

そういえば、先日イタリアで、地震予知ができなかったとして、地震予知を専門とする学者が裁判にかかっていたなぁ。

科学というものを真っ当に理解していない人間が関わると、こんな悲喜劇が起こるのだ。

科学に関する教育を普及させることの大事さが分かる。