▲なんというかなぁ。
仕事が少なくなって崩壊するというなら、理解できる。
でも、仕事が多くなりすぎて崩壊するということがあるか?
「崩壊する」ではなくて、「技術的なブレークスルー前夜」と考える方が真っ当であろう。
記事では宅配ボックスというような案がでている。
個人の家ごとに、防犯も考慮したようなパーソナル宅配ボックス(いや、箱かどうかも分からない。強度のあるカバーのようなものかもしれない)がすぐに出てくるさ。
以下、新聞から抜粋。
最近、宅配便のドライバー不足に対する、社会的関心が高まってきた。
トラックドライバーは全体的に不足しているが、企業間取引のトラック輸送は一般消費者との直接的な関係は薄い。
だが、ヤマト運輸や日本郵便をはじめ、宅配便はいまや日常生活に欠かせない身近な存在だ。
近年では、ネット通販の利用者が増えてきたことも、宅配便のドライバー不足に対する関心を高めている一因と思われる。
国土交通省ならびに日通総合研究所の調べでは、国内貨物総輸送量は2016年度に46億トンで前年度比0.5%減。2017年度も同0.6%減と予測されている。
このうち営業用自動車による輸送は、2016年度が29億トンで同0.4%増、2017年度は同0.0%の見通しである。
国内貨物総輸送量は微減だが、営業用自動車に限れば、微増か横ばいといった状況だ。
ただし、営業用自動車を使う宅配便をみると、2015年度の取扱個数は37億4500万個で、この10年間で27%も増えた。宅配便は年1億3100万個も増えており、その伸びがますます著しい。
■毎月毎月、ネット通販の取引先が増加
一方、経済産業省によると、2015年のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)は前年比7.6%増で、1年間に9776億円も市場が拡大した。
ここからも宅配便増加の大きな要因がネット通販の伸びであることがわかる。
実際、百数十社のネット通販会社からフルフィルメント(受注から発送・決済までの業務全般)を受託しているある物流事業者によると、「毎月2、3社のペースでネット通販の取引先が増え、それだけ出荷する宅配便の個数が増加している。
現在のところは遅滞なく配達されているが、宅配便は慢性的なドライバー不足で、ドライバー一人ひとりの負担が増しているようだ」という。
2016年12月の職業別有効求人倍率をみると、自動車運転の職業は2.70だった(厚生労働省調べ)。
これは全体の有効求人倍率である1.36の約2倍。全体的にトラックドライバーが不足しているが、なかでも宅配便のドライバー不足に拍車をかけているのが「再配達」なのだ。
不在による宅配便の再配達率は19.1%で、2割弱が再配達となっている(国交省調べ)。
前述のように、2015年度は宅配便が1億3100万個増えているので、その2割近くが再配達としたら1億5720万個増となり、ドライバーの労働量は2600万個分もよけいに運んでいるのに等しい。
この再配達こそ、宅配便の生産性を低下させている原因だ。
配達車両の走行距離の約25%が再配達のためであり、その分、CO2(二酸化炭素)の排出も多くなる。
この再配達に要する労働力は、年間9万人ものドライバー数に相当するという。
■”送料無料”でもどこかが負担している
通常のネット通販では、たいてい配達日と時間帯を無料で指定できるようになっている。
実は”時間帯”指定と”時間”指定とはまったく違う。
時間帯指定は2時間の幅で設定されているが、これは2時間という大枠の範囲内で配達するという約束であり、既定の配送コースをその時間内に回ればよい。
時間帯指定ならば、1度の訪問で配達が完了する限り、再配達というムダが生じないので、宅配便会社にとっても効率がいい。
ただし時間指定となると、ピンポイントの時間に行かなければならないため、どうしても特別料金になる。
もっとも、時間帯指定が宅配便会社にとっても都合がいいのは、利用者が指定した時間帯に在宅してこそ。
指定された時間帯に訪問しても不在ならば、商品を持ち帰って再配達することになり、それだけ宅配便会社とドライバーの負担が増してしまう。
負担が重くなっているのは、宅配便会社だけではない。
「アマゾン」や「楽天市場」など、最近のネット通販では”送料無料”のサービスが増えている。
が、これは販売業者が送料を負担するので、利用者は負担しなくてもよい、という意味だ。
結局はどこかが被らなくてはならない。
利用者は送料込みの値段で、高いか安いかを判断する。
1回分の送料は販売価格に含まれ、販売価格が高くなれば、競争上不利にならざるをえない。
ちなみに商品の不具合やサイズ、色などの問題で、利用者が返品する場合には、返品に要したコストをネット通販会社が負担して、宅配便会社に支払うのが普通。
これは返品率なども勘案して、販売価格を設定しているからと考えられよう。
消費者がモノを買うにあたり、つねに考えているのが”購買コスト”だ。
商品を購入するために要する費用であり、店に行くための交通費や移動時間、持ち帰りのための労力も含めた、トータルのコストである。
リアル店舗で購入するかネット通販で購入するかは、こうした要素の削減も含めた購買コストを判断材料に、メリットとデメリットを比較している。
ネット通販を選ぶうえで重視されるのは、何といっても時間コストである。
小さな子どものいる主婦や、仕事で帰宅の遅い単身者にとっては、時間の制約がどうしても大きい。
とはいえ、時間帯指定にしたとしても「2時間」という幅があり、その間は自宅で待っていなければならない。
到着を待ちきれずに出かければ、再配達となり、利用者にも宅配便会社にも販売業者にも、新たな負担となってしまう。
■カギを握るのは宅配ボックスの普及
この時間コストを解決する方策で今、注目されているのが、商品を受け取るピックアップポイントの活用だ。
マンションだけでなく、コンビニエンスストアや駅などに、「宅配ボックス」を設置する動きが広がっている。
非対面でピックアップできる宅配ボックスが全国に普及すれば、利用者は自分の都合で商品を受け取ることが可能で、時間コストを削減できる。
同時に宅配便会社にとっても再配達コストの削減になる。
日本の宅配便は世界的にも最高レベルといっていい。
しかしそれも、ドライバー不足や物量拡大、サービスの高度化などを受け、持続できなくなりつつある。
利用者、販売業者、宅配便会社にとって、何が望ましい形なのか。
このまま手を打たなければ、日本の物流は間違いなくパンクする。
▲補足、感想など
日本の物流は間違いなくパンクする—か。
冒頭でふれた。
仕事がなくて破綻するのは当たり前。
でも。
仕事が多すぎて破綻するか?
パンクするかもしれないが、それは技術的なブレークスルー前夜ということだ。
隘路があれば、その部分に改善・改革・新工夫というものが集中する。
このパンク寸前の物流に様々な種類の人間があつまり、様々な工夫がでてくる。
スマホを使っての、在宅確認とか、在宅しないなら、ここに預けてほしい—てなことを受けるサービスもでてくるだろう。
なんどでもいいたい。
仕事が多すぎて破綻するなんてあり得ない。
その隘路部分で技術的な水準と需要がアンバランスなだけだ。
まさに、ブレークスルー前夜なのだ。