▲どうして、経済が悪化し、不景気になろうとしている際に、増税するのだ?
麻生さんの曰くはおかしかろう。
消費税の増税に反対する。
まず、麻生さんの曰くをみてみよう。
麻生財務相が15日、衆院財務金融委員会で「日本経済の現状は消費税引き上げに十分耐えられると思っている」と述べた。政府はリーマンショック級の出来事が起きない限り10月に消費税を引き上げるとしている。
また、麻生氏は現代貨幣理論(MMT)について「日本を実験場にする気はない」との考えを改めて示した。
今の日本経済、消費税引き上げに十分耐えられる=麻生財務相
– ロイター
▲補足、感想など
日本の財政再建は完了している。
日本という国は、確かに借金も多いが、それをうわ回る資産などが存在している。
bs という視点から見れば問題ないではないか。
高橋さんの説明を繰り返そうか。
--ここから--
大阪の番組に出た。そこで、「日本経済の諸悪の根源はZ」をやった。Zとは財務省である。
筆者が強調したのは「借金1000兆円のウソ」である。
借金が1000兆円もあるので、増税しないと財政破綻になるという財務省の言い分が正しくないと指摘。
こんな借金を自分の子や孫に背負わせていいのか。借金を返すためには増税が必要だ。
財務省が1980年代の頃から、繰り返してきた。
「借金1000兆円というが、政府内にある資産を考慮すれば500兆円。政府の関係会社も考慮して連結してみると200兆円になる。これは先進国と比較してもたいした数字ではない」
財務省はテレビ関係者に対して、「資産は売れないものばかり」というレクをしている。
tさんから、「金融資産とは何ですか」と聞いてきた。
「政策投資銀行やUR都市機構などの特殊法人、独立行政法人に対する貸付金、出資金です」と答えた。
「それらを回収したらどうなるの」と聞かれたので、「民営化か廃止すれば回収ということになるが、それらへの天下りができなくなる」と答えた。
借金1000兆円。これは二つの観点から間違っている。
バランスシートの左側を見てみれば…
第一に、バランスシートの右側の負債しか言っていない。
今から20年近く前に、国のバランスシートを作る必要があった。
私は財政投融資が抱えていた金利リスクを解消するために、国のバランスシートを初めて作った。
財政が危ういという、当時の大蔵省の主張はウソだったことはすぐにわかった。
国のバランスシートは、正式版として、財務省も公表せざるを得なくなった。
今年3月に、2013年度版国の財務書類が公表されている
(http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2013/national/hy2013_gassan.pdf)。
その2013年度末の国のバランスシートを見ると、資産は総計653兆円。そのうち、現預金19兆円、有価証券129兆円、貸付金138兆円、出資66兆円、計352兆円が比較的換金可能な金融資産である。そのほかに、有形固定資産178兆円、運用寄託金105兆円、その他18兆円。
負債は1143兆円。その内訳は、公債856兆円、政府短期証券102兆円、借入金28兆円、これらがいわゆる国の借金で計976兆円。運用寄託金の見合い負債である公的年金預り金112兆円、その他45兆円。ネット国債(負債の総額から資産を引いた額。つまり、1143兆円-653兆円)は490兆円を占める。
日本政府のバランスシートの特徴を言えば、政府資産が巨額なことだ。
政府資産額としては世界一である。政府資産の中身についても、金融資産の割合がきわめて大きいのが特徴。
なお、貸付金や出資金の明細は、国の財務書類に記されているが、そこが各省の天下り先になっている。
財務省は各省庁の所管法人にも天下れるので、天下りの範囲は他省庁より広い。
財政再建は、実は完了している?
第二の問題点は、政府内の子会社を連結していないことだ。筆者がバランスシートを作成した当時から、単体ベースと連結ベースのものを作っていた。2013年度版連結財務書類として公表されている(http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2013/national/hy2013_renketsu.pdf)。
それを見ると、ネット国債は451兆円。単体ベースの490兆円よりは少なくなっている。
ただし、この連結ベースには大きな欠陥がある。日銀が含まれていないのだ。
日銀への出資比率は5割を超え、監督権限もあるので、日銀は政府の子会社である。
会計的な観点から言えば、日銀を連結対象としない理由はない。
筆者は、日銀を連結対象として含めた場合のバランスシート作ることはできる。
2013年度末の日銀のバランスシートを見ると、資産は総計241兆円、そのうち国債が198兆円である。負債も241兆円で、そのうち発行銀行券87兆円、当座預金129兆円である。
そこで、日銀も含めた連結ベースでは、ネット国債は253兆円である(2014.3.31末)。
直近ではどうなるか。直近の日銀の営業毎旬報告(https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2015/ac151220.htm/)を見ると、資産として国債328兆円、負債として日銀券96兆円、当座預金248兆円。
直近の政府のバランスシートがわからないので、概数でいえば、日銀も含めた連結ベースのネット国債は150~200兆円程度。そのまま行くと、近い将来には、ネット国債はゼロに近くなるだろう。
それに加えて、市中の国債は少なく、資産の裏付けのあるものばかりになるので、ある意味で財政再建が完了したともいえるのだ。
ここで、「日銀券や当座預金も債務だ」という反論が出てくる。
これは債務であるが、国債と比べてほぼ無利子である。しかも償還期限もない。
滑稽すぎる
「日本の財政は破綻する」論
このようにバランスシートで見ると、日銀の量的緩和の意味がはっきりする。
政府と日銀の連結バランスシートを見ると、資産側は変化なし、負債側は国債減、日銀券(当座預金を含む)増となる。
つまり、量的緩和は、政府と日銀を統合政府で見たとき、負債構成の変化であり、有利子の国債から無利子の日銀券への転換ということだ。
このため、毎年転換分の利子相当の差益が発生する(これをシニョレッジ:通貨発行益という。毎年の差益を現在価値で合算すると量的緩和額になる)。
また、政府からの日銀への利払いは納付金となるので、政府にとって日銀保有分の国債は債務でないのも同然。これで、連結ベースの国債額は減少するわけだ。
量的緩和が、政府と日銀の連結バランスシートにおける負債構成の変化で、シニョレッジを稼げるメリットがある。同時にデメリットもある。
それはシニョレッジを大きくすればするほど、インフレになる。だから、デフレの時にはシニョレッジを増やせるが、インフレの時には限界がある。
その限界を決めるのがインフレ目標である。インフレ目標の範囲内であればデメリットはないが、超えるとデメリットになる。
今のところ、デメリットはなく、実質的な国債が減少している状態だ。
こう考えてみると、財務省が借金1000兆円と言い、「だから消費増税が必要」と国民に迫るのは、前提が間違っているので暴力的な脅しでしかない。
実質的に借金は150~200兆円程度、GDP比で30~40%程度だろう。
ちなみに、アメリカ、イギリスで、ネット国債をGDP比でみよう。
アメリカで80%、65%、イギリスは80%、60%程度である。
これを見ると、日本の財政問題がすぐにでも破綻するという意見の滑稽さがわかる。
以上は、バランスシートというストックから見た財政状況であるが、フローから見ても、日本の財政状況はそれほど心配することはないというデータもある。
筆者が名目経済成長でプライマリー収支を改善でき、名目経済成長を高めるのはそれほど難しくない、財政再建には増税ではなく経済成長が必要と書いてきたことを覚えているだろう。
その実践として、小泉・第一安倍政権で、増税はしなかったが、プライマリー収支がほぼゼロとなって財政再建できた。
これは、増税を主張する財務省にとって触れられたくない事実である。
さらに、来2016年度の国債発行計画を見ると、新規に市中に出回る国債はほぼなくなることがわかる。これは、財政再建ができた状況とほぼ同じ状況だ。
こうした状態で、少しでも国債が市中に出たらどうなるのか。
金融機関も一定量の国債投資が必要なので、出回った国債は瞬間蒸発する。
つまり、とても国債暴落という状況にならないということだ。
今の国債市場は「品不足」状態
2016年度の国債発行計画(http://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2016/gaiyou151224.pdf)を見ると、総発行額162.2兆円、その内訳は市中消化分152.2兆円、個人向け販売分2兆円、日銀乗換8兆円である。
余談だが、最後の日銀乗換は、禁じ手としている「日銀引受」である。
筆者が役人時代にもあったし、今でもある。
これは、日銀の保有長期国債の償還分40兆円程度(短国を含めれば80兆円程度)まで引受可能であるが、市中枠が減少するため、民間金融機関が国債を欲しいとして、日銀乗換分を少なめにしている。
要するに、今の国債市場は、国債の品不足なのだ。
市中発行額は147兆円であるが、短国25兆円を除くと、122兆円しかない。
ここで、日銀の買いオペは新規80兆円、償還分40兆円なので、合計で120兆円。
となると、市中消化分は、最終的にはほぼ日銀が買い尽くすことになる。
民間金融機関は、国債投資から貸付に向かわざるを得ない。
これは日本経済にとっては望ましいことだ。と同時に、市中には実質的に国債が出回らないので、これは財政再建ができたのと同じ効果になる。
日銀が国債を保有した場合、その利払いは直ちに政府の納付金となって財政負担なしになる。
償還も乗換をすればいいので、償還負担もない。それが、政府と日銀を連結してみれば、国債はないに等しいというわけだ。
こういう状態で国債金利はどうなるだろうか。市中に出回れば瞬間蒸発状態で、国債暴落なんてあり得ない。なにしろ必ず日銀が買うのだから。
こうした見方から見れば、2016年度予算(http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2016/seifuan28/01.pdf)の国債費23.6兆円の計上には笑えてしまう。23.6兆円は、債務償還費13.7兆円、利払費9.9兆円に分けられる。
先進国では債務償還費は計上しない。この分は、国債発行額を膨らせるだけで無意味となり、償還分は借換債を発行すればいいからだ。
利払費9.9兆円で、その積算金利は1.6%という。
市中分がほぼなく国債は品不足なのに、そんなに高い金利になるはずない。
実は、この高い積算金利は、予算の空積(架空計上)であり、年度の後半になると、そんなに金利が高くならないので、不用が出る。それを補正予算の財源にするのだ。
マスコミはいつまで財務省のポチでいるのか
空積は過去から行われていたが、その分、国債発行額を膨らませるので、財政危機を煽りたい財務省にとって好都合なのだ。
債務償還費と利払費の空積で、国債発行額は15兆円程度過大になっている。
政府と日銀を連結したバランスシートというストック面、来年度の国債発行計画から見たフロー面で、ともに日本の財政は、財務省やマスコミ・学者が言うほどには悪くないことがわかるだろう。
にもかかわらず、日本の財政は大変だ、財政再建が急務、それには増税というワンパターンの報道ばかりである。
--ここまで--
高橋さんを潰してしまおうという画策もなされているようだ。
--ここから--
リフレ派とMMTは別物 見え隠れする財務省の目論見
2019/5/
9
MMT(現代貨幣理論)という言葉が、新聞やテレビでも取り上げられるようになっている。そうした報道(たとえば2019年5月7日記事)によれば、政府が膨大な借金を抱えても問題はないと説いている「理論」だ。
この考え方は、アメリカの主流経済学者からは批判されている。筆者も、文献を読んだが、さっぱりわからない。通常の経済理論は、誤解のないように数式モデルで構成されているが、MMTには雰囲気の記述ばかりで、まったく数式モデルがないからだ。
アメリカの主流経済学者もおそらく筆者と同じ感想であり、論評する以前の問題だろう。
一般の人には数式の有無は関係ないだろうが、専門家の間では問題である。
例えば、相対性理論を数式なしで雰囲気で説明することはできるが、数式なしでは正確なGPSは作れない。
財務省の思惑は?
リフレ派には数式モデルがある
一方、日本では、筆者を含め経済学者の一部はリフレ派といわれる。筆者は、これまで統合政府では財政再建の必要性はないとか、インフレ目標までは財政問題を気にする必要はないなどと主張してきた。
リフレ派は今から二十数年前に萌芽があるが、筆者らは、世界の経済学者であれば誰でも理解可能なように数式モデルを用意してきた。興味があれば、岩田規久男編『まずデフレをとめよ』(2003年、日本経済新聞社)を読んでほしい。数式モデルは、(1)ワルラス式、(2)統合政府、(3)インフレ目標で構成されている。
これらのモデル式から、どの程度金融政策と財政政策を発動するとインフレ率がどう変化するのかが、ある程度定量的にわかるようになっている。この定量関係は黒田日銀で採用されている。
リフレ派は数式モデルで説明するので、アメリカの主流経済学者からも批判されていないどころか、スティグリッツ、クルーグマン、バーナンキらからは概ね賛同されている。
しかし、日本では、リフレ派の主張は、しばしばMMTの主張と混同される。筆者からみると、MMTで数式モデルがないのでどうして結論が出てくるのかわからない。
冒頭で紹介した新聞報道の中で、「日本政府の借金が仮に5000兆円になっても全く問題ない」という件がある。リフレ派の数式モデルでは、そうなるとインフレ率1000%程度になり、大問題になる。
それを指摘すると、MMT論者はインフレになるまで借金をするという意味だといってくる。しかし、これもおかしい。インフレ目標2%以内という条件なら、借金5000兆円になるまでは数十年を要する話だ。数字があまりに非現実すぎるのだ。
MMTは定量的な議論に弱い
もっとも、財務省にとって、日本でMMTとリフレ派が混同されるのは好都合だ。MMTはアメリカ主流経済学者が否定し、しかも定量的な議論に弱い。つまり、財務省にとっては突っ込みどころ満載なのだ。
一方、リフレ派の議論は、アメリカ主流経済学者も賛同するし、定量的な議論の上に、財政再建は終わっているとか、財務省にとって目障りだ。
財務省からみれば、MMTを潰せば、リフレ派も自動的に抹殺できると思っているフシがある。
財務省にとって最大の悲願は、今年10月に予定されている消費増税を何がなんでも実施することだ。
国内・世界経済情勢は、先行き不安があり、消費増税には不利になりつつある。その中で、筆者の邪推だが、財務省は消費増税のために理論武装が弱いMMTを標的にし、それとともにリフレ派も葬り去りたいのかもしれない。
--ここまで--
正直、mmt
もリフレ派もよく分からない。
しかし。不景気になろうとするときに、増税するというのはどう考えても異様だ。