2019年5月7日火曜日

中国人が手塚治虫の「火の鳥」を読むんだそうな


記事を読んで、ふ~んと思った。中国人が手塚の「火の鳥」をねぇ。筆者の学生時代に発刊されて、当時、同級生の中でもかなり話題となった。とりあえず、中国人の感想を見てみようか。

・手塚治虫の「火の鳥」について語ろう。これまでなんとなく後回しにしていたが、読んでみたらまさに神作だった……!

・神作という評価には同意せざるを得ない。文明や宗教といったマクロな方面と人間の生というミクロな方面の内容を同時に、それもマンガと言う表現メディアで描いているんだからねえ

・哲学的思考をマンガできっちり描写して読ませてくるのは予想外だった。読む前はもっとこう、薄くて軽い内容だと思っていたんだが、不意の大ダメージで大変なことになった!!

・厳粛なテーマだけど面白いストーリーで通俗的なのがトンデモナイ作品だと思う。

・唯一残念なのは未完で終わってしまった所だね。読み終わってから、数十年前の手塚治虫にもっと長生きして予定されていた完結まで描き切って欲しかったと思ってしまう作品。プロットは存在したという現代編はどういうものになったのだろうか。

・最終的に全ストーリーを収束させる構想があったそうだし、見て見たかったよなあ マンガジャンルだけでなく、他のメディアの文芸作品と並べても全く遜色ないレベルの作品だよね。

・トンデモな展開も多いけど、いわゆる電波系とは違う。重厚なストーリーと表現力で描写される人間の生命と愛、宗教や魂、宇宙といった概念を描いていく叙事詩とも言える作品だ。いつのまにか引き込まれる。

・読み終わるとしばらく他の作品が浅く見えてしまうのには困った。逆に萌えや日常系作品みたいな作品の方が気楽に見れたせいで、今では萌えも大好物です。そしてその後に知る、手塚治虫が二次元萌えネタに関しても時代を先取りしまくっていたという事実……

・「火の鳥」を読んでいても、作者がわりと性癖こじらせている印象は受けたかな!

・読むなら中国国内版はオススメしない。内容が削除されているから。

・火の鳥は削除されるのも無理はないというか、子供向けではない部分多いというのを感じる。名作ではあるんだけど、単純にエログロ的な部分も多い。そしてストーリーは鬱……とまではいかないが容赦ないし、子供が読んだらトラウマになるわ。

・それがなあ……日本の学校の図書室には大体「火の鳥」が完備されていて、日本人小学生の時に初めて読んだみたいな人間が少なくないらしいぞ。この話を聞いた時、そりゃ日本では色んなマンガが出てくるわけだと思ったね。

・日本では文化的な評価が高いのかもしれんが……良いのか……?

・時代の関係でしょうがない話だけど、引っかかるのはやはり絵柄かな。パッと見ではどうしても古い、子供向けっぽい絵柄に見えてしまうからまずそこがハードルになる。

・そこは確かにあるかなあ……時代が違うだけなんだが。ただストーリーはハッキリと時代を超えているレベルだし、絵柄にある程度慣れればマンガというメディアの凄さを体験できるんだよね。

・火の鳥を読むと手塚治虫がなぜ「漫画の神様」と言われていたかが納得できるよ。いや、実は私自身この作品を読むまで昔評価されて伝説になっているだけで、今の時代に読んでも歴史的な意義くらいしか無いだろうと思っていてね……

・分かるよ。私も手塚治虫の評価ってマンガの「創始者」だからという部分が大きいと思っていた。実際に火の鳥とかを読んでようやく影響力、衝撃力というのが理解できた。手塚治虫をこっちで分かりやすく例えるなら「マンガ界の金庸」といった所だろうか?その後の作品への大きな影響や現在でもふとした時に意識される先進性など、イメージに関して重なる所があるように思う。

・手塚治虫は凄すぎる。現在のマンガ家はみんな手塚治虫の後追いで、その陰にすらたどり着いていない。彼の創作活動はまさに一生涯続いたものであり、無数の神作を生み出した。それらの作品のどれをとっても今いるその辺の漫画家なんかでは敵わないものだ。「火の鳥」はそんな手塚治虫の明作の更に頂点クラスの作品だな。

・いや、その評価はちょっと違うと思う。手塚治虫は作品の当たり外れも激しい。名作神作もあれば明らかに失敗した作品もある。もちろんそれで作家としての評価が下がるわけではないけどね。

・手塚治虫は次々と出てくる新しい才能に嫉妬して喚き散らしたり大人げない言動をしたりなんて伝説もたくさんあるよ。石ノ森章太郎や大友克洋に対してやらかした話なんかが有名。ただ真正面からその嫉妬した相手を上回ろうとして失敗するものの、結果的に名作を生み出しているのはさすがとしか言いようがない。例えば「どろろ」は水木しげるに嫉妬した結果生み出された作品だからな。

・私は手塚治虫がスゴイのは様々なジャンルに手を出して、大量の作品を生み出し続けて現代に続く日本の漫画界を構築した所だと思う。限られた数の神作を作るのではなく、大量に消費される「読める」レベルの作品と結構な数の後世に影響を及ぼす名作、そして「火の鳥」のような歴史に残る神作が手塚治虫によって生み出されたというのがトンデモナイ。

・私は「どろろ」を先に読んでいたからアイデアはスゴイけど現代では……くらいのイメージだったな。しかし「火の鳥」は現代でも十分以上に通用するわ。

・手塚治虫は外した作品も結構あるからね。だが人気が低迷して時代遅れの作家になったとされた後に「ブラックジャック」で復活したりするなど、死ぬまで新作新ジャンルの作品を描いていたりするのもスゴイ。

・「火の鳥」は昔アニメで見た時にはなんとなく「スゴイ作品」くらいに感じていたが、その後マンガの方を読んでトンデモナイ作品だと痛感した。絵柄とか内容的なハードルは高いけど、二次元ジャンルを楽しむならぜひ読んで欲しいと思う作品だよ。

・自分が昔見たアニメ版(宇宙編だったはず)はなんかホラーっぽくて怖く感じた印象がある。その後マンガ版で読んだらかなり印象が違った。マンガ版の方がストーリーが把握できていいね。未来編の人間模様や人類絶滅からのナメクジとかよくあの時代に、それもマンガで描いたもんだよなあ……

・火の鳥を読むとストーリーが強く刻み込まれると同時に、これまで見た作品への影響が思い浮かぶんだよね。今見ても古さを感じない所か新しさを感じるネタが豊富にあるし、ストーリーの構造や伏線の回収も見事。一つのエピソードが別のエピソードにつながったりする展開も多いが、現在のループ系作品とはまたちょっと違うつながり方なのが逆に新鮮に感じたりもしたな。

・ループだけでなく生命の輪廻も絡む独特なストーリーだからね。最近のループ系作品と比べて、随分と心に刻まれる作品だ。

・こっちの人間が見てすぐ影響が分かるのは復活編だと思う。「沙耶の唄」の元ネタ。人が化け物に見える中で一人のロボットだけが美女に見える発端からロビタへ至り伏線を回収するのはスゴイ。しかもロビタの初登場は最初の方に発表された未来編だ!

・影響という点に関してはちょっと分からないが、火の鳥を読むと日本の作品における「永遠の命」に対するネガティブな捉え方の理由が分かる。こんな目に遭うんなら永遠の命はキツイな!牧村とかへの罰は分からんでもないが、猿田とその子孫への罰は重すぎないか?しかも根本的原因は火の鳥だし。

・直接的に火の鳥を殺して不老不死を手に入れようとする人間はやらかし過ぎているから分からなくもないが、その周辺の被害までトンデモナイことになるよね。そして永遠に生きることの苦難をこれでもかと描写する……!

・最後の太陽編を除くと比較的良い終わり方なのは……ハッピーではないけどビターくらいなのは生命編かな。クローン人間の。異形編も短編として見たら綺麗に終わっている。
 でも火の鳥に関ると本当にロクな目に遭わんな……

・あの作品の世界観では永遠の命と永遠の苦難がセットだからな!でも永遠の命を持ってる火の鳥の上から目線はちょっと楽しそう。

・あの鳥、愉悦大好きっぽいよね。まさか愉悦の源流までも手塚治虫が……!?

補足、感想など
 う~ん。中国人って馬鹿にはできないな。日本・中国のマンガ、アニメ周辺の文章をみてみよう。

--ここから--
2005/10/31() 手塚治虫は国民栄誉賞あげたから云々というような枠に収まる存在じゃないからなあ。日本人のほとんどが触れていて、世界中に愛好者を持つ独自の文化と 兆の単位の売り上げを生み出すビジネスの巨大な水源。一人の人間に可能な最大級の影響力を持ったクリエイター。彼が日本人であったことは日本人にとって恩寵ですよ。大げさに聞こえるかもしれないが。

2012/06/24() うーん、日本社会がその条件を満たすとしても 他にもその条件を満たす社会があちこちにありそう。ことさら日本で特異に発達した理由としては弱いかな 僕は、宗教に対するある種の鷹揚さが社会にあったことともう一つは手塚という存在。この二つが、決定的に他の社会とこの社会を差別化する要因だったとみてる。

2012/12/02() 40年近く前、手塚治虫のアシスタントが、「マンガ表現でやれることは手塚先生たちが全部やっちゃったから、 おれらの活躍できる余地なんてまるでない」 ってぼやいて、手塚に「バカヤロー!」って怒鳴られてたらしい。んで 事実、その後も斬新な手法や新たな視点を開拓したマンガはいくつも出てきたワケだから、現時点では何とも言えんのよね。

177 2012/12/02()>>173 事実その後大友が出てきたからな。ただその大友に最後までライバル心を持ってたってのが手塚らしい。自身でもメビウス風の効果を使ったりしてたし

★手塚治虫や石ノ森章太郎が描くキャラクターは絵柄が古く、ストーリー自体もまた昨今の作品に比べると健全なものに見えてしまう。西洋でヒットする「かっこいい」「こうなりたい」と思わせる部分が単純にないのだ。『ブラックジャック OVA』や『メトロポリス』は放送当時わりと好評だったが、日本とは違い西洋のアニメファンはこれらの作品に”懐かしさ”を感じないが故に売れにくい。『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』は60年代アメリカで人気を博したものの、あくまで子供向けの娯楽作品として捉えられており、視聴者の大部分が日本のものであることを知らなかった。手塚の名は日本人が感じるほどに認知されてないのだ。正直言ってしまえば、新しくリブート/リメイクされたアニメの多くが面白くない。009 RE:CYBORG』は非常にサムい出来だった。もっと広く知られるべき日本の古典的作品は数多くあるが、アニメファンが求めるものを与えられない以上、西洋で人気が出るとは思えない。

<海外の反応>
・>昨今の作品に比べると健全なものに見える これな。日本じゃ手塚は「神」扱いされてるが、こっちじゃ「安いっぽい吹替があてられた子供向けアニメを作った過去の人」だもんな

・この指摘は鋭いよ。時間をムダにしたくない以上、自分が求めるものがないと分かった作品はすぐ切る人多いしねw

・確かに手塚や石ノ森を知らない世代に売るのは厳しいよなぁ〜

・↑『鉄腕アトム』が『トムとジェリー』みたく長続きしてれば状況は違ったかもですよね!結論はつまり「十代の心に響かないから」ですか・・なんか悲しいが正解だわな

20181102
 手塚治虫はいい漫画を描くためには漫画より良い映画を観ろ、良い小説を読め、良い音楽を聴けみたいなことを言ったらしいがな。あと漫画は主食じゃなくておやつという立ち位置でいいと

漢字、ひらがな、カタカナ、そしてアルファベットまで使いこなす日本。 それが広大な表現力の基礎になっている。マンガ文化がここまで成長したのは「日本語だから」という理由も大きい。「好き」「すき」「スキ」これらを言い分けることが可能な日本語。 感情や性別、年齢、キャラで使い分けられる心地良さ。文字を作るのって意外と面倒だからね。単純化の度合いが低ければ複雜化して継承が困難になるし、単純化し過ぎるとバリエーションが少なくなり表現に支障をきたす。世界の文字の多くはこのどちらかにおいて苦労しているということが伺えると思う。その点漢字は文字を作るという点においてかなり優れた文字体系だといっていい

2016/10/22()
かつてのアニメやドラマにおける「ダメな子ども」の典型的な行動といえば、「寝転がって菓子をつまみながらマンガを読む」ではないだろうか。そして、親が「くだらないものばっかり見てないで、勉強しなさい」と怒鳴るのである。最近ではマンガ愛好世代が親になったことで、子どもに理解を示したり一緒に読んだりするケースも多いが、中国ではなおも親にとってマンガは「くだらないもの」のようである。中国メディア・今日頭条は19日、「どうして中国のアニメと日本のアニメにはこれほど大きな差があるのか」とする記事を掲載した。記事は、目覚ましい発展を遂げている日本のアニメ産業が、「マンガ業」と「動画業」の2部分に分かれていると紹介している。
 記事は、日本におけるアニメ制作の流れを説明。「マンガ業」において作品をまずコンテストに出し、売れる可能性があると出版社などから見込まれて、ようやくテスト掲載が行われ、そこで良い感触が得られて、初めて雑誌の連載にたどり着くとした。そして、連載にこぎ着けても読者の反応が悪ければ、たちまち打ち切りとなり、継続的に良好な人気を保つことで、ようやく、アニメ化の話が出てくると解説。それゆえ、アニメ化される作品は、品質が保証されているのだとした。一方、中国国内では、マンガと動画の区分けがしっかりできておらず、「アニメ作品が大衆に受けるという保証がない」、「無理やり観衆に受け入れさせようとしている」状況であると論じている。また、中国のアニメ業界には「良い発展環境」が不足しているとも指摘。それは、親世代のアニメ産業に対する認知や理解の不足であるとし、「小学生のうちはアニメを見ても親に理解されるが、中学生になると『こんな年になってまだアニメか』と親が嫌な顔をする」と説明した。さらに、近所のお姉さんが美術を学びたいと親に申し出たところ、「ろくでもない」と反対されたというエピソードを紹介。青少年はもちろん、中高年層でさえマンガやアニメを愛好する人が少なくない日本とは「天地ほどの差である」とした。日本では早い時期から新聞の4コママンガが存在し、勧善懲悪の要素を持ったアニメ作品が制作されたほか、米国産のアニメも積極的にテレビ放送されたこともあり、マンガやアニメを受け入れる土壌は比較的早い段階からあったと言える。しかし、冒頭に触れた通り、日本でも今の中国と同じように親がマンガやアニメを「くだらないもの」とみなす風潮はあったのだ。中国でも今後、今のマンガ・アニメ愛好世代が親となる時代が到来する。そうなれば、社会全体のマンガやアニメに対する見方も大きく変わってくることだろう。技術や金銭で埋めることのできない時間的な差が、日本と中国のマンガ・アニメ業界には存在するのだ。決して、すぐに追いつこうと思ってはいけない。まずは「受け入れられる文化」を少しずつ作っていくことだ。

2011/02/12()
 中国のアニメはまだ幼年期だね。 悪い意味で言ってるんじゃない。映画・ドラマ・マンガ・アニメ・ゲーム・小説etc といったサブカルチャーが成熟するには、 どうしても粗製乱造の時期を通過しなければならない。中国はまだその粗製乱造の時期を迎えてないから、成熟する事ができないんだよ。

2010/07/03()
海外の取引先と商社マンのマンガの趣味が合うと言うだけで商談がスムーズに進むこともあるそうだからな。いまや寿司・相撲にならび、日本の外交の一端をになってる。 しらねー奴にはわからんだろうけど。

2010/12/01()
 世界の日本アニメの売上高1700億。マンガは1200億、キャラクター市場は6000億

2012/12/02()
日本人には、日本のマンガがやアニメを日本で堪能できれば良いので、 それが、世界で売れるのは余録に過ぎない。売れないよりは売れた方が良いけど、世界で売るのが主目的じゃないしね

2013/09/14()
クリエーターがねえ 前にも書いたけど NHKで中国での漫画事業の話がやってたけど 確か講談社が編集の人材送り込んで漫画の事業みたいなのやってたんだけど。その中国人の漫画家の書く漫画がなんというか ストレートなんだよねえ。主人公を襲う女盗賊なんだけど、その辺の理由付けがなっちゃなく日本人の編集者から、その女盗賊が何故盗賊をするのか?理由付け つまりはタメをつくれと駄目出しされてた 日本の漫画で育ったような世代でも なかなか作品作りがねえ。

日本のマンガが恐ろしいのが、あそこに示されたドイツのマンガ市場やフランスのマンガ市場は、その半分が、自国のマンガではなく、日本のマンガの売上高だというこだ。確か、米国でも20%30%は日本のマンガの売上だったと思う。日本のマンガは単純に、自国のアニメ市場を大きくしただけでなく、海外のマンガ市場まで作ってしまうパワーを持っているということだ。

 --ここまで--