▲マイクル・クライトンとすれば、初期の作品になるのかな。
ライジングサンなんてのも、この本のかなり後ぐらいになるようだ。
粗筋を説明するのも、手間なので、アマゾンの書評を抜粋・転記したい。
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■マイクル・クライトンの小説はなぜかページが進む.個人的な嗜好かもしれないが,それだけじゃない引き寄せる何かがある.物語の展開なのかこころ躍らせる科学フィクションなのか.
正直あらすじを見ただけでは興味はそそられない.ダイヤを探しに手話のできるゴリラと秘境のジャングルに冒険する...もはや目新しさもなく,むしろ映画化してももっと派手な(それこそ巨大ゴリラなどと戦うなど)話しはいっぱいある.
しかも,コンピューターの能力向上,出てくる最新機器がもはやカビのはえた古いもの.もう少しで時代小説になってしまう.でもおもしろいのだ。マイクル・クライトンというブランドのみを信じて読んだ甲斐があった.
出てくるゴリラが巨大じゃなくても,実際に目の前にいる野生の(しかも凶暴な)ゴリラの方がリアルで恐ろしい。息遣いがわかるほどの目の前で生きている動物の方が恐怖をリアルに感じる。
遠くからでも見えるほど巨大なゴリラよりも,見えないけれど,その存在が感じられるほどの臭いが伝わってくる方が恐怖する。
発想力もちろんおもしろいが,それだけでは色あせてしまう.特にSFは,時代に追い越されてしまうことが多々ある.個性豊かなキャラクターは飽きてしまう。しかし,マイクル・クライトンは,物語の展開力,場面の描写力・表現力がすばらしく,読者をひきつけ続ける。
この作品、秘境冒険物が好きな読者にはお勧めです。
秘境冒険ものといえば、「ソロモン王の洞窟」、などなど、既に傑作が多く書かれていますが、その衣鉢を継ぐ傑作が本作「失われた黄金都市」です。"現代版ソロモン王の洞窟"との宣伝文句は、嘘でも誇張でもありません。
1980年刊行にもかかわらず、21世紀を先取りしたような通信衛星を含むハイテク技術に守られ、ハイテク機材に身を固めたコンゴ調査隊が、意外や意外、ゴリラの仲間と思われる、猛獣の手で無残に殺され、全滅させられてしまうところから物語が始まります。
すぐに第二調査隊が組織され、人間と意思疎通ができるゴリラと霊長類学者ともども、アフリカの奥地に送り込まれる。そこからは、文字どおり一気読みでした。
主人公はエリオットとカレン、それにゴリラのアミーである。カレンの会社のキャンプのメンバーが全滅した。原因は不明。真相を探るべく、彼女たちはコンゴへ向かうことになる。ちなみに、アミーは手話ができる。アフリカには財宝がごろごろある失われた都市があるという伝説があるのだ。一行はそれを確かめるためにも現地に向かう。
アミーは手話で人間と話ができる。信じられない人もいるかもしれないが、私はそれは可能だと思う。実際、人間とちゃんと話せるヨウムも存在する。それなら、はるかに頭がいいゴリラが人間と話せるのは不思議ではない。
ハイテクと最新の科学知識を使ったストーリーの展開は著者の得意とするところ。この本にもそれは余すところなく発揮されている。現代の冒険はハイテクを駆使するのだ。
内容は冒険小説なのだが、クライトンらしく、単なる冒険だけではない。いろいろな要素が詰まっている。地球はどこも探検しつくされた感があるが、この本を読むとまだまだ未開の地もあることに気づかされる。
動物の専門知識が得られ、アクションも楽しめるこの作品、読んでみて損はない。
21世紀を先取りしたような通信衛星を含むハイテク技術に守られ、ハイテク機材に身を固めたコンゴ調査隊が、意外や意外、ゴリラ(?)と思われる、猛獣の手で無残に殺され、全滅させられてしまうところから物語が始まります。
すぐに第二調査隊が組織され、科学者キャレン・ロスや、霊長類学者および人間と意思疎通のできるゴリラともども、危険きわまりないアフリカの奥地コンゴへと送り込まれる。
ひと言でいえば、隊のリーダー、キャレン・ロスをはじめとして、霊長類学者エリオット、彼の研究対象で手話のできる天才ゴリラのエイミー、このミッションを成功に導くための切り札である黒人案内人マンロー大尉と腹心の現地人カヘガ等々、個性あふれる第二調査隊による波乱万丈の秘境冒険物語です。
そもそもの目的はコンピューターの性能を飛躍的に向上させるブルーダイヤモンド採掘なんだけど、日本とヨーロッパの合弁企業隊もブルーダイヤモンドの産地を嗅ぎ付けている。
その結果、キャレン・ロスの米国企業隊と日欧合弁企業隊によって、ブルーダイヤモンド奪取のための熾烈な競争が繰り広げられます。
さまざまなアクシデントに見舞われた米国企業隊は、途中で合弁企業隊にリードを許すのだが、マンローの意表をつく驚くべき作戦で、一気に形勢が逆転してしまう。まあ、合弁企業隊の方にも米国隊に負けないアクシデントがあったのだが・・・。
コンゴのジャングルに入ってからの米国隊の一難去ってまた一難のストーリー展開には、ヒヤヒヤされっぱなしで隊員たちと同様に読者のほうも息つく暇がないくらい。ジャングルの中は危険がいっぱいなのは、偉大な探検家スタンリーが活躍した100年前も今も変わらないらしい。
というか、コンゴ共和国
(1979年当時ザイール共和国)
近辺の政情不安や内戦のために、100年前よりもむしろ危険は増したくらいで、そこがこの冒険小説をよりいっそう面白くしています。例えば、米国隊の乗った飛行機も、合弁企業隊の援軍機も、領空侵犯でザイール側から情け容赦のないミサイル攻撃にさらされます。
ようやくたどり着いたムケンコ山麓の失われた古代都市「ジンジ」で、キャレン・ロスご一行様を待っていたのは、殺人兵器へと品種改良された凶暴なゴリラ(の新種?)の群れ。ここぞとばかりにハイテクの申し子みたいな自動防御システムを張り巡らせたキャンプを築き、これでさしもの殺人ゴリラ軍団も完全にシャットアウトできるかと思いきや・・・。
--ここまで--
ほぼ、粗筋は上掲の書評でおおよそは理解いただけよう。
クライトンの小説は、細部まで書き込まれ、信憑性を高めている。その知性の高さは、他の小説家より頭一つ抜き出ている。
ただ。
初期の作品だけに、クライトン流の意表を突いた—という部分に欠けている気がする。
どこか、平凡で、おさまりのいい----。
その部分が、ものたりないといえばものたらない。