2012年5月16日水曜日

中国経済が大幅に減速か。


▲中国経済が息切れしているようだ。
まぁ、当然であろう。経済が上向きつづけることはできない。
大きな山があれば、その後ろには目もくらむばかりの深い谷が待ち構えている。
リーマン・ショックが2008年の夏か。あれから、もう4年になろうとしているのか。
リーマン・ショックがあって以後、資本主義経済の国家は、経済の低迷・減速へ移行した。
ところが、中国だけはなんとか資本主義で、通常の資本主義国家群とは反対に、目一杯、金融を緩和して、公共工事等を拡大し意図的にバブル状態を作り上げた。
そして、今、バブルをつくりあげた資金源も枯渇し、中国だけの蜃気楼のようなバブルがはじけ、ハードランディングの状態になりつつあるという状況だ。
以下、新聞から抜粋。

世界第2位の経済大国の舵取り役に来年就任する人物は、 2007年に中国の国内総生産統計に対する疑念を漏らした。
米国大使に向かって中国の公式GDP統計は「人為的」で当てにならないと語ったのは李克強氏だ。
カレはこの統計を「あくまで参考値」と見なしていると。
■電力や貨物、融資に急ブレーキ
来年3月に正式に継ぐ見通しの李氏は、 経済成長を評価する際に電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資の実行という3つの統計を重視すると述べた。
中国経済はGDP統計が示唆してきたよりもかなり厳しい苦境に陥っている。
電力や鉄道貨物、銀行融資をはじめ、ここ数日で発表された統計は、いずれも経済活動の急激な落ち込みを示しており不意打ちを食らわせたようだ。
■回復見通しは「希望が理性に勝った結果」
中国のGDP統計は3カ月に1度、 今年の第1四半期は緩やかな減速傾向の継続を示していた。
1四半期の値は前年同期比8.1%増で昨年第4四半期の8.9%増から減速、中国経済の「ハードランディング」と見なされるほどではない。
大方のアナリストと政府当局者は、 経済成長は第1四半期に底入れし、4月には回復し始めると断言。
「アナリストや中国政府高官は、これが小さな落ち込みにすぎず、 経済は回復するという物語を信じたがった」。
清華大学のパトリック・チョバネク教授(経営学)はこう指摘する。
「だが、こうした予想は希望が理性に勝った結果だ」
発電量は先月、前年同月比で0.7%増えただけだった。
これに対し3月は7.2%伸びており、20114月の伸び率は前年比11.7%に上っていた。
年初から数カ月間の鉄道貨物輸送量の伸びは1年前の同時期の半分程度のペースにとどまり、 銀行の新規融資は予想を大きく下回っている。
「中国は過去3年間、投資ブームに乗ってきた。
このブームは持続不能だと誰もが知っていて、今、それがどういうことかを目の当たりにしている」とチョバネク教授。

「投資ブームの急減速は、それに代わるものがない中で起きている。
中国の行く手には、相当低いGDP成長率が待ち受けていることになる」
■不動産投資が激減、輸入も急減速
減速の大半は不動産市場に由来している。
不動産市場では、信用があおったバブルを封じ込めようとする政府の対策が、やや利きすぎのように見えてきた。
GDP13%前後を担う不動産投資は最近急激に落ち込み、 新築住宅の建設床面積は直近3カ月間(24月)で大きく落ち込んだ。
だが、中国の景気減速の原因は不動産の減速に限らない。
中国の4月の輸出入は事前予想より弱く、輸入の伸び率はアナリスト予想を大きく下回った。
銀行のエコノミスト、スティーブン・グリーン氏によると、 主力商品の輸入の伸びが急減速する一方、 産業機械の輸入は減り、「憂慮すべき産業投資の減速」を示唆している。
「追加の政策緩和が見込めない中で、 我々は第2四半期いっぱい成長が減速し続けると見ている」と同氏は言う。
■刺激策の選択肢は限られる
アナリストは、中国政府は減速する経済に刺激策を講じるのが遅すぎたと考えている。
一部のエコノミストは政府が成長てこ入れを図る選択肢は以前より限られていると指摘する。
最近の統計を受け、中央銀行は、融資拡大を促すために市中銀行の預金準備率を引き下げた。
しかし、金融危機後の大規模な低利融資と政府支援による投資の結果、 中国政府には今回、限られた武器しか残っていない。
一方で、インフレ再燃と国営銀行の不良債権への懸念が高まっている。
李氏は、 自分の仮説は間違いでGDP統計の方が正しいことを望んでいるに違いない。
さもないと同氏は、問題の悪化に直面する恐れがある。

▲補足、感想など
ふ~ん、と思った。
この記事、あんがい、まともだなぁ。イギリス人だから岡目八目というところか。
記事を読みながら、1990年代半ば頃の日本を思いだした。
まだ、バブルの余韻のようなものが残っていて、記事にあるように--これが小さな落ち込みにすぎず、 経済は回復するという物語を信じたがった---と思っていた。
1990年代半ば、筆者自身も、これは小さな落ち込みなんだ。すぐに回復するさとそんな夢物語を半ば信じ、他者にも言っていたように記憶する。
ところが。
日本の場合、バブル崩壊後、15年も地価は下がり続けた。そして、少し上向き始めた頃を狙ったように、リーマンショックというものが発生し、今に及んでいる。
いや、話がとんだ。
冒頭でふれたように高い山の後ろには深い谷が待ち構えている。
中国のハードランディングがどのようなものになるのか筆者には分からない。
日本はバブル崩壊後、多くの銀行・証券会社・生保が倒産した。ある百貨店の会長は、90歳を越えて個人として100億円近い負債を抱えることとなった。
日本は1990年以後、長い期間、不良債券の始末をしながら、製造業などで地道に稼ぎ、傷が徐々に癒えてきた。
結局、バブルの崩壊の始末のために総額で1000兆円を要したという。
中国もたぶん、同じようなルートを辿ることになるのだろう。
宴の後は、日本と同じようにただただ地道に稼ぐしかない。
中国人がこれからも、いまのような他国に対して高飛車な態度・ものいいができるかな。
そろそろ、中華思想から離脱し、目を覚ませよ。