2012年7月19日木曜日

社会人としてあるまじき行為。那智の滝。


▲那智の滝を登った登山家に対してスポンサーが支援をやめたとか。
その理由が表題だ。
そのとおりだと思うのだが、どこらに核心があるのだろうなぁ。
那智の滝って、どういう宗教施設なのだろう。
宗教という名にふさわしいものがどうか分からないが、神道などとどこか関連した遥かに昔からの「ご神体」ということなのだろう。
これをよじ登るというのは、例えば鎮守の森の一番大きな木に上るとか、鳥居の天辺にあがるとかそんな類のことなのだろう。
そういえば、那智の滝って海からも見えるという話を聞いたなぁ。
沖縄あたりから黒潮にのって漂流すると数日で、高知沖とかこの串本沖あたりに流されてくるのだとか。
そういう意味では、目印というか灯台がわりということなのだろう。
日本の縄文時代というのは、1万年くらい続いた。日本列島全体で数十万人というのが人口だった。
しかし、彼等は小型の船にのり、この列島の周囲をめぐり、日本(国の概念もない時代ではあるが)という国が、島国であることを知っていた。
上の那智の滝というものも、その時代から大切にされた目印であったということなのだな。
以下、新聞から抜粋。

「那智の滝」(和歌山県那智勝浦町)でロッククライミングをして軽犯罪法違反 (禁止区域への立ち入り)容疑で逮捕された、クライマーのsさんが スポンサーから契約を解除されたことが分かった。
sさんはゴールドウイン社の展開するブランド、「THE NORTH FACE」と契約。
2012715日にsさんが逮捕されたのを受け、同社サイトで契約解除の旨が発表された。
「契約アスリートに対し、再発防止の徹底をしてまいります」
逮捕が明らかになって「即時」契約解除したといい、 「那智の滝は、世界遺産に登録されているだけでなく、熊野那智大社の御神体として神聖なものであり、 そこにロッククライミングで登るとは、社会人としてあるまじき行為です」と激怒。
那智の滝を登ることは知らされておらず、驚いているという。
「この事態を厳粛に受けとめ、今後このようなことが繰り返されないよう、 社をあげて社員ならびに契約アスリートに対し、再発防止の徹底をしてまいります」としている。
sさんは、2人とともに、那智の滝の「立ち入り禁止」の札のかかった柵を乗り越え、 滝の約3分の2の高さ、約100メートルを登った。
県警新宮署は同日中に3人を釈放、今後は任意で捜査を続ける。
3人は「入ってはいけないことは知っていたが、日本一の滝に登りたかった」と供述。

▲補足、感想など
世界遺産であることは、まぁ、大事だがそこに焦点をあわせると、問題の核心が見えない。
これはなぁ、と筆者は思う。
先日の坂本龍一さんの「たかが電気」という発言と通底している。
そこにあるのは、日本の歴史とか日本の成り立ちに対する「教養の不足」なのだ。また、日本の歴史に対する「畏敬の念」の不足なのだ。
この登山家の言い訳をみよ。--入ってはいけないことは知っていたが、日本一の滝に登りたかったと。
まるで、子供のセリフではないか。
数年前、イタリア・ローマ市内の遺跡に日本人学生が落書きしたという事件があって問題となったが、あの事件に非常に類似している。
その国の歴史についての教養の不足、畏敬の念の不足なのだ。
もっと勉強しろよ。もっと本を読めよ。
日本に稲作を伝えた弥生人(今の中国・揚子江下流付近に住んでいたらしい)が、大きな孟宗竹の筏<いかだ>を組み、籾(もみ)を携え、黒潮にのって日本列島へ渡ろうとした時、上の「那智の滝」は、日本に辿り着いたという目印であったに違いない。
だからこその「ご神体」であろう。