▲中国人の歴史への対応は混乱しているな。
歴史・史実というものと神話との境界が曖昧になっているのだろう。
また、中国人の知的正直を重んじない性格が、科学とか学問の発達を大きく阻害しているようだ。
中国人という個人々は優秀でも、中国大陸に居住するという環境下では、合理的に判断できないようになるのだろう。
以下、新聞から抜粋。
中国サイト百度の掲示板に「なぜ日本人は中国4000年の歴史というのか?」というスレッドが立てられた。
スレ主は、中国では5000年の歴史と言っているが、なぜ1000年の違いがあるのか。
対して中国の歴史好きユーザーが議論している。
■中国は5000年の歴史があると主張する意見には次のようなものがあった。
・「黄帝から数えて4000年強だ。大まかに数えて5000年」
・「夏王朝の三代から数えれば5000年だよ」
・「日本人は、4000年前はまだサル社会だったから5000年とは認めないのだ」
ほかにも「5000年どころではない」という意見もあったが、歴史好きが集まっているだけあって5000年説を主張する意見は少数だった。
一方、4000年だという意見は多かった。
・「国際学術学界で議論の的となっている夏王朝を含めても4000年ちょっとだ」
・「香港や台湾でも4000年と言っているよね。5000年は神話時代を含めてでしょう」
・「4000年は考古学的な証拠がある。
残りの1000年は神話や伝説が含まれていて本当かどうか見分けにくい」
・「2072+2012で4000年」
ほかにも「国際的には中国文明は4000年で、5000年は自分たちで言っているだけ」という意見や、「日本では4000年というけど、国際的に認められているのは3500年」、「実は3000年だけ」と、さまざまな意見が出ていた。
また、まったく別の意見としては、「63年だよ。これで満足か?」、「63年が真理だね」、「新中国は70年だ。新中国は旧中国ではない」などの意見も少数ながら寄せられた。
コメントの内容を見ると、夏王朝を含めるかどうかで4000年か5000年になるが、夏王朝が存在したという物的証拠がないというのが大方の意見であった。
▲補足、感想など
確かなのは、殷王朝までかなぁ。
すると、紀元前11世紀くらいか。
ウイキペディアでは、紀元前17世紀から紀元前1046年(周に滅亡された年)までとなっている。
また、同じくウィキペディアでは夏(か)王朝は、紀元前2000年頃—紀元前1600年頃となっている。
夏王朝なんて、どこまで信頼できるものかは分からない。
それでも、まぁ、半分目をつむっても、4000年の歴史ということだ。
じゃ、胡錦濤主席などが発言する、「中国五千年の歴史」とはなにか。
この1千年の差とはどういうことなのか。記事の議論の核心はこれだったな。
筆者は、思う。
これが、「科学とか学問」というものと、「伝説とか神話とか中国人の中華思想」とかいうものの「差」なのだろうなぁ。
胡錦濤氏は、中国では始めてのテクノクラート出身の政治家で、キチンとした教育を受けている。
科学的思考、合理的思考ができる人であろう。
当然、考古学的な知識、科学的な教養も常識的にはもっているだろう。
しかし、オリンピックの開会式という場に立ち会うと、「中華思想」が、科学的知識とか合理的な思考を塗りつぶして「こうであってほしい」という数字が口からでてしまう—ということだろう。(そういえば、南京大虐殺なる犠牲者の数がドンドン増えていくのも同じ理屈だろう)
はっきりいうと「知的正直」というものを軽んじているのだ。
胡錦濤主席というキチンとした教育を受けた人でもそうなのだ。
上の議論を読んでいても、科学的な証拠というものと神話というか伝説というものとの境界が定かになっていない。そのあたりを曖昧にしつつ議論が進む。
そういう議論でも構わない、そういう議論を疑問に思わない。
そこに「中国人の弱点」があるのだろう。
中国で数年前から「ノーベル賞」待望論があるそうな。
しかし、上で述べたように「知的正直」が、これほど軽んじられるところで、ノーベル賞など夢のまた夢であろう。