2012年7月22日日曜日

漁業関係者は、高台に住まない。


▲日本では大きな津波が何度も発生している。
 その津波が収まった後、高台へ漁師達が移動したとかいう話はそうあるまい。
 なぜ、過去の例を参考にしないのだ?
 なぜ、漁師達が(というより、小型の船舶の所有者達が)海岸を離れないのかその理由が分からないのか。
 筆者にはその方が余程不思議だ。
 海岸沿いは津波がくるからアブナイ →だから、高台で居住する  まぁ、単純な理屈ではおかしくない。
 でも。
 北海道の奥尻島の例を見ていると、あの30mを越える大津波の後、海岸沿いで6mの嵩上げをしてそこに居住しているのだ。
 理由は、「船」だ。
 港に小型船を繋留している限り、海の変化に敏感に対応せざるをえないのだ。
 台風だとか、高潮だとか海は時々刻々、多様に変化する。
 その変化に対応して、危なければ船を陸上にあげなければならないし---。それでも年に何隻か流されるという。
 そんなことは、高台に居住していては間に合わない。だから、高台への移転という話にのらないのだ。
 船をもっていなければ、確かに高台に居住できるだろう。だから、漁業から離れた職業の人が、高台へ移り住むのだ。
 以下、新聞から抜粋。

 東日本大震災の発生から500日になる中、住宅の高台への集団移転は進んでいない。
住民の合意形成が難しいことが理由といい、国の認可が得られたのは想定の2割。
 一方で民間による高台の分譲住宅が人気を呼び「若い世代が流出し、 地域がばらばらになる」との懸念が出ている。
 岩手県陸前高田市。
 高台では分譲地が造成された。
 20区画の一部は「新築工事」という 看板が並び、建物が組み上がる。
 開発する住宅会社「東日本ハウス」によると、昨年11月に9区画を売り出し ほぼ完売。
来月末にも11区画を販売予定だが、 4区画が申し込み済みという。
 同社営業所の所長は 「行政は非常に頑張ってくれているが、購入者の大半は『行政の動きを待っていられない』と、 一刻も早く仮設住宅から抜け出したいとの思いを持っている」と話す。

▲補足、感想など
 仮設住宅 → 高台の住宅地へ という人は、冒頭でふれた漁業関係者以外であろう。
 漁業関係者へは、発想を転換すべきだ。
 海岸近くへ10階建くらいの公営住宅を建てる。
 1-3階位までを駐車場に、4-5階を事務所などに、6-10階を居住部とする。
 6階部分であれば、最低15m以上になるから、少々の津波であれば、充分に耐えることができる。
また、海の変化にも充分に対応することができるであろう。
 このあたりだなぁ。
 漁業関係者達の特性(どうしても船の面倒を見なけれならないということ)を充分に理解してあげて、単純な高台移転という範疇とは別に、彼らには「海岸沿いの高層公営住宅」という対応方法を考えるべきと思う。