▲中国人の高校生の話題があった。
その記事を読みながら、これが中国人の夢というか希望のようなものなのだなぁ、と納得した。
核心部分はなにか。
中国民族のもつ即物性、なにはともあれ儲かること、商売が一番だ—という感覚かな。
対して、筆者は「仰げば尊し」という歌を思い浮かべた。
もう一度、歌詞をご紹介したい。
--ここから—
仰げば 尊し 我が師の恩
教(おしえ)の庭にも はや幾年(いくとせ)
思えば いと疾(と)し この年月(としつき)
今こそ 別れめ いざさらば
互(たがい)に睦し 日ごろの恩
別るる後(のち)にも やよ 忘るな
身を立て 名をあげ やよ 励めよ
今こそ 別れめ いざさらば
--ここまで—
う---ん、日本人と中国人は別の人間だな。
その根底にあるものは、おそらく「知性主義か否か」というところにある。
以下、新聞から抜粋。
山東省青島市の高校2年生のwさん(16)が ヨモギを売って1週間で4万元(約48万円)稼いだという記事が掲載されてから、 wさんは時の人に。
CCTV、でも 取り上げられ、近所や学校で話題に。
その後もwさんは大忙しで、会社を興して ヨモギを仕入れ、製薬工場に転売することを計画中という。
さらに、
日本で「ヨモギ枕」が人気となりつつあることを知ったwさんは、 ヨモギを輸出するための方法まで模索。
■中国各地に「ヨモギの生産拠点を」
高校でwさんを見かけた時には、学生らしい雰囲気が漂っていたが、ビジネスバッグがビジネスマンの片鱗を示していた。
「こんな騒ぎになるとは思ってもみなかった。報道されて、CCTVのニュースでも取り上げられた。
湖南省や遼寧省の テレビ局でもニュースになっていた」と。
「同級生もみんな知っているし、一緒に ビジネスをしたいとか、ノウハウを伝授してほしいとか言う人もたくさんいる」と語った。
wさんのビジネスはさらに拡大。
毎日、「提携したい」という電話が 広州市から、内モンゴル自治区や遼寧省、山東省煙台市や 済南市まで、かかってくると。
wさんは、「ほとんどが、 野生のヨモギがあり、それを買ってほしいという連絡。
将来は全国各地にヨモギの生産拠点を作りたい。
そして、大量に 仕入れる必要があるときに、ヨモギを各拠点から青島に送ってもらう。
今まではサプライヤーだったけど、これからはディーラーになるための勉強もしなければ」と。
■日本への輸出を模索
「買い手はいるのか?」との質問に、wさんは「端午の節句は 個人客に販売したけど、今は主に製薬工場が相手」と答え、「野生のヨモギを原料として必要とする製薬工場は少なくない。
製薬工場に卸した時に発生する利ザヤが儲け。今は1トン単位」と語った。
wさんは、日本で「ヨモギ枕」が人気となりつつあることを知り、 輸出する方法を探るためにここ数日、連絡を取っているという。
■「軍隊に入りたい」
稼いだお金は両親に渡して貯金してもらっているという。
ヨモギを売る前、 息子は、夏はバイクを、冬はペットを売って毎月2000元(約2万4000円)の稼ぎがあった」と 経緯を語った。
「軍隊に入るのが夢」というwさんは、「軍隊式の訓練や管理の方法を学べば、 早く成長できる。
退役後は小さな商売をしたい。
ビジネスの
チャンスはどこにでも転がっているのだから」と将来の展望を語った。
▲補足、感想など
こういう高校生が日本にもいるかもしれない。
ただ、それが日本でテレビで放映するようなニュースになるだろうか。
また、記事を読んで、その全体に漂う「胡散臭さ」というものを感ぜずにはおられない。
記事の内容は、中国の高校生がどこからかヨモギを集めて、どこかの会社に売り、約50万円の利ざやを稼いだ—というものだ。
もっと単純化すれば、ヨモギを集めた →会社に売った—だ。
一体、この話のどこにニュース性があるのだ?
つまり、日本人はこの話題にはひっかからない。日本人の心情・感性に訴えるものがないからだ。
ところが中国人にはひっかかるし、受ける。
ポイントは、高校生がなにかをして、約50万円稼いだ—という点だろう。この部分が中国人の感性に訴えるのだ。
核心の部分は、高校生と約50万円の稼ぎだ。中国人は、アイツ若くしてうまくやったな—とでも思うのだろう。(ここで、なにをして--という部分が殆どふっとんでいることに注意して欲しい。中国人にはその部分は大したことではないのだ)
上でこの話、胡散臭いと書いた。
それはwさんならではという部分がどこにもないからだ。
ヨモギなんて、そこらに生えているものだろし、買う側だって、別にwさんから買わなければならない理由もなさそうだ。たまたまの幸運を針小棒大にしたような話だと思える。
まぁ、ここらあたりだなぁ。これが中国人であり、日本人との違いがあからさまとなる。
この話題に対して、筆者は、「仰げば尊し」が頭に浮かんだと書いた。
--別るる後(のち)にも やよ 忘るな 身を立て 名をあげ やよ 励めよ--。
特に--身を立て 名をあげ やよ 励めよ—なんてどうだ。
筆者など、今もって、心が震えるように感ずる。
日本人へと中国人への訴えるポイントが完全に異なることがよく分かる。
仮に、高校生とヨモギの話題で日本で評判となるというなら、ヨモギの薬効をなんらかの方法で科学的に裏付けたというような話ぐらいかな。
つまり、日本人のもつ「知性主義」というところにぶっつかる。
まぁ、まとめてみれば、表題の「中国人の夢」というものが、いかに中国民族のもつ「即物性」「功利性」という基礎にのったものかがよく分かる。
そしてそれが「科学・技術」というものに対する両民族の違いとして表れ、さらにはノーベル賞というものへつながるのだろうな。