2020年8月8日土曜日

奪取 (上、下) 真保裕一著 株式会社講談社 1999年5月刊行 感想

 

ジェットコースター小説とでも言えば、ある意味当たっているような気がする。

 また、上巻を読んでいるとき、日本のマイクル・クライトンの出現か—とも一瞬思った。ただ、下巻を読んでいると、やや冗長となることと、設定に無理があって、それが興ざめな感じがした。

 例によって、アマゾンでの書評をみよう。

 -ここから-

5つ星のうち5.0 実に綿密に調べられ、偽札造りの過程がしっかりしているから違和感なく最後まで読み通せる。展開も二転三転、しまいにはハリウッド映画並の大捕り物劇。さてさて最後はどうなるのでしょうか?オチを言ってしまうと、これから読む人の面白味が無くなるので書きません

それほど最後はビックリさせられます!偽札造りの犯罪ですそれも綿密に調べ上げられた造幣の情報を基に作成されていますだから偽札なんか、そんなに簡単に作れる物じゃ無いって考えも無く自然に読んでいけるのですここがいい加減だと最後までインチキ小説になってしまいますがそこの処(偽札を作る過程)が、これまでやるかと言うくらいしっかりしているから最後まで違和感なく読み通せるのだと思います実に痛快、傑作ストーリーで秀作です!


5つ星のうち5.0

201042

2種類の「そりゃないだろう」がある。1つは15年前でもありえないこと。いくら信金だとはいっても銀行員が確認もせずにハリボテの店舗を信じることはないだろう。ヤクザもここに書かれているほど甘くはなく、警察が嫌疑をけけている者の住居を取り囲んだりはしない。しかし、この辺はご愛嬌の範囲。もう1つは、15年前ではありえても、現在であればありえないこと。なんといっても、情報通信技術の格差。当事の「ハイテク」には隔世の感を感じてしまう。携帯電話の普及率はかなり低く、携帯電話での連絡は「当り前」のレベルではない。また、紙幣鑑定機の解析データがフロッピーに納まるってもの今じゃ考えられない。モラルの水準も今と違う。「リベンジのためなら麻薬取締法くらい少々抵触しても」という感覚は現在は受け入れられない。また、若者の話し方も、今からみれば「こっぱ恥ずかしさ」を感じる。もっとも、後者の「そりゃないだろう」については、15年前の世相が表現されていて非常に趣を感じるのだ。例えば、「点と線」を読んだ時に、現在では成立しないトリックに当事の情報伝達のレベルや社会情勢を感じ、タイムスリップした感覚を覚えるとの似ている。それもこれも、筆者のディーテールへのこだわりによるところが大きい。紙幣や情報通信技術に関するディーテール、割に合わないといわれる偽札作りにのめり込んでいく展開のディーテルへのこだわりがストーリーにリアリティーをもたせている。是非とも10年後にもう一度よんでみたい。90年代の世相がより際立って理解できはしても、決して古臭いと感じることはないはずだ。


5つ星のうち4.0

202015

前半に比べれば、後半は少しダラダラかな?5つ星のうち4.0 おもしろい、おかしい、楽しかった

2004425

この人の他の作品は読んだことがないし、どの様な人なのかも知らず、面白そうだったので買いました。なんともはや・・映画の様なお話しでした。偽札作りに執念を燃やす人達の話で、犯罪をしているのに(中には犯罪者として刑務所での生活経験者もいるのに)ものすごい信念を貫く生き方をしているので、どの世界でも一流っていうのは大事だな~、それから何でも長い目で見なくちゃとか、みみっちい生き方じゃ、駄目だな~なんて想いながら読みました。昔見たハリウッド映画などの金庫破りや強盗などの映画を見ている様で、悪いことをしているのに、なんだか痛快な感じ、爽快感がありました。


5つ星のうち3.0

202019小説の題材としては面白いが、文章に句読点が多すぎて、非常に読みづらい。校正の段階でなんとかせよ!!


5つ星のうち4.0

200535偽札作りの描写は非常に細かく実際に作っている様が見に浮かぶようです、また、アクションシーンもイメージを描きやすく本を読みながらも映画を観ているような感じでした。ラストも結構凝っていてまさしく映画のようなどんでん返し・・・主人公には動機からしてあまり共感できる部分がないので感情移入しにくかったのが残念でしたが、はらはらドキドキさせてくれたので面白さの点では満足できる本だと思います。なかなか面白く読むことができました。


5つ星のうち4.0

2009427単純に面白いですね。長編ですが、テンポ良く読めます。印刷手法などに関しては文字だけの情報なので、一読しただけでは少し分かりにくいです。しかしそれを差し引いても、ずば抜けて面白いです。今もどこかに偽札作りに没頭している人がいたりして…。オチの意外さも驚愕でした。エピローグは必要なかったかもしれませんが。ぜひ読んでみてください。


5つ星のうち5.0

20051111先が気になって気になって一気に読んでしまいました。偽札作りや各印刷工程など、色々と興味深かったです。でも一番の凄さは、あのラストじゃないでしょうか?今まで色んな作品を読んでましたが、このラストには「やられた!!!」って感じでした。最高の1冊です


5つ星のうち5.0 真保裕一の最高傑作

2011424真保裕一作品は数多く読んできたが、結局「奪取」を超える作品には出会えていない。もう13,4年前に読んだので細かい内容まで覚えていないが、偽札作りをする主人公たちを応援しながら一気に読み進めた記憶がある。当時に比べて紙幣作りの技術も大幅に向上しているだろうから、今読むとどうなのか?という不安も残らないではないが、面白さは不変だろうから、真保裕一の何から読もうか?とお考えの方には「奪取」を熱烈にお薦めする。ちなみに文体ではシリアスタッチの多い真保裕一作品の中では異色の部類に入ると思う。どちらかというとかつて人気を二分していた東野圭吾に近いようなイメージがある。またこんな感じの作品書いて欲しいなと思う。


魑魅魍魎

5つ星のうち4.02012114

大変面白かった。作品紹介は次のとおり。1400枚のテンポ溢れる大作、堂々完結編次々と巡り合う奇才たちが手をとりあって目指す究極の偽札造り。友情に端を発した奇妙なチャレンジは新しい友情を芽生えさせてくる。真保ワ-ルド広げる大傑作。


5つ星のうち2.0 好き嫌い分かれるかも

201451人気俳優がすごくお勧めしていたので即購入しました。高校生の時一気に読んだという上下巻でしたが、私は時間かかりました…^^;印刷の技術的なこと、インクやら紙質、%gなど本当に細かく専門用語も多いのが好きな人にはたまらないのかもしれないですね。私は正直頭に入らなかったです。あと、登場人物の台詞回しが苦手でした。「僕がそんなことをすると思うのかね、◯◯くん」のような仲間内で人を食ったような物言いをみんなするんですよね。特に女の子のキャラが嫌い。あー男性向けなのかな?やはり。でも、全体のストーリーは面白かったです。


5つ星のうち4.0 個性的でバイタリティーに溢れた登場人物たちの贋札作りにかける熱意

201975主人公たちが仕掛ける騙しの手口が見事で、ストーリー展開も波乱に富み、アクション場面も派手で、手に汗握るエンターテイメント性抜群の作品だった。登場人物がそれぞれ個性的でバイタリティーに溢れていて、特に水田の爺さんのスーパーマンぶりが凄すぎる。作品中に書かれている贋札作りの作業は試行錯誤の連続であり、膨大な時間、手間、経費がかかりそうで、よくこんなことをしようとする気力が起こるなと感心した。主人公のコンピューターに関する知識、度胸等もすばらしく、落ちこぼれではないし、贋札作りではなく、もっと健全で有意義なことにその能力を活かすべきだと思った。印刷、製紙などの技術的な説明がかなりの部分を占めているのだが、正直、読むだけでは理解できず、その部分に関しては字面を追うだけの苦しい読書になった。後の三段のオチも、この作品の締めくくりに相応しいすばらしいものであった。


5つ星のうち2.0 面白いけど設定に無理あり2015620

紙幣の印刷については相当の取材を積んだと思われるのに、銀行のことは全く知らないことがバレバレ。世間一般の銀行のイメージそのままに、何の取材もしていないことがよく分かる。銀行員がヤクザと付き合っていることは100歩譲るとしても、銀行が約手を発行するとか絶対ないし(発行するのは預手)、かつ個人の裁量で手形を用意するとか絶対無理。存在しない信金の支店もかなり無理があるし、最後は辻褄合わせのために無理やり設定を作った気がする。途中までの展開がスピーディーで面白かったので、ラストの盛り上がる場面があまりに非現実的だったのが残念すぎる。


5つ星のうち3.0

2016214やくざにひどい目に遭わされた主人公が、偽札を使って復讐する話です。最初に構想を練ってから執筆するのではなく、書きながらストーリーを作ってる感じなので、偽札作りの技術的な描写以外は、スピード感が有るのですが、盛り上がってくると振出しに戻るが繰り返されるのでイライラします。そしてラストは、スピード感、緊張感がどんどん高まり期待に胸が高鳴りますが・・・。登場人物が皆犯罪者なので、「犯罪は割に合わない」「悪銭身につかず」を読者に伝えたかったのか、グダグダな終わり方をします。グダグダなエピローグのおまけが有ります。とにかく最後が残念。

 -ここまで-

 冒頭でふれた。

 上巻を読んだとき、日本にマイクル・クライトン出現か—と錯覚した。

 なにより、その発想にびっくりした。

 こういう日本の作家がいるのだなぁ。