2011年10月27日木曜日

映画「はやぶさ」が大コケ…か。

▲う---ん、なんというか。

科学って、派手なものではない。どこまでもどこまでも泥臭い代物だ。

そこに派手な見応えのする成果というようなものが存在するわけではない。

そこにあるのは、ただ。

研究者とか技術者の探究心とか、好奇心とか、熱意とか、夢とか…そんなモノがごっちゃになったカタマリなのだ。

だから、映画をつくるとしてもそもそも見栄えのいい派手なものになりようがない。

こういう映画を楽しめるのは、観客側の知識とか科学への畏敬の念という素養があってこそだ。

以下、新聞から抜粋。

小惑星探査機「はやぶさ」の地球帰還を描いた竹内結子主演の映画「はやぶさ」が大コケしている。

 10月1日に公開され、興行ランキングでは5位スタート。

その後も7位、9位と下降の一途である。


「もはや打ち切りも時間の問題。宣伝費などを考えれば最低でも10億円に届かないと赤字ですが、興収は5、6億円の見込みです」(映画関係者)  はやぶさ帰還は日本中が熱狂した一大イベントだった。

なぜ映画はコケてしまったのか。

映画批評家の前田有一氏はこういう。

「『プロジェクトX』のような重厚な人間ドラマを期待していましたが、まったくの期待外れ。

突貫工事で映画を作ったため、全体的に作りが粗いのです。そもそも竹内の役柄は架空の

オリジナルキャラで、はやぶさ帰還とは関係がない。いてもいなくてもいい存在という設定だからガックリです。

もう一つ、唖然としたのは、CGのはやぶさがアニメ声で“僕は今ここにいるよ”“なんだか力が出なくなっちゃった。みんなの声が聞きたいよ”なんてふうにしゃべり出したこと。せっかくの美談が漫画チックな駄作になってしまいました」

トンデモ映画の仲間入りは避けられそうもないが、はやぶさ関連の作品は今後も控えている。

第2弾は渡辺謙主演で来年2月に公開の映画「小惑星探査機はやぶさ―遥かなる帰還―」(仮題)、第3弾は藤原竜也主演で来年3月に公開の3D映画「おかえり、はやぶさ」だ。こちらは期待できるか。


▲補足、感想など

この7年にも及ぶプロジェクトを面白おかしくされても堪らない。

筆者は、上の記事の映画を見た。

筆者の感想は、普通に面白いと感じたし、失敗作とは思えなかった。

竹内さんという俳優がどうとも思わなかったが、このはやぶさのプロジェクトの責任者である「川口さん」を演じていた俳優がいい感じだった。

科学者とはこういうものだし、プロジェクトの責任者とはこういうものだろうなぁと納得した。

「はやぶさ」は、現在の日本のモノをつくる技術だとか、エンジンだとか様々な技術の集大成なのだ。

それぞれの技術が最先端のレベルでなければ、3億キロもの彼方にいって帰ってこれる筈もあるまい。

こういう映画は派手な面白おかしいものになりようがない。

 観客側にこそ、イトカワという名前の由来(糸川英夫さんか、筆者は昭和30年代のペンシルロケットの頃から知っているからなぁ)とか、様々な知識をもっていてこそ、楽しめる映画ではあるまいか。

最後に、このはやぶさについての天皇陛下、皇后陛下の言葉と歌とをご紹介したい。

2010年12月20日の記者会見で、明仁天皇陛下は「はやぶさ」について次のように述べられた。

『小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」に着陸し、微粒子を持ち帰ったことは誠に喜ばしい今年の快挙でした。

一時は行方不明になるなど数々の故障を克服し、ついに地球に帰還しました。

行方不明になっても決して諦めず、様々な工夫を重ね、ついに帰還を果たしたことに深い感動を覚えました』

また美智子皇后陛下は、はやぶさが大気圏に突入した時のことを和歌に詠まれだ。

『その帰路に己れを焼きし「はやぶさ」の光輝(かがや)かに明かるかりしと』

→あれ、もう、10月も終わりなのに、アセが…。