2011年5月24日火曜日

破傷風についての知識の有無の話ではない。

▲テレビで、三陸海岸の被災した都市の後片付けの様子をみていた。

 なんというかなぁ。

 片付けるにせよ、修理するにせよ、段取りというものがあるだろう。

 不要なものを道路へ出すにしたら、まず、通路部分を片付けて、運びやすくするとか、怪我を予防するとか考えるだろう。

 ところが、不要品を抱えたまま、釘の飛び出したゴミを踏んで、運び出そうとするのだ。

 一体これはなんだろう。

 非常識といえば非常識。

 慣れていないといえば、慣れていない。

 いい大人が、まるで小学生のような行動をとるのはなんでなのだろう。

 以下、新聞から抜粋。

 東日本大震災の被災では様々な感染症の拡大が懸念されている。

 なかでも復興作業を阻む大きな脅威となっているのが破傷風(はしょうふう)である。

 ほとんどの土壌に存在する常在菌である破傷風菌によって引き起こされる感染症だが、 津波で土壌がかき回されてあちこち泥だらけになってしまった被災地では、瓦礫撤去作業中に釘を踏み抜いたり、ガラスで手を切ったりして、そこから感染する例が多い。

 5月19日までに、震災に関連した発症報告として、宮城県で8件、岩手県で2件の破傷風が確認されている。

 だが、これはあくまで各自治体に報告されている数だ。

 東北福祉大学の舩渡忠男・教授(感染制御学)は、危険の周知ができていないと危惧している。

 「2004年のスマトラ島沖地震と違い、今回は瓦礫撤去作業に従事している人が多いので、破傷風の危険は高い。ただ、その危険をわからずに作業している人も多いのです。

 すでに10人の発症報告がありますが、平時ならば全国で年間100例くらいですから心配な数ですね」

 最近では珍しい病気になったので、その恐怖を知らない国民が増えた。

 が、かつては子供が ドブ川で遊んでいれば、「破傷風になるぞ」と脅して家に帰らせるのが大人の常識だった。
 それほど怖い病気なのだ。
 今も世界で年間5万人が死ぬ。

 発症すると筋肉がこわばり、特に口を動かすことが困難になるのが特徴で、物を食べたり、 呼吸をしたりすることに支障が出る。

 確実な治療法は確立されていない。

 また、 重症患者には呼吸管理などが必要で、設備の整った医療機関でなければ救命できない。

 被災地では、その設備も、医師も、薬剤も不足していることはいうまでもない。

▲補足、感想など

 手伝いにいって、返って怪我をして面倒をみてもらう・・とはならないことが大事だろう。

 ボランティアにいって、破傷風となる人間だっていっぱい出そうだなぁ。

 その核心は、冒頭でふれたようなことだと思える。

 筆者の世代の人間にとって当たり前の段取りという知識がちっとも当たり前の知識ではない…というところに問題があるのであろう。

 なぜなのだろう。

 危険な仕事をしたことがないから。子供のとき、親があぶないことをさせなかったから。

 まぁ、そんなところなのだろうなぁ。

 子供の時、釘を踏みぬいたこともない・ということか。

 皆、ぼっちゃん、じょうちゃん…として大事に育てられたということなのだなぁ。

 そんなぼっちゃんが、被災地というアブナイものがいっぱいあるところで作業をすると、そもそも危険さが分かっていないから、冒頭で書いたように、荷物を抱えたまま、釘の一杯でたゴミを踏みながら運ぼうとするということか。

 やれやれ。

 こういう人間には、危険作業の前に、そのリスクを、作業前の段取りを講習しなければならないわけか。