▲昨年の大震災の際の原発事故を避けることができなかったのか---。
安倍さんが再度、検証してみるという。
これはなぁ、と筆者は思う。
微妙な問題ではある。
おそらく---。
東京電力という会社の、いや、電力会社全体の問題であろうが、「技術者」というものを軽視する—という体質が一番大きな要因となっていると思う。
こういう電力会社では、技術者というものがすべて「現場の保安要員」でしかないのだろう。
そもそも、電力会社で、技術者がトップに立ったなんて聞いたこともない。
ついでながら。
昨年の事故の際、原子炉に入るロボットが外国製であったことを記憶していると思う。
ロボットならば、日本製があるはずであろう。
ところが。
原子炉に入るようなロボットの研究をすると、原発の安全神話を電力会社自体が疑っているのではないか—と国民から勘ぐられるのではないか---と。
それはまずい—と電力会社が自主規制したものらしい。
このあたりだな。
この感覚。これこそが、昨年の事故を引き起こした最大の原因だと思える。
以下、新聞から抜粋。
自民党の安倍晋三総裁は23日のフジテレビの番組で、東京電力福島第1原発事故について
「避けることができなかったのか、人災なのか、しっかりともう一度、政権として検証したい」と述べ、再検証する方針を明らかにした。
野田政権が設置した政府の事故調査・検証委員会は今年7月、東電と国の対応に関し
「安全神話にとらわれ、危険を現実のものと考えなかった根源的な問題がある」
と責任を指摘。
政府に全容解明へさらなる努力を求める最終報告書をまとめている。
▲補足、感想など
---安全神話にとらわれ、危険を現実のものと考えなかった根源的な問題がある----か。
いや、そのとおりだけれど。
昨年の事故の直接の理由は、原子炉を冷却する電源がすべて喪失したことにある。
電力会社からの電気が止まったとき、緊急用の発電機が稼働する仕組みとなっていたが、地上にあった軽油のタンクまで流されたことが大きかったといえよう。
だから。
この軽油のタンクを地中に埋めるという対策を取れば、もう、問題はなかったはずだ。
原発自体の設計は、アメリカ人がしたもので、津波なんてそもそも想定もしていない。
日本の現場の技術者なら、このタンクが地上にあることの危険性は理解できははずだ。
このタンクを地中に埋めよう---ぐらいのことは、原発ができて以来、誰かが上司に進言しているだろう。
ところが。
冒頭でふれたように、建設当時の施設を変更することは、「原発の安全神話を電力会社自身が疑っているのではないか—と勘ぐられる」--のではないか--と。
なんというかなぁ。
なんて頭のいいやつだ、なんて頭の回転がいいやつだ—と思わないか。
筆者は技術系の人間だが、こんなこと決して考えない。ここまで頭が回らない。
こんなことが考えられるやつって、きっと「文系のよほど優秀な人間」だろう。
これこそが、昨年の原発事故の原因の「核心」だ。
そして、これが日本の電力会社の「弱点」なのだ。