2016年2月7日日曜日

旭化成社長、辞任する。

う~ん。
 致し方ないかな。

 この社長の「誠実さ」というものは、よく分かる。
 しかし、建設工事における重層的な請負方式のようなものについての理解が浅くないか。
 この場合に、どう対応するか—周辺の智慧者・経験者に尋ねてみる--というような過程を省いていないか。
 なにか不案内なところに口を出していないか。

 考えても見よ。
 マンション販売会社が、施工を発注した会社は一つしかない。
 だから。
 下請け、孫請けなんて、施工会社の裏側に隠れたものだ。

 さて今、マンションに欠陥が見つかった。
 すると、まずマンション販売会社へ購入者から苦情がくる。
 で。
 販売会社から施工会社へ、どうだったんだ? とクレームがくる。
 マンション販売業者からのクレームに対しては、施工会社(建設会社)が答えるべきであり、回答できるのは施工会社のみだ。普通のことであろう。

 下請け、孫請け、更にその下請けとなると、建設会社の会議室で、担当者からこういうクレームが来たから対応してくれ—と言われるだけ。そもそも表にでる話ではあるまい。

 今回の場合、杭打ち作業を旭化成の子会社(建材)が担当(孫請け)したという形だ。
 だから、旭化成建材の担当者が、下請け会社を通じて施工会社へ回答すれば充分ではないか。
 表にでるのは、建設会社のみであり、そこがクレームに対して回答すればいいこと。

 ところが、今回の場合、旭化成建材の名前がでると、いきなり旭化成の社長が出てきて、あれこれしゃべる—というのは、旭化成建材の担当者も戸惑ってしまったろう。<考えても見よ、旭化成建材は孫請けなのだぞ--、孫請けの親会社が急にでてくるって変だろう。請負契約から外れた人間が急にでてくるって--->

 これは、「出過ぎ」ではないのか。
 まずは、旭化成建材の社長・担当者に対応を任せるべきだ。
 そして、それは建設会社の会議室でおこなうべきだろう。

 はっきり言って、やや軽率の謗りは免れない。
 で、冒頭の感想に戻る。---辞任は致し方あるまいな--と。
 経験者とか周囲の智慧者にどう対応すべきか—相談するということがあってよかったのではないか。

 以下、新聞から抜粋。

--ここから--

 旭化成は浅野敏雄社長(63)が退任し、小堀秀毅代表取締役専務執行役員(61)が昇格する人事を固めた。
 子会社の杭打ち工事のデータ改ざん問題による経営の混乱を収拾するため、次期中期経営計画が始まる 4月を機に体制を一新。
 住宅受注の苦戦など収益に影響し始めておりブランド力回復を急ぐ。

 杭打ちデータ問題では、旭化成建材の多数の現場担当者が建物の基礎をつくる杭打ち工事で計360件の データ不正に関与したことが判明。
 学校など公共施設も多く、全国に安全性への不安が広がった。

 問題発覚の端緒となった横浜の傾いたマンションについては、杭が固い地盤に届いているかどうかを再調査中だ。
 浅野社長は在任2年で交代となる。
 社内には続投を望む声もあったが、新体制で再スタートすべきだと判断したもようだ。
 小堀氏は電子材料畑で、現在は経営戦略や財務を担当している。

--ここまで--

 結局、杭打ちについては撤退するとか。
 記事を読んでいると、建物を作る会社としてのブランドイメージの低下を恐れ、社長が自ら動いたということか。

 社長の誠実さも分かるし、あせりも分かる。
 でも、直接の担当者である旭化成建材の社長に表にでて、しゃべらせるべきではなかったかなぁ。そもそも、子会社とは言え、別人格ではないか。