2016年2月26日金曜日

もし、アメリカと中国が軍事衝突したら---。

いや不気味な表題ではある。
 でも、ありえそうな話ではある。

 衝突するにしても、そのタイミングで国際社会でどうなるか—ということは、アメリカも中国も頭をよぎる。
 筆者が心配するのは、中国人って、自分で情報を制限しているものだから、「情勢分析が甘い」のだ。

 仮にアメリカと衝突したら、ロシア、イスラエル、パキスタン等は、オレ達を支援してくれる筈だ—とか考えていそうだな。

 プーチンさんが、中国を支援する訳があるまい。
 プーチンさんは、愛国者だ。ロシアという大地の上で討ち死にする覚悟なのだ。
 そんな人間が、いざ、自分の身が危なくなったら、どこか海外へ逃げ出そうと準備をしているような中国の指導者と与する訳がない。

 あんな覚悟もないヤツと仕事ができるか、と笑っているのだ。
 ところが、このあたりのことが、中国の習近平国家主席には理解できない。

 で。
 ロシアは、オレを支援してくれるはず。
 ならば、アメリカと一丁やってやろうか—とか決断しそうだな。

 以下、新聞から抜粋。

 世界はこの事態について考えなくてはならない時を迎えている。
 201510月、アメリカは南シナ海において「航行の自由」作戦を開始した。
 これは、中国が領有権を主張する人工島の12海里以内をアメリカの軍艦が横断するというものだ。
 「人工島に関しては領有権を認めない」という国際ルールを守らない中国に対する威嚇である。

 歴史を振り返ってもわかるが、アメリカが「自由」や「正義」という言葉を持ち出したとき、それは「戦争に向けて動き出す」というサインである。
 そこで、小規模であっても、もしアメリカと中国が軍事的な衝突を起こした場合、何が起きるのかを考えなくてはならない。

 まず、アメリカも中国も核保有国であるという前提がある。
 それが、冷戦を招く要因にもなるわけだ。
 例えば、中国が核を使用すれば、報復的にアメリカも核使用に踏み切り、核戦争に発展する。
 そうなれば地球は破滅し、勝者なき戦争になってしまう。
 それを両国の指導者が十分に理解しているからこそ、対立はおのずと冷戦化することになる。

 現在、戦争や紛争が起きた場合、用いられる手段に金融制裁がある。
 これは、ロシアのクリミア半島編入に際して、アメリカやヨーロッパが採った手段でもある。
 アメリカには、米国愛国者法と国際緊急経済権限法(IEEPA)という法律がある。

 これらは、「アメリカの安全保障に重大な危機をもたらす人物や国家に対して、資産や銀行口座の凍結や没収ができる」というもの。
 議会の承認を得なくても、大統領令で発動できる法律である。

◇アメリカの金融制裁に苦しむ中国
 米中が軍事衝突したら、アメリカは中国に対して金融制裁を科し、それを徐々に強めていく。
 中国の一部の軍幹部、その関係者、軍需系企業などの金融口座を廃止、同時に資金の移動を禁止する。

 アメリカの一番の強さは、金融支配にある。
 現在の世界の金融体制は、ブレトン・ウッズ体制に端を発する。
 これは、1944年にアメリカのブレトン・ウッズで連合国通貨金融会議が開かれ、国際通貨基金(IMF)や国際復興開発銀行(IBRD)の設立が決定されたものだ。

 当時、世界の金の80%近くがアメリカに集中し、アメリカは金保有国であった。
 その金と交換できるドルを基軸通貨とし、他国の通貨価値をドルと連動させるという仕組みで、金・ドル本位制ともいわれる。

 ベトナム戦争で、アメリカは膨大な国債を発行し、戦争後は巨額の財政赤字に苦しんだ。
 そして71年、当時のニクソン大統領によって金とドルの兌換停止が宣言され、ブレトン・ウッズ体制は終わりを告げた。
 ニクソン・ショックである。
 しかし、その後も世界の金融市場におけるアメリカの支配体制は続いている。

 今も世界の債権の約60%はドル建てであり、ドルで借りたものはドルで返さなければならない。 
 つまり、各国の金融機関にとって、ドルが手に入らなくなるということは破綻を意味する。

 マカオのバンコ・デルタ・アジアという銀行は、北朝鮮の資金洗浄に関与していることが発覚し、アメリカとの送金契約が消滅、破綻危機に陥り国有化された。
 また、フランスの銀行であるBNPパリバは、アメリカの制裁対象国との取引を理由に、1兆円近い制裁金支払いと為替関連取引の1年間の禁止を命じられ、大打撃を受けた。

 ドル支配体制においてドルが手に入らなければ、石油や天然ガスなど資源取引の決済もできなくなる。国によっては、国家破綻の危機に直面することにもなりかねない。

◇中国勝利のシナリオは限りなく非現実的
 先進国の中で、食料や資源を100%自給できている国は少ない。
 中国の食料自給率は85%以下といわれ、アメリカから穀物を買えない事態になれば、13億の人民は飢餓に苦しむ。

 だからこそ、中国はドル支配体制からの脱却を目指し、人民元の国際化を進めていた。
 IMFの特別引出権(SDR)の構成通貨入りも、そういった流れの中で推し進められたものだ。
 今年10月以降、人民元はSDR5番目の構成通貨として採用される見込みであるが、仮にSDR入りしても、ドル決済を禁じられてしまえば中国経済は破綻に追い込まれる。

 資源を買うことができなければ、軍艦を出動させることもできなくなり、これまでの「中国は今後も発展していく」という幻想は根底から覆される。
 そして、その段階においても対立が融和しない場合、アメリカは金融制裁をさらに強めることになるだろう。

 現在、世界の銀行ランキング(資産額ベース)で中国の銀行が1位、2位、4位、5位を占め、チャイナマネーは強大に見える。
 かつて、バブル期には日本のメガバンクが世界を席巻し、ほとんどが世界トップ10に入っていた。 今は、ゆうちょ銀行と三菱東京UFJ銀行が下位に食い込むのみだ。

 バブルマネーによって、中国経済は本来の実力以上に大きく見られているが、バブルが崩壊し、同時にアメリカが金融制裁を強めたら、どうなるか。
 当然、一気にこれまでの体制が瓦解し、中国は奈落の底に落ちることになるだろう。

 そうした構造をよくわかっているため、中国はアメリカのドル支配から抜け出そうとしているわけだ。 アジアインフラ投資銀行(AIIB)や新開発銀行(BRICS銀行)の創設を主導し、二国間投資を推進することによって、アメリカに頼らない体制をつくりたがっている。

 その動きを否定しているのが日本やアメリカであり、同時にASEANの各国も日米に連動するかたちで自国の権益を守ろうとしている。
 そういった世界の流れを鑑みると、米中の軍事衝突で中国に軍配が上がる可能性はきわめて低い。

補足、感想など

 文章を読んで感じることは、中国はなにもかも遅れて来た国なのだなということ。
 産業革命に200年も遅れるということは、ここ30年くらい発展したくらいでは先行組には追いつかないし、先行組に真正面から対抗しても無理だ—ということだ。

 そのことは、日本についても言える。
 明治維新が19世紀の後半、英国の産業革命に100年遅れで出発し、以後70年経過したくらいで、100年先行組の欧米諸国と軋轢を起こし、太平洋戦争へ突入した。

 中国は1980年代に改革開放政策で、英国の産業革命に200年遅れで出発し、以後約35年を経過したぐらいで、200年先行組のアメリカ、100年先行組の日本などと軋轢を起こしているという状況だ。
 その軋轢の発生も、いかにも時代遅れな「帝国主義的」な領土拡張にあることが、日本の場合と同じであろう。

 遅れてきたものの、焦り・僻み・200年/100年先行組への嫉妬などが中国人の行動の根底にあるのだろうな。

 日本人の太平洋戦争への突入は、100年遅れなりの「イエローの意地と根性」を、100年先行組に見せつけなければならなかったのだ。
 殴りあって、殺しあって始めて理解できる—そういう関係であったということだろう。

 さて、中国人の200年先行組/100年先行組との「争い」には、どんな意味合いがあるのだろうか。
 英国の産業革命に200年も遅れる大ノロマ民族の「大ノロマなりの意地と根性」を、先行組に見せつけてやる---ということだろうか。

 それならそれで---
 あぁ、プーチンさんは、習近平さんの味方をしてはくれないよ。