2017年3月18日土曜日

ルノーに排ガス不正の疑い

ルノー自体は、不正を否定している。
 でも----
 あのVWでさえ、不正をしていたのだ。ましてや、フランスのルノーが不正をしていない---という可能性は低かろう。

 なぜって。
 ディーゼルエンジンで、なんらかの不正をしなければ、排ガス規制に合格する訳があるまい。
 ディーゼルエンジンで、不正をせずに排ガス規制をクリアできるのは、日本のマツダぐらいなものだ。

 ちょいと、そのあたりの記事を転記する。

 --ここから--

2015/09/28()
◆自動車メーカーにあるまじきVWの背信行為
 ディーゼルエンジン(DE)の排ガス規制に対し、独フォルクスワーゲン(VW)が自動車メーカーにあるまじき背信行為を行い、 世界に波紋を投じている。
 日本ではマツダのSKYACTIV技術によるDE車が評価を得て復活が進んでいるだけに、 影響が懸念される。

 だが、良くも悪しくもディーゼルへの注目が高まるので、同社の革新的なDE技術への認知が広まる機会ともなりそうだ。
 この事件を受け、マツダに問い合わせると、VWが不正を行った排ガス性能を制御するようなソフトは、当然のことなが ら「搭載していない」。
 さらに世界各国・地域での排ガスなどの審査についても適正な認証を得ていると強調する。

 VW事件の震源地である米国でのマツダ車の販売は、1-6月で前年を2%上回り堅調に推移している。
 また、北米へのDE車は「発売を検討している段階」と未投入なので、DEを巡る当局の調査などによる混乱は起こりようがない。

◆ディーゼル開発はNOxとの闘いの歴史
 VWが蛮行に手を染めることになったNOx(窒素酸化物)は、大気中の濃度や気候によって人体に有害な光化学スモッグを起こす厄介なシロモノだ。
 DEの排ガス技術開発は、主にNOxとの闘いであったといっても過言でない。
 DEはガソリンエンジンよりも 高圧縮状態で、軽油と空気の混合気を自然着火させて燃やす。
 燃焼室は高温、高圧になるため軽油と空気が十分に混ざる前に着火しやすく、 これがNOxやススなどのPM(粒子状物資)を増やすこととなる。

 「クリーンディーゼル」と呼ばれ、各国・地域の最先端の排ガス規制をクリアするDEでは通常、NOxの低減には触媒、 あるいは排ガスと尿素水を反応させるなどの後処理を施している。
 尿素水方式は大型トラック用のDEで実用化されているし、 トヨタ自動車も今年開発した2.5リットルと2.8リットルのSUVやピックアップトラック用の新世代DEに採用した。

 マツダのSKYACTIV-Dと呼んでいるDEには、そもそもNOxの後処理装置がない。
 DEでは常識外れの低圧縮比にしたエンジンでの燃焼により、NOxなどの抑制につなげているのだ。
 つまり、DEでは通常18程度となっている 圧縮比を、『CX-5』などに搭載されている2.2リットルのSKYACTIV-D2012年発売)では14.0とし、世界の自動車用DEでは最も低くした。

◆常識外の低圧縮燃焼でディーゼル復活をけん引
 このような低圧縮比では、寒冷時や始動時などエンジンが温まっていない状態では混合気が着火できなくなる。
 DEの低圧縮比は、まさに常識外だった。しかし一方で、低圧縮比だと排ガスが飛躍的にクリーン
になることも分かっていた

 マツダは、吸気バルブを開けるタイミングを遅くし、1度閉じた排気バルブを吸気中に再び少し開けるといったバルブの 独自制御などにより、難題だった低圧縮比での燃焼技術を確立した。
 低圧縮化によってエンジンは比較的コンパクトにでき、排ガス関連システムの簡素化によってコストの縮減や軽量化も実現できた。
 マツダの国内販売は、14年に1.5リットルも加わったSKYACTIV-Dシリーズ搭載車が高い評価を得て快走している。

 15年上期(16月)は国内市場全体が前年同期比11%減と低迷するなか、マツダ車は15%増の139100台と大きく伸ばしている。
 このうち5車種を販売しているDE車が前年実績の約3倍に相当する62000台と、伸びをけん引している。

 国内総市場の乗用車に占めるDE車比率は、足元で3%程度にとどまるが、00年代のほぼゼロ状態から SKYACTIV-Dの投入を契機に復活が進んでいる。
 DE車の力強い走りや燃費および排ガス性能が再評価され始めた矢先のVWショック。
 しかし、販売店を含むマツダ陣営にはSKYACTIV-Dの特質をしっかりとユーザーに訴え、引き続きDE復活の先導役を担ってもらいたいものだ。

 --ここまで--

 どうだろか。
 マツダの工夫である低圧縮比、吸気弁・排気弁の独自の動き などをみていると、どれだけ、技術者が徹夜を続けたかが想像できる。
 つまり、ここまでしないと実は排ガスの規制をクリアできないのだ。

 じゃ、ルノーの技術者達が、そこらの床に仮眠しながら、毎日毎日、徹夜を継続しながら、吸気弁をどう動かそうとか実験を続けたと思うか?
 そういう数千回~数万回もの繰り返しに耐えることができると思うか? 西欧諸国のエリート達が。

 このあたりが、西欧諸国と日本の技術者の「違い」なのだ。

 以下、新聞から抜粋。

 フランスの自動車大手ルノー(Renault)が25年以上にわたり、ディーゼル車とガソリン車の排ガス試験で不正行為を行っていたことが、AFPが入手した仏不正捜査当局の報告書で明らかになった。
 カルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)最高経営責任者(CEO)を含む経営幹部もそれを認識していたとしている。
 ルノー側は不正を否定している。

 報告書は、ゴーン氏を含むルノーの経営陣全体が「詐欺的な戦略」に加担していると指摘している。
 この報告書に基づき、仏検察当局は1月に同社の捜査に着手している。

 ルノー側は疑惑を全面的に否定している。
 AFPの電話取材に応じたティエリー・ボロレチーフ・コンペティティブ・オフィサー(CCO)は「ルノーは不正を働いていない」と述べ、ルノー車はすべて法定の基準に従っていると強調した。

 報告書はルノーの排ガス制御に関する決定に関して、ゴーン氏が承認を他の人物に任せた形跡がない以上、最終的には同氏の責任になると記している。
 報告書によると、試験中に有害物質の排出量を少なく見せる装置が「多くの車両」に搭載されていた。
 路上走行時の排出量は試験時に比べ最大で377%多かったという。

 報告書は最近発売された車を主な対象にしているが、ゴーン氏はルノーの元従業員の証言も踏まえて、こうした不正が1990年から行われていたとみている。

補足、感想など

 VWの不正は、メルケル首相も知っていた。
 要するに、西欧諸国の技術者達には、上でふれたような徹夜・徹夜続きの技術開発を続けるだけの「根性」がないのだ。
 なんせ、上流階級の少数のエリートなものだから。
 綺麗な服をきて、エリート然として、他者に命令だけをするのが好きという人間ばかりなのだろう。

 そんな雰囲気の中で、フランスのルノーだけが、排ガス規制をクリアできるだけのエンジンを造れる訳がない。
 フランスの政府首脳も目をつぶって、ルノーの不正を見過ごしていたのだろう。

 表だって、この問題を取り上げられれば、ゴーンさんも責任をとって辞めざるをえなくなるだろうな。