2017年3月2日木曜日

アジアにおける「君の名は」にみるハリウッド離れ

ちょいと、我田引水気味の記事だが、なにか時代の変化をとらえているのかもしれない。
 話の中心にあるのは、「君の名は」というアニメだ。
 これが、アジア諸国でヒットしたことで、「日本人好み」という風潮が結構、アジア諸国で普遍性があるのでは—という記事だ。

 以下、新聞から抜粋。長文なので適当にカットする。

 洋画はかつて国内で公開される映画作品の中で高いシェアを占めていたが、近年では邦画が熱い。日本映画製作者連盟によると過去9年間、国内興行収入で邦画が洋画を上回る状況が続く。

 「妖怪ウォッチ」シリーズの公開初週観客動員数は、「スター・ウォーズ/ローグ・ワン」や「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」を上回った。世界ではハリウッド映画の人気が続くが、国内の観客の視線は日本独自の映画に向けられている。

 米国の映画調査サイト、ボックス・オフィス・モジョの世界興行収入ランキングによると、昨年の5位まではすべてディズニー作品。
 一方で国内の年間興行ランキングで1位になったのは東宝グループの「君の名は。」だ。

 岡三証券の岸本晃知シニアアナリストは、製作委員会方式が安定した興行収入を生み出し、邦画の成長につながっていると指摘。
 近年のハリウッド映画については、「邦画と競争するよりも、成長する中国市場で公開される方がメリットが大きい」と述べ、映画の市場規模が日本の3倍ある中国でのヒットをより重視している。

 2016年には中国の大連万達集団がハリウッドの映画会社レジェンダリー・エンターテインメントを買収。
 2月に公開された米中合作の「グレートウォール」は中国の万里の長城を舞台にしている。
 ハリウッド系の映画会社は今後も中国市場を意識した作品を製作し続ける見通しだと語る。

 一方、日本で国内向けに製作した作品が海外でも好評を博した。
 16年8月公開の「君の名は」は新海誠監督による作品。
 東宝の16年3ー11月営業利益は前年同期比で29%増加したが、同作や「シン・ゴジラ」のヒットによるところが大きい。
 「君の名は。」の半年間の国内興行収入は約235億円に達し、宮崎駿監督作の「ハウルの動く城」を抜き国内歴代邦画興行収入第2位に躍り出た。

 観客動員数の伸びに「本当にうれしいし、大変驚いている」と語るのは、宣伝プロデューサーの弭間友子氏だ。
 タイトルが決まっていない製作当初から関わり、打ち合わせなどに参加していた弭間氏は、監督に近いポジションから製作現場を見ていた。
 新海監督の作品の魅力といえる実写に近い風景画を使い、東京の街並みや観客が見たことのあるような風景を宣伝に全面的に使う案を打ち出した。

 何度も映画館に足を運ぶリピーターが続出した同作の、日本を含む世界興行収入は約3億2700万ドル(約370億円)。
 2001年にアカデミー賞を勝ち取った「千と千尋の神隠し」の約2億7000万ドルを抜き、世界で最も収入を得た日本のアニメ映画となった。
 弭間氏は海外での好成績について「もともと海外展開を目指したわけではなかった」と語る。
 映画の中では、日本語独特の言葉使いや方言など、日本人にとってはなじみやすくても、海外の観客にとって分かりにくい場面や翻訳もあるためだ。

アジアで高い評価
 中国とタイではそれぞれ日本映画歴代興行収入1位になり、韓国では第18回プチョン国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門で優秀賞と観客賞を勝ち取るなど、アジア圏からの評価は高い。

 映画に出てくるロケ地を巡る「聖地巡礼」などの社会現象は国内のファンと同様に海外からの観光客の間でも話題になった。
 アニメや漫画などを使用し日本文化を世界に広める「クール・ジャパン」戦略を進める日本政府も、「君の名は。」を使ったインバウンド観光戦略案を発表。

 一般社団法人アニメツーリズム協会は、映画で使われた岐阜の飛騨と東京を巡る聖地巡礼ツアーの参加者を募集。選ばれた30人の移動、宿泊、食事費用を提供する。
 アニメの舞台になった地方都市などを紹介し、地域活性化やインバウンド観光の波及を試みる方針だ。

 一方、アジア圏内では好成績を収めたものの、米国での成功は難しいのでは、と南カリフォルニア大学映画学部のエレン・セイター教授は指摘。
 海賊版や違法ストリーミングの配信の影響で「君の名は。」を含む日本アニメやアニメ映画が海外で利益を得るのは困難になってきていると語る。
 ただ、米国でもアニメ映画に贈られるアニー賞の作品賞と監督賞の候補となるなど話題になり、関心は高い。

 弭間氏は「ビジネスとして『日本でこれは売れるだろうか』や『海外でこれはどう受け止められるだろうか』という概念ではなく、新海監督に『今自分が何を作りたいのか』という気持ちで作ってもらった」と語る。

 「知らない者同士が、お互いに知らない場所で生きていて、もしかしたら二人は出会うかもしれない存在。現実は会えない、でも、何らかのカタチで触れ合う」物語が今作の動機と語る新海監督を見守って来たのも弭間氏だ。
 「クリエイターが今何を作りたいという気持ちを大事にしたい。監督が作りたい物を形にしていく作業だった」と振り返り、それが人々の心を打つことになったのではないかと分析。
 「君の名は。」は4月7日から北米で吹き替え・字幕版共に公開される。

補足、感想など

 アメリカ人が「君の名は。」をどう思おうと知ったことではない。
 冒頭でふれた。
 日本人は、知性という点で、世界レベルで見て「頭一つ抜け出している」。その意味で「ガラパゴス化」しているのだ。
 日本人には、ハリウッドの「おばか映画」など見る気もしない。

 「君の名は。」というアニメも、日本人の嗜好にあったものであろう。
 ただ。
 その「日本人好みのアニメ」を、多くのアジア人も同じように「好んでくれた」という事実がうれしい。 そこに「日本人化」いや、「日本人化とはいわなくても、日本人の嗜好に同調してくれる」多くの人達が存在しているということなのだろう。

 そのことに感謝したい。