2020年1月23日木曜日

ビート 警視庁強行犯係・樋口顕 今野敏著 平成20年5月刊行 新潮文庫 感想


面白い。
 警察小説なのだが、家庭内のアレコレも扱い、主人公である樋口顕の「切れ味」が、山場で爆発する。
 これだけ、頭が切れなくちゃ面白い小説にはなりえないなぁ、と感じる。

 例によって、アマゾンでの書評をいくつか転記させてもらおう。

 -ここから-

おもしろい!
文字の細かさ、十分すぎるくらいの描写、そこはぐっと我慢で読む!
13までシリーズで読んだが一番おもしろかった。12にはなかった勢い。中盤から一気に読み上げてしまった。ページをめくらずにはいられなかった。リアルな社会勉強がスローペースで出来るかと思いきや…読み終わった後味の良さ、爽快感が心のほとんどを占めた。警察小説を超えたヒューマンドラマ…などと、思いがけず感じた。多種多様、十人十色あれど、家族や組織の繋がり、人生かけて打ち込める何かの共有、そこから生まれる喜びや理解。物語の主軸となる島崎一家には目一杯引き込まれた。島崎パパ、愛すべきキャラクター。主人公やおなじみの登場人物の出番が少ない分、島崎一家がごっそりもっていく。そして納得の結末。考え方や身のこなしなど、古い時代の気質を持つ40代後半の刑事(島崎パパ)が家族と向き合う事で、いびつな固定観念が削ぎ落とされて丸みをおび、また一歩、新たな境地へ踏み出そうとする姿に、茶柱の立ったお茶を差し上げたい。
せっかくならシリーズで読んでみて欲しい。見慣れた登場人物がしっかり出てきてくれる安心感と、回を追うごとにだんだんとしっくりくるようになる。私はこの作品で全員バチッと見事にはまった。この作品では主人公たちの出番は少ないが心配無用。レギュラーの特権を生かして一番良いところで躍動してくれる。始めて主人公に共感出来た。同じところで、私も感動した。本当におもしろかった。次のシリーズも読んでみようと思う。


刑事ドラマとホームドラマの融合
殺人事件の犯人探しの面白さに島崎、樋口両刑事の家庭内問題を見事に絡ませ複雑な親子関係を展開しながら最後は信頼関係が構築されていくドラマに二重の感動を覚えました。
タイプの違う二人の刑事の今後の活躍に期待します。併せてそれぞれの子供がどう成長して行くのと言うことにも興味が有りますね。英二がニューヨークでタエと共にダンスの修行に励み、丈太郎が柔道で何処まで活躍出来るのか、樋口の娘がこのままぐれることもなく高校を卒業出来るのか、興味は尽きない。家庭内の会話が復活した島崎の事件への集中力が大いにドラマを盛り上げて呉れるだろう。


ひぐっちゃんシリーズは特に人間ドラマを描いているところが多いが、本作品は筆者が今までの集大成と言っているように重厚な出来だ。充実した読後感。


 -ここまで-

 上の書評に筆者は、同意する。
 なお、筆者なりに付け加えるとすれば、「現場の残されたいくつかの証拠」から、「どのように、犯人が行動したか」が読める能力に感心した。

 それは、このブログでいつもふれている、「目の前を流れる現象の核心部分だけでも押さえておく」という姿勢・ノウハウに通底している。