2019年3月1日金曜日

米朝会談決裂。金委員長の不機嫌の理由


米朝会談が決裂した。
 まぁ、手駒の少ない北朝鮮が、一つや二つの駒を見せびらかしても、アメリカを納得させることができなかったということだろう。
 当然、予想できたことだ。

 まず、会談決裂の記事から抜粋。

 米朝会談の決裂について日本政府が歓迎する姿勢を見せていることで、愛国日報が悔しそうに報道している。
 いかなる合意にも至ることができなかったことで日本の思い通りの展開となり歯ぎしりが止まらないようだ。

 日本「『バッド・ディール』より『ノー・ディール』…安易な妥協なくて良かった」
 2/28()中央日報日本語版
 日本政府高官が28日、米朝首脳会談がいかなる合意に至らずに終わったことを受け、「安易な妥協をしなくて良かった」と述べたと時事通信が報じた。
 時事通信が報じたこの関係者の発言は日本政府内の雰囲気を反映したと見られる。
 菅義偉官房長官も午後の定例記者会見で関連質問が出ると、「詳しい内容が分からず、今確認中」としながらも「米国とはその間北朝鮮の核やミサイル、そして拉致問題の解決に向けてお互いの方針を合わせて調整してきた」と話した。また、「ずっと緊密に連携していきたい」と話した。

 NHKはこのような政府内部の雰囲気について「日本政府はその間『バッド・ディール(悪い合意)よりはノー・ディール(無合意)の方が良い』という方向で米国と調整してきた」とし「日本政府は今回のトランプ大統領の決断を支持するものと見られる」と分析した。
 実際、河野太郎外相は22日の記者会見で金剛山観光事業と開城工業団地事業の再開について「韓国が言っているのは制裁とは関係がない話であり、それは制裁が解除された後の話だと理解している」として反対の立場を明確にした。
 「金剛山観光と開城工業団地事業の再開を制裁の例外と認めてはならないと考えているのか」という質問に「そうだ」と答えた。
 彼は27日、国会でも「核・ミサイルの『完全に検証可能で不可逆的な廃棄(CVID)』なしには北朝鮮への制裁を緩和しないというのが日本の立場であり、これは完全に米国(の立場)と同じだ」と言ったりもした。

 安倍晋三首相も28日、衆議院予算委で「日本は北朝鮮の核・ミサイルのCVID(が必要だという立場)を米国にはっきりと伝えている」と述べた。
 また、「その間、トランプ大統領と多くの時間を消費して会談をしてきたし、詳細に議論してきた」として「日本に何が重要なのか、何が危険なのかについても明確に伝えてきた」と話した。
 米国と日本の間に意見調整と共助に対する強い自信を表わしたところだ。

 別記事では。

2019228
 韓国・聯合ニュースによると、第2回米朝首脳会談を終えたドナルド・トランプ米大統領が記者会見を行い、合意に至らなかった理由について「寧辺の核施設廃棄プラスアルファを望んでいた。これまでの核施設以外に、われわれが発見したものがある」と述べた。
 トランプ大統領は、「具体的に寧辺の核施設の話をしたか」との質問に「した」と回答。
 また、「新たに発見したのはウラン濃縮施設か」との質問に「そうだ。われわれが知っていた事実を北朝鮮は驚いていたようだ」と述べたという。

 会見に同席したマイク・ポンぺオ国務長官も「寧辺核施設以外にも非常に大規模な核施設がある」とし、「ミサイルも核弾頭の兵器システムも抜けていたので、核リストの作成や申告などで合意できなかった」と説明した。

これに、韓国のネットユーザーからは
「まただまされた」
「寧辺より大きい核施設を隠し、核を放棄するふりをしていたなんて!」と驚く声が上がり、韓国政府に対し「文大統領が望む非核化の前の制裁緩和がどれほどばかげた発想であるか、はっきりと証明された」
「韓国政府は知らなかったの?それとも知らないふりをしていたの?」
「トランプ大統領がいなければ、韓国はまた北朝鮮にだまされていた。韓国政府の無能さが恥ずかしい」
 と批判的な声も寄せられている。

一方、トランプ大統領に対しては
「やっぱりだまされなかった。よくやっている」「文大統領よりはるかに韓国の大統領らしい」
など称賛の声が上がっている。


補足、感想など

 どうも、北朝鮮は、アメリカの情報収集力というものを舐めてかかっているのだろうな。
 中国と同じで、外部からの情報を遮断することが、「情報制限」という落とし穴に自らも落ち込んでいるのだ。結果、常識外の判断をしてしまう。中国という国の不合理な判断を見よ。その非常識さがよく分かる。

 持てる手駒が少ない上に、「秘密」にしていることまで多くあれば、交渉が成立する訳があるまい。
 北朝鮮という国の、子供っぽさ、非常識さが浮き彫りとなった交渉事ではある。

 上(上段)の記事に日本人からの感想があった。北朝鮮の金委員長が不機嫌となった理由が、明確に書かれてあった。

 --ここから--

 悔しい悔しいと愛国日報
 中央日報さん、昨日は立て続けに米朝首脳会談の記事をアップしてますね!
 よほど悔しかったのかもしれないね。日本の思い通りに非核化なければ合意もないという展開になったからな。いかなる合意にも至ることができなかったし、次の会談についても金正恩との約束がなかったとある意味自虐的に報道している。

<第2回米朝首脳会談>ホワイトハウス「米朝、いかなる合意にも至ることができなかった」
2/28()中央日報日本語版
 米ホワイトハウスが第2回米朝首脳会談で何の合意にも至ることができなかったと明らかにした。
 28日、ホワイトハウスは「ドナルド・トランプ米国大統領と金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長が2日間ハノイで生産的な交渉を行ったが、非核化と相応措置に対する異見により、結局合意には至らなかった」と明らかにして「両首脳は今後また会うことを期待することにした」と伝えた。

 トランプ氏、次期会談に関して「金正恩委員長と約束なかった」
 2/28()中央日報日本語版
 ドナルド・トランプ米大統領は28日、次期会談に関して金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長と次の会談に対する約束はなかったと明らかにした。
 トランプ大統領はこの日、宿舎であるベトナム・ハノイのJWマリオットホテルで記者会見を行い「次の会談が開かれるまで長くかかる可能性もあり、すぐ開かれる可能性もある」とし、このように話した。
 また、トランプ大統領は「本日も合意を導き出すことができるが、そのように合意するのは私もポンペオ氏も満足しない合意だろう」とし、「さまざまなオプションがあったが、今の時点では合意を導き出さない方が良いと判断した」と説明した。

 何の救いもないですね・・・。
 ネットユーザーの反応欄に何が書かれてるのか楽しみだ。文在寅があれだけ制裁解除を見越して行動していたというのに、結果はすべて裏目に出てしまった。
 今思ったんですけど、開城団地など一部だけを例外にする、という話ですよね?制裁の全解除はさすがに考えていなかったのでは?

 いやいや金正恩は明確に制裁解除を求めてたという話だぞ?文在寅もその気でいただろうし、それが無理なら一部例外という形で落とし所を作るつもりだったんだろう。
 ところが一切トランプが譲らないので不機嫌になって帰国。文在寅の立場は消えた。
 それは確実ですね・・・。ムン大統領は、もう下ろされるしかないのでは?
 最大の仕事である北朝鮮との融和政策が失敗したからな。支持率がここから暴落してもおかしくない。

 トランプはニクソンと同じ轍を踏むのを拒否した
 ネットユーザーの反応です!
・安倍首相のみならず、多くの日本国民も結果を支持しています
・南北融和で愛国心を発揮してた韓国は、深刻なしっぺ返しを食らうかも
・成果はなくても妥協はしない。これもアメリカの交渉力だと思う
・残念に思ってるのはキム委員長とムン大統領だけ
・ここで韓国の瀬取りの問題を明らかにしてほしい
・トランプ大統領が常識を持っていた。合意に至るはずがない
・予想通り。焦るのは北朝鮮だけ。経済制裁の効果が出てきてる
・ムン大統領のメンツが丸つぶれ・・・。むしろムン大統領が台無しにした?
・トランプ大統領が過去の大統領と同じ轍を踏まなくて良かった
 まあそういうことになるね。ニクソンと同じ失敗をして、ロシアゲートで辞任に追い込まれるというシナリオがもう目の前に迫っていたからね。
 ハノイ会談の拒否で自身の延命を図ったということでもある。

 やっぱり、そうですよね・・・。同じ日に、トランプ大統領の弁護士が、議会で証言してます!
 トランプ氏の元弁護士「隠蔽加担を後悔」ロシア疑惑証言
 2/28()朝日新聞デジタル

 トランプ米大統領の顧問弁護士を務めたマイケル・コーエン被告が27日、「ロシア疑惑」について米議会で証言した。
 2016年の大統領選で民主党のクリントン元国務長官の陣営に打撃を与えた内部告発サイトの大量メール暴露を、トランプ氏が「事前に知っていた」と証言した。
 コーエン被告は選挙資金法違反の罪などで実刑判決を受けたが、捜査に協力している。
 コーエン被告は下院公聴会の証言でトランプ氏を「詐欺師」と断じ、「トランプ氏の不法行為の隠蔽に加担したことを恥じている」と述べた。
 民主党の大量のメールがロシアにハッキングされ、2016年7月に内部告発サイト「ウィキリークス」(WL)で暴露されたことに言及。コーエン被告はその数日前、トランプ氏とロジャー・ストーン被告=偽証の罪で起訴=がスピーカーホンで会話し、直前にWLのアサンジュ代表と話したばかりのストーン被告が、数日内に大量のメールが暴露されると説明しているのを聞いたと証言。
 ストーン被告の説明を受け、トランプ氏は「素晴らしいじゃないか」と応じたという。
 ただし、コーエン被告はトランプ氏や陣営がロシアと結託していたかについては、「疑ってはいる」が、「直接的な証拠は知らない」としているという。
 トランプ氏は27日、「コーエン氏は刑期を少なくするためにウソをついている」とツイートした。(ワシントン)

 そうそう。この議会証言が米朝首脳会談と同時に行なわれたのは偶然じゃないよ。
 トランプはニクソンに憧れているようだが、ニクソンの辿った歴史をそのまま真似したいのか?となるとさすがに拒否したんだと思う。
 ロジャーストーンという人が被告なんですね・・・。

 ベトナム共和国シナリオはしばらく封印か
 トランプ大統領は、弾劾されるんでしょうか?
 歴史の軌跡を辿ることを否定したので、ロシアゲートが理由での辞任シナリオも拒否すると思う。 
 だが終戦宣言をせずにどうやって米朝の問題を解決するかが見えてこないのも問題だ。
 結局北朝鮮との有事という話になれば元の木阿弥だ。

 ■トランプ大統領は、北朝鮮と戦争をする覚悟が・・・?
 ないと思う。今回の合意もポンペオやボルトンなど側近にストップされたようなものだろ?
 ボルトンは明確に朝鮮有事を意識し始めていて、トランプを説得してる段階だと思う。
 トランプは平和主義者なので在韓米軍も今すぐ撤退したいが、それはしばらく許されないかもしれない。

 ■えっ?じゃあ、ベトナム戦争とは全然違う展開になりませんか?
 そういうことになる。昨日までのベトナム共和国のシナリオは当面忘れてほしい。
 トランプがハノイ会談のシナリオを否定したというのは、それだけ重大なことなんだよ。
 金正恩もてっきり北朝鮮は北ベトナムとなり、ベトナム社会主義共和国のように全土を統一できると思い込んでいたから不機嫌になったんだろう。

 ■それで制裁が解除されるって、甘い見通しを立ててたんですか?
 会談場所がハノイというだけで油断したのかもね。
 わざわざ鉄道で1週間の長旅を選択してまで行ったというのに制裁解除がなかった。
 金正恩の北朝鮮内での立場も当然危うくなるだろう。政権をひっくり返される危険性はまだないだろうが、金正恩はそれを恐れ始めると思う。

 ■ムン大統領は、どうなりますか?
 もう無理じゃない?やることがなくなったからなwww
 ムン大統領は、もう意地悪チームに染まってしまったので、ハッピーパワーをもらえなくなってしまったんです!引き寄せる力を失ってしまいました!
 そうそう、ハッピーパワーも通用しなかったとww
 違います!最低賃金の引き上げに失敗したので、引き寄せの神様からも見放されてしまったんです!全部意地悪チームのせいです!

 ■引き寄せにも神様がいるのかよwww キリスト教徒から怒られそうだけどいいのか?
 信仰とは違うので、いいと思います。自分自身を信じる力を失ってしまえば、もう二度と振り向いてもらえないんです!

 ■苦しい解釈だな…。まあ韓国がどうなろうが日本はどうでもいいけどね。
 それどころか日本の望み通りの展開になってある意味ご飯が美味しい。
 南北平和!日本は孤立!と散々あおってたマスコミ連中も眠れない夜を過ごしたんじゃないか?ここまで愛国心を発揮しておいて今さらすり寄るようなことは一切受け入れないからな。
 韓国の皆さん、もう手遅れです!そのまま突き進んでください!
 日本は関係ない!統一おめでとう!韓国さようなら!

 --ここまで--

 そうか。
 金委員長は、制裁解除 → 北朝鮮による南北統一(核兵器所持のまま--アメリカとしては、核兵器を北朝鮮が所持していても構わない。アメリカの領域内へ届かなければいいと考えているということだろう) というシナリオを書いていて、この米朝会談がその契機となると思っていたのだな。
 その目論見がうまくいかず、不機嫌となって、北朝鮮へ帰っていったということか。

 アメリカの考えていることってなんだろう。
 日本の戦後レジームの完全崩壊 → 日本は「極東の虎」と化す → アメリカは、北朝鮮の核兵器所持を認める(アメリカに届かないことが条件) → 日本は、核兵器所持を決断する(アメリカもそれは致し方あるまいなと承諾---「極東の虎」であるなら、そうならざるをえない。当然のことだと)

 そういう想定を許す状況となっているのだろう。


 --ここから--

 日韓の不和、米国が慌てて仲直りさせないのはなぜか―中国専門家
 2019227()
 日韓の不和、米国が慌てて仲直りさせないのはなぜか―中国専門家
 26日、環球時報は、「日韓の不和、米国が慌てて仲直りさせないのはなぜ?」と題する劉衛東・中国社会科学院米国研究所研究員の文章を掲載した。
 2019226日、環球時報は、「日韓の不和、米国が慌てて仲直りさせないのはなぜ?」と題する劉衛東(リウ・ウェイドン)中国社会科学院米国研究所研究員の文章を掲載した。
 以下はその概要。

 日韓関係が再び危機に陥った。発端は韓国最高裁が日本企業に賠償金支払いを命じた昨年の元徴用工訴訟だ。日韓共通の同盟国である米国はなぜ、両国の緊張を無視し、和解を促そうとしないのか。
 トランプ氏が政権を握ってからというもの、同盟体系に対する明らかな軽視姿勢が示されるようになった。
 米国は同盟国により多くの費用負担を求め、同盟国との結び付きを強化する策もほとんど講じていない。
 トランプ氏の同盟意識は希薄で、対外制裁や貿易戦争発動時に公の場で協力を呼び掛けることはまれだ。
 トランプ氏は同盟関係を一種の負担とみることに慣れており、「再び偉大になった」米国は同盟国のサポートを必要としないということなのだ。

 戦略的角度から見てみると、トランプ政権には長期的かつ形を成したアジア太平洋戦略計画が不足している。
 政権が掲げる「インド太平洋戦略」はより大きな中国包囲網を形成するためにインドを引き入れるというものだが、その中に日韓はしかるべき位置を見つけられずにいる。
 トランプ氏が北東アジア地域で大きな関心を寄せているのは北朝鮮問題だ。
 同氏にとって日韓は必要な時に手助けしてくれる従者にすぎない。
 「アメリカ・ファースト」をスローガンとするトランプ政権は目の前の利益を重視し、自国利益に直接関係しない問題には全く関心を示さない。
 日韓衝突から今日に至るまでトランプ政権が無関心な態度を取り続けているのも、求められそうな利益がないと感じたからだ。

 歴史上、米国は東アジアにおいて車輪の中心に自らが立ち、そこから伸びるスポーク上の国々と個別に密接な関係を保つ戦略を取ってきた。
 ただ、スポーク上の国と国とが緊密な関係を築くのは極力阻止。
 中国、日本との関係処理でもこの方法が貫かれたが、米国にとって日韓関係と日中関係は異なる性質を持つ。
 日韓はいずれも同盟国であり、その役割は重要だ。米政府はこれまで日米韓同盟の役割を常に強調してきた。トランプ政権になって初めてこれが「無言」に変わったのだ。

 日韓の対立に制御不能の兆しが出現した今、米国が統一戦線に亀裂が生じるのをこれ以上無視できなくなったからこそ、米超党派議員は日韓の関係改善を求める決議案を提出した。
 内部圧力を受けたトランプ政権が日韓双方に怒りを鎮めるよう要求すると予測されるが、日韓の歴史的な負の感情は根深く、外部の力が状況を根本から変えられるとは考えにくい。
 トランプ政権は同盟国を和解させる力も和解への関心も持っておらず、長期的に見ると日韓が関係回復を図るにはやはり自力に頼るしかないのだ。

 --ここまで--

 ★追記。
 忘れていた。
 このブログも今日から16年目に入った。
 年齢を重ねることで、「深く生きる」ために皆様のお役に立てる情報が発信できたら--と思っている。(表面をサラッと撫でるだけのような「ペラペラの浅い生き方」のどこが面白いか?)