2013年2月14日木曜日

クルーグマン教授のアベノミクスへの論評。


▲別に、ノーベル賞受賞の教授の話であろうが、それを「金科玉条」のように聞くつもりはない。
 聞き手として、そんなスタンスだ。

 それにしても、と思う。
 クルーグマンという人、多分、ユダヤ系の人だろうが、年齢を重ねて、少しドギツサが薄れてきたな。
 かっては「ノーベル賞」を鼻にかけたような言動であったが、なにかしら「普通ぽく」なった。
 そのクルーグマン教授が、「アベノミクス」について論評している。

 アベノミクスへのコメントを見ていると、上でふれたように、「普通の感覚」で受け止めているようだ。
 普通だし、当たり前じゃないか—という感覚かな。

 以下、新聞から抜粋。

 ポール・クルーグマン教授「1ドル100円超え」
 
 いま安倍首相が推し進める経済政策に批判が聞こえている。
 金融緩和をすると「ハイパーインフレ」になってしまうというものだが、的外れだ。
 米国でも、ハイパーインフレの恐怖が語られ続けてきた。

 しかし、現実ばハイパーインフレが起こっていない。
 私はマーケットの動向を見ているが、日本のインフレ率はちょうどよい値で推移している。
 いまはインフレ期待があることで、経済にとってプラスに働いている状況になっている。

 私だって、ハイパーインフレになれば、国民が苦痛を味わうことになるという点に異論はない。
 日本では、ハイパーインフレにはならないということは認識したほうがいい。
 さらに大規模な財政出動をやると財政悪化につながるという批判もあるが、これも現実を見ない批判といえる。

 どうしてか。
 大規模な財政出動を唱えても、日本の長期金利は1%未満の水準を超えず、 政府の借り入れコストはほとんど変化していない。
 一方で、インフレ期待は高まっているのだから、政府の債務は実質的に減っている。
 日本の財政見通しは、大きく改善している。

 仮に日本の財政問題が危ないとマーケットが判断した際にも、「円」が売られ、円安が進むというシナリオが起こる。
 円安になるのは、日本経済にとって悪いことだろうか。

 安倍首相の経済政策を、「利益誘導型」の古い経済政策に戻ったと批判する者もいる。
 しかし、日本をデフレから脱却させるために必要なのは、どれだけカネを使うか? つまり質より量の問題なのである。

 日本は過去20年多額の公共投資を行ってきたが、経済が前進する兆しが見えると、 すぐに急ブレーキをかけてきた。「借金の懸念がある」と言って財政出動を抑えてしまうのだ。
 日本銀行も紙幣を多く刷ること?によってデフレ退治をすべく立ち向かおうとしたが、少しでも経済が回復し始めると、緩和の手を緩める方向に舵を切った。

 紙幣をばら撒きすぎると、急激なインフレの恐れが出てくると言ってきたのだ。
 さらに、財政刺激策をやる際には金融面でのサポートがなく、金融緩和をやる際には財政面でのサポートがない。
 日本の政策当局はそんなことを繰り返し、経済が持続的に改善するという望みを潰してきた。
 結果、長くデフレから脱却することができず、国民は苦しみ続けてきたのだ。

 昨年末に安倍首相は、いままでの世界の政策当局がやってきたのとは違う政策を唱えている。
金融・財政両面で大胆な政策を打ち出しているのだ。
 私はアベノミクスを評価している。

 これこそが日本がデフレから脱却するために必要な処方箋となりうる。
 これが成功を収めれば、日本が先んじて、経済低迷から脱する方法を示すことになるだろう。

 アベノミクスの恩恵はすでに日本経済にもたらされている。
 マーケットがインフレを期待する方向へと転換を始めているからだ。
 つまり、いま名目金利が動かない中で、インフレ期待が高まっている。

 それは実質金利が下がることを意味し、実質金利低下の?副産物?として日本で起きているのが「円安・株高」である。
 これが日本経済にとって恩恵を与えている。
 日本の製造業。日本企業は国内にhub(拠点)を置き、 製品を輸出する態勢を取っているので、円が安くなればそれが輸出増を牽引する。

 日本企業が持っていた技術的創造性は、 円高などのマクロ経済要因によって妨害されてきた。
 円安で日本の製造業が強さを取り戻すきっかけをつかめる。
 さらに、実質金利が下がってくると、企業の設備投資などが活性化される。

 金利に敏感な国内投資、住宅、建設などが盛り上がりを見せる。
 日本は人口減少社会に突入するから停滞一色だといわれてきたが、 アベノミクスによって経済成長が期待できるようになってきた。

 この円安はどこまで行くのか。
 私は1ドル=100円を超える可能性があると思っている。
 対ユーロでも、円はさらに安くなるだろう。
 なぜなら、ユーロ圏は緊縮策を余儀なくされているから。
 米国も小型版アベノミクスを実行していることから、ドルもユーロに対しては安くなる。


▲補足、感想など
 なんとも長い文章だ。
 抜粋しても、抜粋しても上のような文章となってしまった。

 記事の要点を箇条書きとしたい。
 アベノミクスについて--クルーグマン教授の論評。

あ、ハイパーインフレーションは発生しない。

い、大規模な財政出動をしても、財政悪化に結びつかない。インフレ期待の中で、債務は実質、減少している。

う、仮に財政が悪化したとしても、円が売られ円安となるだけだ。

え、デフレ脱却の方法は、どれだけお金を使うか—という量の問題だ。

お、バブル崩壊後、日本は、経済が少し回復すると、舵を引き締めの方向にとった。その繰り返しで、長くデフレが続いたのだ。

か、安倍首相の政策提言をきっかけとして、名目金利が動かない中、インフレ期待が市場で広がった。これは実質金利の低下を意味し、それが「円安、株高」を引き起こしている。
また、この実質金利安は、国内企業の設備投資を促し、住宅建設などが盛り上がりを見せている。

き、円安は、国内企業の輸出増を牽引し、日本の製造業が強さを取り戻すきっかけとなっている。

く、円は1ドル=100円を越える可能性がある。また、ユーロは緊縮策を余儀なくされているため、対ユーロでもさらに安くなる。

 このくらいか。
 全体の印象からすれば、冒頭でふれたように、「そんな感じだろうなぁ」と普通に納得するようなことであろう。

 奇矯なというか、人の目を引きつけてやろうという意図のない論評だと思える。
 このあたり、クルーグマン教授の「ギラギラした感じ」が薄れたと思う。
 まぁ、年取ったのだろうなぁ。