2011年12月3日土曜日

タンタンの冒険—感想。

スピルバーグのcgを使ったアニメと解釈すればいいのかな。
 それにしても、cgを使って2時間近くの映画を作るって、莫大な費用だろう。
 それだけ、世界中での観客数が見込めるということなのだな。
 筆者は、これはスピルバーグが宮崎駿に対抗したアメリカ式のアニメだな、と感じた。
 (そう言えば、スピルバーグの娘さんが、宮崎の「魔女宅」のファンだとか聞いたなぁ)
 宮崎の真似をした…といえば語弊があろう。
 そうではなくて。
 アメリカのアニメーションは、基本的にウォルトディズニーの影響が強くて、やれ白雪姫だとか、やれダンボだとか、話の単純な子供向け童話という構造をもち、アメリカ人の大人達は、マンガ映画を含めて、頭っからそう決めつけている。
 だから、日本の「アニメ」は、アメリカのアニメーションと言葉からも区別されているのだ。(つまり、日本のものは「アニメ」であり、アニメーションではない)
 日本の手塚治虫、宮崎駿達が、アメリカのアニメーションに触発されて、日本の「アニメ」を創造したように(出藍の誉れといってもいいか)、スピルバーグは、宮崎駿のアニメに触発されて、アメリカ式のcgによるアニメーションを創出しようとしているのだ。
 そして、それはアメリカの大人達の鑑賞に耐えるものにしようと考えたのだろう。
 だからこそ、これだけ細部までこだわったcgでの映画なのだと思える。


 以下、映画の案内文から抜粋。
 スティーヴン・スピルバーグが3年ぶりに監督を務め、初のフルデジタル3Dに挑んだ本作は、漫画「タンタンの冒険」を映像化したもの。
 17世紀に姿を消した帆船ユニコーン号の模型を手にした少年タンタンが、愛犬スノーウィと船長ハドックとともに財宝の行方を追う、スピーディーでスリル満点の冒険活劇。
 原作コミックのテイストを守り、タンタンの旺盛な好奇心と想像力、ちょっとした勇気と閃きで真実を探す姿を活写している。
 世界最高水準のVFXで描かれる世界観に加え、実写では不可能なダイナミックなカメラの動きも見どころだ。
 あらすじ - タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
 タンタンは、世界中を飛び回り、スリルと興奮に満ちた冒険を最高に面白い記事にする少年レポーター。ニッカボッカとクルっとはねた前髪がトレードマーク、相棒は勇敢な白いフォックステリアのスノーウィだ。
 彼はガラスケースに陳列されていた帆船の模型に魅了され購入する。
 ところがその直後から、彼は見知らぬ男たちに追いかけ回されることに。
 何とその船は17世紀に海上で消息を絶った伝説の「ユニコーン号」だった。
 模型を調べていたタンタンは、マストから暗号が記された羊皮紙の巻物を発見する。
 その暗号は、ユニコーン号の財宝のありかを示していた。…


▲補足、感想など
 冒頭で、大人の鑑賞にも耐える…と書いた。
 スピルバーグの真の狙いは、おそらくそこにある。
 アメリカのアニメーション(大方のアメリカ人から子供騙<だま>しと思われているもの)を、日本の宮崎駿の描く「アニメ」の水準に高めたい。
 いや、もっというと、アメリカでcgを使って、「宮崎駿」に対抗するたけの名声を得たい…と考えているのだ。
 ついでながら、このスティーブン・スピルバーグがカリオストロの城を観て「過去最高のアドベンチャー・ムービーの一つだ」と発言した--という噂がアメリカのネットで流れたとか。
 このタンタンの冒険の続編、続々編を作りながら、きっと、宮崎の「天空の城ラピュタ」に対抗できるようなものをつくってくるぞ。
 スピルバーグは、まだ、筆者と同世代だ。
 宮崎に対抗する時間は、まだ、充分にある…と彼ならきっと考えているさ。