▲先日、このブログでコダックの倒産間近か…と書いた。
このコダックのフィルムなどを日本へ輸入していた商社がある。
長瀬産業という会社だ。
コダックのフィルムなどという会社としては大きな比重を占めていた商品がなくなり、いわば富士フィルムと同じような立場に立たされていた。
そこで、「乾坤一擲」とでも表現するような大きな勝負にでてきた。
それが、今年の春、倒産した岡山の林原(ハヤシバラ)の買収だ。
小が大を飲み込むような、risky に見える勝負ではあるが、長瀬産業としてはもう後がない。
文字通り、社運を賭けた大勝負というところか。
以下、新聞から抜粋。
化学品商社の長瀬産業が、2月に倒産した食品・化粧品素材などのバイオ企業、林原(本社・岡山市)を来年2月初旬にも子会社化し、同社再建に社運を懸ける。
林原は不動産投資などで負債が膨張。創業者一族による長年の粉飾決算も発覚し、会社更生法を申請した。
11月18日に提出した更生計画が裁判所から認可された後、長瀬が100%子会社化する。
林原はがん治療薬「インターフェロン」や糖質「トレハロース」を世に送り出した バイオの有力企業。
中でも食品の乾燥などを抑制するトレハロースは、製造特許を押さえて市場を独占し、 利益率も高い。
同社の支援には国内外の数多くの企業が名乗りを挙げ、買収額(=債権者への弁済原資となる支援金額)は高騰。
熾烈な争奪戦の末に権利を得た長瀬が投じる金額は、出資・融資合計で700億円に上る。
長瀬は合成樹脂や化成品、電子材料を柱とする化学品商社最大手。
1832年創業の老舗企業で、堅実経営 に徹してきたため財務内容もいい。
が、今回の買収に投じる700億円という金額は、長瀬が2010年度 に稼いだ最終利益の6年分にも相当し、その資金負担は非常に重い。
それでも林原を買収する一番の目的は、新たな収益柱の育成だ。
長瀬が扱う化学品商材は、電機や自動車業界 への依存度が高く、こうした業界の景況に業績が左右されやすい。
このため、景気影響を受けにくい食品用酵素 や医薬といったバイオ事業の強化を急いでおり、林原買収は同事業拡大の大きなチャンス。
化学品も将来的に バイオ由来商材の需要拡大が予想され、その対応のためにも研究開発の人材を増やしておきたい。
林原のバイオ事業の今年度業績見込みは、売上高260億円、営業利益53億円。
買収後は海外展開に力を入れ、アジアを中心にトレハロースなどの潜在需要を開拓し、10年間での投資回収を目指す。
「700億円という金額の正当性は、長瀬の事業として成長させられるかどうかで変わってくる。
全社を挙げて、林原を含むバイオを将来の柱に育てたい」と長瀬洋社長。
巨費を投じる買収の成否に、老舗商社の未来が懸かる。
▲補足、感想など
老舗だから…というより、やはり、危機感の強さだろうなぁ。
富士フィルムが今、盛んに外国企業のm&a に走っているように、主力の商品が消滅しかかっていて、おしりに火のついた状態なのであろう。
危機感の強さというものが、この乾坤一擲ともいえる買収を後押したものであろう。
さぁ、吉とでるか凶とでるかは分からない。
でも、分からないとしてじっとしているより、勝負にでる…という方を選択したということなのだろう。
長瀬産業の現経営者の決断を褒めるべきだろうな。