▲一つの終わりを感ずる。
なんなのだろうなぁ。
三菱重工の長崎造船所で、ダイヤモンドプリンセスという客船を建造中に火災が発生して炎上したという事件が、10数年前に起こった。
確か、天井に天井灯の金具を溶接していて、その溶接の火花が下に敷いてあった絨毯で燃え広がった—てな発端だったかな。
そこから、実に奇妙なことが続く。
火災を発見した作業員は、消防署へ連絡する前に、自分の上司を探しはじめたのだ。
なにか、作業マニュアルで上司に報告して、その上司から消防署へ連絡する—というようになっていたらしい。
客船っといったって、だだ広い。
作業員が、ウロウロ上司を探している内に、火が広がり手のつけようがなくなった—という。
まぁ、この船は、消火後内装をやり直して、客船として納品した。
この手酷い事故から10年位、三菱重工はこういう客船の建造を取りやめていた。
数年前に、船底から気泡を発生させて海水との摩擦を減らして、燃費を良くする—とかいう機能をとりいれた客船を受注した。
しかしながら、設計の変更、外国人臨時作業員などを入れたことで、火災の発生、数度の放火などに悩まされ続け、ようやくのこと、この3月に客船を納品した。
で。
どうやら、こういう豪華客船の建造を三菱重工は諦めたようだ。
日本で三菱重工以外にこういう豪華客船を作れる会社はない。
日本が事実上、豪華客船建造から撤退したと見てもいいだろう。
以下、新聞から抜粋。
2016年3月三菱重工業が新聞紙に掲載した広告が話題を呼んでいます。
同社の製品群を紹介したもの、ドイツ・AIDAクルーズ社向け客船「AIDA
Prima」を完成(14日)させ、第2船を進水(21日)させたばかりにもかかわらず、ラインナップに「船」がありません。
三菱重工は“客船建造を諦める”ということなのか。
同社は、大型客船を建造できる日本で唯一の企業。
「あきらめる」ということは、日本から火が消えてしまうこと。
建造中の火災、設計変更などによって1年遅れた「AIDA
Prima」(12万5000総トン)の引き渡し式は、公開されないまま行われた。
三菱は、「ヒペリオンクラス」と名付けられた「新生代の客船」をドイツへと送り出した。
船上にはAIDAクルーズ社のクルーほか、造船所スタッフが乗り込み、“やり残した艤装”の仕事を続けながらの引き渡し。三菱の苦労ぶりが伺えるとの声もあります。
建造にあたりトラブルに見舞われ、引き渡しが遅れたこの船。
三菱重工で、何が起きていたのか。
2011年夏の受注契約から、引き渡しまで4年半。納期から完成が1年遅れた理由について、同社では原因を説明。
ひとつは「プロトタイプ建造に伴う困難」です。
「新シリーズ船を設計し、取り組む」という経験のない仕事だったために、AIDAクルーズ社向け客船2隻の建造工程が守れないことを明らかにした。
もうひとつは「クルーズ客船の船室とそのほかの区画に関連する設計作業量が莫大であり、重大な設計変更がなされ、資材調達や建造の遅延に繋がった」。
その損失は結局1860億円に膨れ上がっています。
この間、現場では、海外からの応援や未経験者を含めて4000人とも5000人ともいわれる下請け工を投入。
さらに今年1月には3回にわたる不審火事件が発生。
「現場の意識はずたずた」というなかで、苦闘が続いていた。
三菱重工は、「ダイヤモンドプリンセス」という大型の客船を建造したことがあります。
「ダイヤモンドプリンセス」は、すでに欧州で建造された原型(プロトタイプ)が存在。
それを同社の長崎造船所の生産システムにあわせて設計しなおせばよかったため、「設計陣も完成船のイメージがしやすかった」。
そして、建造中に火災が発生したが、出来映えには高い評価が与えられた。
しかし三菱はそれ以降、10年近く客船商談から撤退。
このあいだに設計、建造経験のある現場要員が退職し、「『AIDA
Prima』は“初めての客船”みたいなもの。さらに“プロトタイプを創る”という困難さ」に遭遇。“難産”になってしまった。
出来栄えについては、AIDAクルーズ社のサイトで公表され、18階建てのテーマパークが洋上に出現したかのような、大型のアトラクション施設が満載。
アトリウム、3階吹き抜けの多目的劇場。12の食堂、18のバー。最近の客船で流行しているリラクゼーション施設は、3100平方メートルの「Body&Soul」区画として。
さらにディスコ、カジノ、ビールの醸造所もあります。
さらに、ヨーロッパの冬でもクルーズできるよう、最上階に大きなガラスドームを設け、その内部にはウォーター・スライダー付きのプールや、アイススケートリンクも備えています。
省エネも最先端を目指し、空気循環によって船体を泡で包み水の抵抗を減らす「MALS」と呼ばれる省エネ技術や、LNG燃料を使えるようにするといった仕様を装備。
そうした運航性能に係わる部分について、造船所としては“手慣れた仕事の範囲”だったようです。工程が大混乱したのは、まさに“テーマパークを洋上に造る”かのような、アトラクション施設の設計や工作の困難さにあったといわれています。
この「経験したことのない大型のアトラクション」と、10年間で急激に進歩したIT技術を用いる船内LAN環境の整備などが“想定外の困難さ”で、「AIDA
Prima」建造の混乱に繋がってしまった。
しかし、「テーマパークのような客船」は、欧州の造船所ではどんどん造られています。
なぜ三菱重工では、上手く進まなかったのでしょうか。
「10年間の空白」、
「ダイヤモンドプリンセス」の火災以降、「社内でも客船受注の話など出せるものでなかった」という雰囲気のなかで、客船におけるトレンドを見失っていた。
建造準備体制を整えないまま、「過去の経験」をベースに最新トレンドへ取り組んだ結果だった、というわけ。
また、このような準備不足を招いた原因について、「正確な市場調査や技術調査を行わずに、高付加価値船へシフトを」というムードで持ち上がって来た話だったという、反省も出ています。
日本の大型客船建造、このままダメになる可能性
三菱重工は大型客船を建造できる日本で唯一の企業。
同社は今後も客船建造に取り組むのでしょうか。
日本のクルーズ客船は商船三井客船などの3社が、3隻を運航。
しかし船齢はどれも20年を超え、新造されなければ「事業継続すら問われる」ところまで追い込まれています。
業界内には、「三菱と郵船が建造に合意したが、この話は流れた」だとか、「海外の造船所との交渉に入った船会社もある」といった“未確認情報”も飛び交っています。
そして日本のクルーズ会社からは、「日本の客船は、テーマパークのような大袈裟な工事にはならない」、「客船建造の仕事は継続すること以外に成功しない」など、「日本の造船所による客船建造の灯を消さないで欲しい」との声も出ています。
三菱重工は客船建造について、「エンジニリング事業として位置づける」という考え方を示しているだけで、取り組み方針を示していません。
海運界は、また深い「不況の谷」へ差し掛かり、造船業界は受注難に見舞われています。
しかし、ドイツのマイヤー造船所は2023年納期でディズニークルーズからの客船を受注したという情報もあり、受注残を積み上げ、活況に沸いています。
中国のクルーズ市場は昨年100万人を超え、伸び盛りにあります。
こんな時期に日本は、クルーズ客船の建造から逃げ出そうというのでしょうか。
▲補足、感想など
冒頭で撤退か—と書いた。
記事では、分からない—という論調だな。
記事だけでは、どうも核心が抜けているようだ。
掲示板にこのあたりが書いてあったので、それをご紹介しておこう。
--ここから--
◇日本の造船の現場で技術と言うとテクノロジーより職人技という認識
肝心のテクノロジーは当の三菱重工が韓国に技術指導したのが現状を招いた大きな一因
貰うだけ貰ってあとはポイのホンダがやられて本田宗一郎が激怒したのと同じ
中国に対しても同じことしてるから後々どうなることやら
台湾で出張造船なんかがあるとケータリングで作業員に豪勢な食事がふるまわれたりこういうとこでも中朝台の違いははっきり出るみたい
◇造船でも北海道鉄道でも不祥事が多いけど、長い間の不況でベテラン職人を切り捨て若手を育てず派遣の安い賃金のバイトや外国人を一時しのぎで雇って、ベテランから若手への技術の継承が
スムーズに行われないしわよせが事故につながったんだろう。
安さと効率だけ求めて人間を大切にしないと大型バス事故みたいに頻繁に不祥事が起こる。
昔は日本ではありえないと外国を笑っていたのに。オリンピックもあのざまだし、日本凋落の始めなのかな?
◇悪意を持った外国人労働者を受け入れると、日本の物作りは崩壊するという実例ですね。
労働移民受け入れは、国家を滅ぼしますよ、治安の意味においてもね。
◇>肝心のテクノロジーは当の三菱重工が韓国に技術指導したのが現状を招いた大きな一因
三菱って今度はガスタービンを韓国に教えるんだっけ
現代自を育てて北米事業壊滅させた三菱自といいマジで馬鹿なんじゃね
◇これ艤装というか豪華客船的な装飾内装で大きくゴネられたのが失敗だったんだけだ
国内基準の内装やったら突っ返されちまって内装資材は総とっかえだし、日本・アジア圏の内装工では扱えないからヨーロッパの作業員を高額かつ1000人単位で抑えざるを得なくなって破綻
またそのヨーロッパ作業員のマネジメントにも失敗して仕事しない状況でも奴らだけは高額賃金がもらえるという待遇の違いから既存の工員のモラルも落ちて連続放火騒ぎなんかも起きるしな
技術力云々より営業がバカだったって話にしかならん
◇あんな遊び船に1860億の赤字だと! 最新のイージス艦がまるまる出来るやん!
“契約”という概念が骨身にしみてるキリスト教徒と、契約の脇に”信頼”を置き、”あとはよしなに”で契約の中身・重みを十分に吟味しない日本人は本来相性が悪い。
現物より契約書の書き方のみで何百億も稼ぐ欧米人にとって、虫・奸とは対照的な責任の取り方をする日本人はうってつけのカモ・ネギだ。
--ここまで--
表面にでていないことが一杯あったようだ。