2014年5月26日月曜日

ロシアは中国とは仲良くならない—と米戦略家。

まぁ、そうだろうなと思う。
 やはり、プーチン大統領と習近平国家主席との「相性の悪さ」が核心だろうな。

 プーチンさんと習近平さんの「顔」を見ながら、この二人が盟友というか、なにか二人で仕事をする—という感じになるとは思えない。
 プーチンさんは、心の奥底で、習近平さんという人を毛嫌いしているし、ある意味、馬鹿にしている。
 「こんなヤツと一緒に仕事ができるか!」と思っている。

 今、ロシアは世界からの孤立を恐れて中国へ近づいているように見える。
 しかし、それは世界からの風当たりが強いため、「ちょいとの間は我慢するか」という感じなのであろう。

 プーチンさんから、日本が対ロの制裁に加わったことに非難するコメントを出していたが、これはまぁ、日本としてはいたし方ない立場だからだ。
 そんなに強い「制裁」ではあるまい。

 対して、プーチンさんも世界へ・ロシア国民へ向けて日本を「非難」をせざるを得なかったのだ。
 でも、それほど強い口調ではなかったろう。

 このあたりは、いわば虚々実々の「パフォーマンス」と見た方がまぁ、外れてはいまい。


 以下、新聞から抜粋。

 氷の微笑が消えるとき2014/05/25 日本経済新聞 
 米国人が20日午後、首相官邸にやってきた。
 軍事戦略家として知られるエドワード・ルトワック氏(71)だ。
 安倍首相とも会うことになった。

 中国とロシアの動きをどう読むか。
 ウクライナ危機をきっかけに中ロは接近し、日米へのけん制を強める……。
 世界ではこんな見方が多いが、ルトワック氏の予想はちがった。

 ロシアは、中国とは仲良くならない。
 シベリアなどに侵食してくる中国を脅威とみているから。
 ロシアは本当は日米と協力を広げたいはずだ――。
 ルトワック氏はこんな予測を披露した。

 中ロの表面的な動きをみるかぎり、この分析は当たっていない。
 訪中したプーチン大統領は、習近平国家主席と懸案だった天然ガスの輸出交渉を決着。
 対ロ制裁への反対をかかげ、来年に対日・独戦勝70周年式典を共催する。

 だが、会談では結局、商談が署名にいたらなかった。
 ロシアの戦闘機スホイ35と地対空ミサイルS400を、 中国が買う契約だ。
 条件で折り合わなかったとされるが、理由はそれだけではさそうだ。

 モスクワからは、ルトワック氏の読みを裏づけるような本音が聞こえてくる。
 「プーチン氏は中国にいら立っている」。
 ロシアの専門家らは、明かす。

 プーチン氏は中国の台頭に懸念を抱いていたが、 昨年12月、不信感を強めるできごとが起きた。
 それは、習主席とヤヌコビッチ・ウクライナ大統領が署名した友好協力条約だった。
 「ウクライナが核で脅されたら、中国が必要な安全を保障する」。
 条約にはこんな合意が入った。

 中国は「核の傘」を使い、ウクライナにまで手を突っ込むつもりか。
 プーチン氏はこう反発したようだ。
 中国の国内総生産(GDP)はロシアの4倍を超える。
 中国はその分、周辺国に影響力を広げるのは自然なこと、と考えているのだろう。

 歴史的にも、中ロの相性は良いとはいえない。
 新中国建国の直後、毛沢東、スターリンの両首脳はモスクワで会い、同盟の契りを交わした。
 やがて路線対立が始まり、蜜月は10年と続かなかった。
 「いまの中国は共産党体制だったときのソ連と同じだ。何を考えているのか、外からは分からない。しばしば、唐突な行動にも出る」。

 ロシアの政府関係者からも、こんなささやきが聞かれる。
 米政府当局者は「ロシアに過剰な期待を抱かないほうがいい。日本には戦中の経験もある」と語る。
 ソ連は日ソ中立条約を一方的に破棄し、攻め込んできた。
 ユーラシアの両雄はどこに向かうのか。
 日本は歴史の教訓をひもときながら、冷徹に次の一手を練るときである。



▲補足、感想など

 ロシアに過剰な期待?
 ロシアではあるまい。

 プーチンという個人はまぁ、ぎりぎり信頼できる人間だろう—と筆者は言っているのだ。
 ロシア・ロシア人が信頼できるか—といえば、記事にあるとおり、中立条約など無視して攻め込んでくる国であり、民族であろう。

 でも。
 結局、国と国との付き合いでは、首脳個人の相性というか信頼できるかどうか—ということが、「決めて」となるのだ。

 何度でも言いたい。
 仮に、日本とロシアの間で、「領土問題」がそれなりに解決するとしたら、プーチン-安倍という首脳同士のタイミングでしかありえない。

 プーチンさんが暗殺されるとか、安倍さんが病気で倒れるとか、片一方を失えば、もう日露間の領土交渉の解決など、闇の中だ。

 その意味で、プーチン・安倍という「縁」を大事にしたい。



※追記。

 プーチンさんが、安倍さんから招待があれば、当然、訪日するとコメントした。

--ここから--

 ロシアのプーチン大統領が訪日への強い意志を見せた。
 ウクライナ事態とその後のクリミア半島合併に触発された西側の対ロシア制裁に日本が参加して、亀裂を見せた両国関係が、再び縫合される場面である。

 プーチン大統領は、今年の秋に日本を訪問するのかという共同通信の質問に「招待があれば、当然行く」と首脳会談を通じて経済を軸にした信頼関係を構築するという意味を明らかにした。
 日本とロシアは、エネルギーに対する理解と、中国に対する牽制の意図が合致して、これまで関係改善に努めてきた。

 ロシアは地域内での中国の影響力拡大を警戒しており、東アジアへの進出を拡大したいと考えていて、日本は東日本大震災以降、原発の稼動が中断されていて、莫大な化石燃料を輸入しており、ロシアのエネルギーが必要である。

 しかし、西側の制裁に合わせて日本がロシアのビザ発給要件の緩和交渉を中断して、宇宙と投資分野の交渉開始をキャンセルして、両国関係は冷え冷えになった。
 先月末、日本の制裁が発表されると、アレクサンドル・ルカシェビッチ ロシア外務省スポークスマンは声明で、日本の制裁について、「両国関係の発展の重要性を強調してきた日本の従来の立場と一致していない」と指摘し、 「対抗しないわけにはいかない」と報復の可能性を示唆した。


 しかし安倍首相は23日、ウォールストリートジャーナル(WSJ)とのインタビューで、「プーチン大統領が今年の秋に日本を訪問すると合意した」と強調し、プーチン大統領と五回の首脳会談を通じて構築した対話チャンネルを維持したい意思を明らかにしていた。


--ここまで--

 安倍さんはプーチンさんとの「縁」を大事にしたいと考えているということだ。