2014年5月29日木曜日

米政権、イラク、アフガンから撤退。

もう、何年前になるだろうか。
 旧ソ連が、アフガニスタンからなにもかもほっぽりだして、撤退したのは。
 ソ連は10年という歳月を費やし、膨大な軍事費・多くの戦死者を出して、なんの成果もなしに撤退した。

 今、アメリカがその轍を踏もうとしている。
 筆者は、そのことを非難するつもりはない。むしろ、オバマさんの英断を讃えたい。

 結局、と思う。
 こういう問題は、「民族自決」なのだ。
 水を飲みたくない馬を水場につれていっても飲みはしない。

 民主主義というものに魅力を感じない民族が、民主主義国家に変貌するということはない。
 文明化することを「善」だと思わない民族・国家というものが存在しているのだ。

 アメリカという国・国民は、お人好しだし、他国へ向けて「善」をなそうとする。
 民主主義こそ、最高最善の体制だと思い、遅れた国家を民主義国家へ導きたいと考えている。

 しかし、独裁国家 → 民主主義国家 となるためには、多くのハードルがある。
 一番、大きなことは時間であり(日本が明治維新から、約20年を経過してやっと選挙制度を導入したことを考えもみよ)、教育というものであろう。
 独裁国家から「独裁者」を排除さえすれば、簡単に民主主義国家となる—という考え方は間違いだ。

 事実、北アフリカでは、独裁者を排除しても、次の独裁者が生まれようとしている。
 再び、第2のなんとか大佐も排除するのか。

 核心を言えば。
 繰り返しとなるが、「民族自決」が原則なのだ。
 その民族が、自らの意思と努力で、国を築いていくしかないのだ。他国からどう見えようと。
 水を飲みたくない馬を水場につれていっても飲みはしない。水を飲みたくなるまでじっと待つしかない。

 この10年という歳月を費やし、中東で旧弊・イスラム勢力等と戦ってみて、アメリカも十分にそのことを理解したろう。


 以下、新聞から抜粋。

 オバマ米大統領は、アフガニスタン駐留米 軍の撤退に向け工程表を示すことで、イラクと アフガンの「2つの戦争」の終結に道筋を付けた。

 オバマ氏は2016年の末に全面撤退の期限を設定し、任期中に幕引きをする姿勢を明確にしたが、米軍撤退後に治安が悪化したイラクと同じ道をアフ ガンがたどらない保証はない。

 オバマ氏はアフガン作戦の成果を強調した。
 「アルカーイダに重大な打撃を与え、ウサマ・ビンラーデ ィンを抹殺した」
 米軍部隊が11年5月、ビンラーディンを殺害したこと はオバマ政権の成果といえる。
 オバマ氏は、イラク 戦争を前政権の「負の遺産」として扱い、撤退を急いだ。

 アフガ ンでは09年に3万3千人の増派を決め、最大で10万人規模とした自らの戦 争でもある。
 オバマ氏は「敵を決定的にたたき、選挙された政権に移行させ、 治安部隊に全責任を持たせる。これこそが21世紀の戦争終結の形だ」と述べ た。

 米政府は9800人の残留部隊がアフガン軍や治安部隊に訓練を施すことで、 「アフガンでアルカーイダが再編成できないようにする」と強調している。
 ただ、イラク撤退後、同国ではイスラム武装勢力の活動が活発化し、テロ行為により 治安は悪化している。
 アフガンでもイスラム原理主義勢力タリバンの脅威は消えていない。

 米国防総省は、報告書で「アフガン治安部隊の能力は依然、発 展途上の段階にある。軍要員の損耗は敵を上回り、汚職も続いている」と指摘。
 今後の治安部隊の能力は「来年以降の米軍と北大西洋条約機構軍 の規模による」とした。

 来年以降、アフガンに残留する9800人で軍の能力を向上させ られるかについては不透明で、野党からは次期大統領選に向けて恣意的に全面撤退への道筋を設定したと。
 「政治を優先させたミスだ。大統領はイラク完全撤退という大失敗から何も学んでいない」

 同党のマケイン上院議員らは、オバマ氏をこう批判する声明を発表し た。
 オバマ氏が発表する外交政策の内容によっては、マケイン氏が指摘 したように、「米国があてにならないとの認識が世界的に高まる」可能性がある。


▲補足、感想など

 米国があてにならない—か。
 そんな世界からの評判より、「水を飲みたくない馬を水場につれていっても飲みはしない」という事実を心底、認識する方がよほど大事だ。

 結局、民族問題は、「民族自決」だ—という原則を守るべきだ。

 アフガニスタンを攻撃しようとしたのは、アメリカのwtcビルを攻撃されたからであろう。
 アメリカ本土を他国・他民族から攻撃されたのは、日本軍によるパールハーバー以来ということで、ブッシュ大統領が「逆上」したためであろう。

 言わば、ブッシュ大統領の浅慮に基づく攻撃突入ということだ。
 旧ソ連のアフガニスタンからの撤退と今度のアメリカのイラク・アフガニスタンからの撤退はよく似ている。

 共和党マケインさんの批判は、もう的外れとしか言いようがあるまい。

 どれほど弱小民族であろうが、「一寸の虫にも五分の魂」というやつで、簡単に他国の・他民族のいうことなどききはしない。

 どんなに非文明的な生活をしていようが、他国からごちゃごちゃ言われる筋合いはない—と彼らはいうだろう。

 そういう民族としての誇りを無視して、「文明化することこそ善」とか言ったって無駄だ。

 もう一度、「民族自決」の原則を見直せ。
 安易に他国・他民族へ「文明化・民主主義化」を押し付けまい。