2017年4月29日土曜日

名探偵コナン、から紅の恋歌 2017/4 感想

最近の日本のアニメにせよ、映画にせよ、日本という国のガラパゴス性を充分に意識して、観客として外国人等存在していない・知ったことではない—という雰囲気をみなぎらせている。
 そして、ターゲットとしては確かに日本の国民のみを狙っているのだが、その「日本人だけ」という部分が、逆に日本化した外国人からも支持されているように見える。

 今年の新海誠監督の「君の名は」なんていうのも、上でふれたように「観客として外国人がいる」なんてことをこれっぽっちも考えていないように見える。
 それでも、東南アジア諸国では随分の人気だったようだ。

 表題にあげたコナンの映画でも、今回は主材は百人一首と、カルタ競技であり、一層、日本人化した・日本人しか分かりはしまい---というアニメだ。
 まず、粗筋については、他者の感想を抜粋して転記したい。

 --ここから--

  京都と大阪で起こる事件を軸に話が進む。
 日売テレビでは百人一首界を牽引する「皐月会」が開催する会見が行われている最中に、爆破事件が起こる。
 ビルが崩壊する中、平次と和葉だけが取り残されるが、コナンによって救出。
 時を同じく、京都の嵐山にある日本家屋で、皐月杯の優勝者が殺害される事件が発生。
 そんな中、コナンたちは平次の婚約者だと言い張る大岡紅葉という女性に会う。
 彼女は皐月会に所属する競技かるたの高校生チャンピオン。
 そして、ひょんな事から和葉は紅葉と平次のお嫁さんをかけて競技かるたで勝負する事になる。
 一方コナンと平次は、大阪・京都府警と協力して2つの事件に関係する皐月会の捜査を始める。
 最後には2つの事件が重なって黒幕が判明。
 
 --ここまで--

 粗筋は、上記の通りだ。
 まぁ、見世物としてのアクションの部分も多かったのだが、中で百人一首の歌が、ちりばめられ・紹介されていて、話を「より深く」しているような気がした。

 例えば。

 --ここから--

 瀬を早(はや)み 岩にせかるる 滝川(たきがは)の
    われても末(すゑ)に 逢はむとぞ思ふ     崇徳院

川の瀬の流れが速く、岩にせき止められた急流が2つに分かれ
 る。しかしまた1つになるように、愛しいあの人と今は分かれて
 も、いつかはきっと再会しようと思っている。

 --ここまで--
 百人一首という日本人の財産とでもいうべき「和歌」が、映画の筋とは直接関係はないのだが、映画の「陰影を深め」ていて、観客の心を揺さぶるものになっている。