2020年11月30日月曜日

それぞれ立場によって、主張する内容に差がある。その差は、個人の持つ叡智、裁量で埋めるしかない

 

コロナ拡大防止策として、日本政府と医師会では主張が異なる。

 表題でもふれた。

 それぞれの「立場」があるのだ。当然ではないか。

 その「差」を埋めるものは、個人々の裁量・叡智しかない。

 個人の持つ叡智で、賢く振るまえ---と言っているさ。日本政府は。

 まず、記事からみてみよう。

 2020/11/27()

菅義偉は疲労の極に達している。主な要因はコロナ対策と経済回復を同時にやろうとする菅を忖度しない尾身茂分科会会長だ。

「菅首相は「GoToは絶対に止めない」とし、「GoToトラベルは延べ4千万人の方が利用している。その中で現時点での感染者数は約180人だ」と、「誤解を招きかねないデータを出すことも厭わなくなっていました」(政治部デスク)」

「だがこの数字は、宿泊施設などからの報告を受けている範囲での数字で、保健所は「基本的に、感染者がトラベルを利用したか否かは確認していない」(厚労省関係者)のだ。」

「文春が厚労省などの資料を基に集計してみると、トラベルに東京が追加され、イーストが全国でスタートした時期を境に発症者が増えていて、「GoToが感染拡大の一つの要因なのは間違いありません」(東京都医師会の尾崎治夫会長)」

「尾身会長から「医療崩壊が差し迫っている」と告げられた西村康稔経済再生相、見直しはあり得ないといっていた加藤勝信官房長官も考えを変え、 1120日の昼、2人で菅にGoTo見直しを訴えたが、なかなか首を立に振らなかったという。」

「世論調査でも見直しを求める声が5割を超え、「GoTo継続に拘泥することは、政治的に得策ではないと判断したのでしょう」(首相周辺)、翌21日に、ようやく見直しを決めた。」

「だが、トラベル停止から東京を外すなど中途半端な対応で、判断は都道府県知事に委ねると丸投げしたため、小池百合子都知事から「あくまでも国が判断すること」だと痛烈に批判されてしまった。」

「このところ、最高権力者ガースーこと菅義偉首相は、疲労の極に達しているという。その主な要因は、コロナ対策と経済回復を同時にやろうとしている菅を忖度しない、尾身茂感染症対策分科会会長だそうだ。」

官邸スタッフ「尾身氏を憎んでいるかのようなレベルです。」

総理にしてみれば、政府の管轄下にあるオブザーバー組織に過ぎないのだから、こっちの意向に沿って発言しろ、と。ところが尾身さんはそれを無視して危機を訴える。」

「総理は非常に怒っていますが、下手に圧力をかければ学術会議問題の二の舞になりかねないので、怒鳴りつけるわけにもいかず、イライラが募っているのです」」

尾身さんは、これまで色んな第三世界の国々で対決してきた、後進的でわからずやで強権的な政府や政治組織と同じように、菅内閣を見ていると思いますよ。…ってもう半年ぐらいずーっと言ってることなんですけどね!

尾身さんは、AK-47ライフルをぶら下げたクメール・ルージュとも交渉してきた人である。日本政府が相手でも、それは変わらない。科学者は、野蛮と反文明には屈しない。


補足、感想など

 政治家と科学者の立場の違いとしかいいようがない。

 筆者が尾身さんの立場なら、同じように主張する。

 菅さんは、これ以上経済を止めてしまえば、大きな被害が発生する。だから、できるだけ経済を回すしかないと判断しているのだ。

 これもまた当然だ。

 だから、この主張の「差」は、個人々の裁量・叡智に任すしかなのだ。

 菅さんは、国民の「叡智・賢さ」に委ねよ。それ以外にはない。

 お前達を信じているぞ、賢くふるまってくれよ—と言えばいいことだ。いや、発言すると突っ込まれるか。

 要するに、おおまかなガイドラインを示して、こんな風にしてもらいたい—と言えばいいことだ。

 それ以上は無理なのだ。 

 菅さんの主張もみておこう。

 -ここから-

2020/11/29()

GoTo停止 官邸「東京まだ逼迫してない」 札幌・大阪発自粛要請

菅義偉首相は27日、首相官邸で開いた新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で、旅行需要喚起策GoToトラベル」事業について、感染が拡大する札幌・大阪両市から出発する旅行に関しても利用を控えるよう呼びかけた。予約済みの旅行のキャンセル料は、利用者やホテルなどに負担が生じないようにする。政府は両市を目的地とする旅行への割引適用を1215日まで一時停止しているが、両市を出発する旅行は割引を停止せず、1215日まで自粛を求める。

出発分の停止は、政府の新型コロナ対策分科会が25日に提言していた。27日は東京都で新たな感染者が570人報告されるなど、全国で感染の拡大傾向が止まらず、政府はさらなる対応を迫られている。首相は会合で「分科会からの提言を踏まえ、札幌市、大阪市について、出発分についても利用を控えるよう直ちに呼びかけることとする」と述べた。

これに対し大阪府の吉村洋文知事と北海道の鈴木直道知事は27日夜、国の要請に同意する意向をそれぞれ表明した。吉村氏は府庁で記者団に「国と協力して感染拡大を抑えないといけない。利用の自粛を市民にお願いしたい」と語った。鈴木氏も、利用者や事業者に対する混乱への対応策を国が講じることを条件とし、「事業者への影響は大きい。混乱が生じないような対応を打ち出さないと成り立たない話」と述べた。

西村康稔経済再生担当相は27日夜の記者会見で、利用者のキャンセル料負担をなくし、事業者に旅行代金の35%分を補塡する制度を検討していると説明。出発分の割引を停止しないことについて「システム上も一人一人確認することは不可能」と語った。一方、政府は人口、感染者数とも最大の東京都を一時停止や自粛要請の対象としていないが、官邸幹部は「東京の医療体制はまだ逼迫していない」と話している。

また首相は対策本部で、分科会の提言を受け「飲食店の営業時間短縮が極めて重要だと考えている」との認識を強調した。札幌市に加え、東京都や大阪・名古屋両市で営業時間短縮を要請していることに触れ、「協力いただいた全ての店舗に対して国としてしっかりと支援する」と述べた。

一方、分科会の尾身茂会長は27日の衆院厚生労働委員会で、現在の急速な感染拡大を抑えるには「個人の努力だけに頼るステージは過ぎた」との認識を示した。尾身氏は「飲食店の営業時間の短縮、感染拡大地域とそうでない地域との移動をなるべく控えることが、人々の努力に加えて極めて重要な時期に、今まで以上に差し掛かっている」と述べ、政府や自治体の対策強化の必要性を強調した。

また、西村康稔経済再生担当相が今後の感染状況の推移について「どうなるかは神のみぞ知る」と発言し、「尾身先生の発言を引用したもの」と釈明したことに関しては、「感染状況を評価するためにいろいろな指標を使っているが、実際に本当に何が起きているかを知っているのは、比喩的に神のみぞ知ると(言った)」と説明。「神のみぞ知るけど、そこになるべく近づくためにいろんなデータの分析が必要だと。そういう文脈で申し上げた」と述べた。立憲民主党の中島克仁氏の質問への答弁

 -ここまで-

 感染を防止つつ、経済を順調に回転させてゆく---か。

 まるで、「神わざ」のごとき話ではある。

 だからこそ、菅さんの主張と尾身さんの主張には、「違い・差」が生じる。

 上でふれたとおり、この主張の「差・違い」を埋めるものは、国民個人々の叡智・裁量しかない。

 日本のその他おおぜいの知的水準は、世界のそれと比較すれば、頭一つ抜け出している。

 日本という国は、この世界の水準より頭一つ抜け出している日本人のその他おおぜいの「叡智」により守られているのだ。