2020年11月27日金曜日

百貨店が未来を切り開きはじめた

 

百貨店業界がようやく、未来を切り開きはじめた。

 なにか、デパート業界って、これからどういう方向へいけばいいのか---さっぱり分からないような業界であった。

 高島屋が東南アジアで不動産事業へ進出するという。

 その記事をみてみよう。

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高島屋、海外不動産に活路

百貨店の低迷補う 20201127

 高島屋は海外の不動産事業を新たな成長のけん引役に据える。2021年春以降にベトナムで現地企業と組み、富裕層向けの学校や商業施設など4つの大型施設を開発、運営する。海外は不動産開発を主軸に今後3~4年で200億円規模を投じる方針。新型コロナウイルスの影響で百貨店事業の苦戦が長引く中、不動産事業に活路を見いだす。

来春に学校施設

 高島屋はベトナム・ハノイ市中心部から北西に約6キロメートルのエリアで進む、副都心の開発計画「スターレイク・プロジェクト」に参画する。まず来春に、現地教育事業大手のエデュフィツト社と共同で学校施設を建設、開業する。投資額は13億円。幼稚園から高校までの一貫教育で、富裕層向けに展開する。

 2225年には同プロジェクトの別区画で商業ビルやオフィス、学校が入る大型施設を建設する。

ハノイの別地域でも商業施設やオフィスなど2つの大型開発を計画している。19年にはホーチミン市とハノイ市で大型複合ビルも取得しており、今後はこれらのビルの改装投資も進める。

 高島屋が初期段階の土地取得から建設、運営まで一貫して手掛ける不動産開発は海外では初めて。同社は16年にホーチミンで百貨店を出店しており、日本ブランドを多数扱う。テナント誘致などでこうした強みを生かし現地勢との違いを出す。

 東南アでベトナム経済の好調ぶりは際立っている。国内総生産(GDP)は19年まで2年連続の7%成長とタイやインドネシアなど主要6力国で最も高い。新型コロナの封じ込めに成功し、7~9月期もプラス成長を維持。富裕層の増加やオフィス需要の拡大も不動産市況の追い風となる。

 プライスウォーターハウスクーパース(PWC)がまとめた20年版の不動産動向調査でも、ホーチミンはアジア太平洋の主要都市の中で投資期待度が3位、開発期待度は1位と高評価だ。高島屋の村田善郎社長は「ベトナムは様々な事業のポートフォリオを広げる余地が大きい」と話す。

 高島屋にとって不動産事業の拡大は急務だ。百貨店は新型コロナ前から電子商取引(EC)の台頭や、訪日客の伸び悩みなど収益環境に陰りが出ていた。不動産は安定した賃料収入が見込める。

 19年度の売上高に当たる営業収益で国内百貨店は8割、国内外の不動産事業は1割弱だ。一方で営業利益ベースでみると、国内外の不動産は約4割、国内百貨店は2割弱と逆転している。国内でも不動産開発を手掛けるが、オフィス需要の伸びなど成長余力はアジアなど海外の方が大きい。

 海外では百貨店と不動産開発を両にらみで進めてきた。高島屋は19年時点で、23年度の海外事業全体の営業利益目標を19年度比5割増の110億円としていた。

 ただ現地勢の台頭など、東南アの日系百貨店を取り巻く環境は悪化している。年率約2割でEC市場も拡大する。今春以降は新型コロナが追い打ちをかけ、海外の営業利益は落ち込む見通しだ。

 高島屋は新型コロナで経営計画を来春に見直すが、海外は不動産開発を主体に海外で200億円規模を投資するなど成長のけん引役として重視する。不振の百貨店事業を補完する狙いがある。欧米勢とも競争同業もアジアの百貨店は苦戦する。三越伊勢丹ホールディングスは8月にタイ・バンコクの旗艦店を閉鎖した。東急百貨店も85年に開業したバンコクの店舗を21年1月で閉鎖する。屋台骨の百貨店事業が揺らぐ中、大手各社は不動産など新たな収益源の育成を急ぐ。

  「脱百貨店」を鮮明にしているJ・フロントリテイリングは9月にグループの不動産事業の大半を子会社のパルコに移管。国内の大型再開発はパルコを主軸に据える。

三越伊勢丹HDも旗艦店の三越日本橋店(東京・中央)にピックカメラを誘致。海外ではフィリピンで地場の不動産大手などと組み商業施設や高級住宅の開発に参画する。

 ただ有望な新規案件の獲得競争は激しい。東南アでもイオンや商社、デベロッパーなど日本の大手企業が相次ぎ進出している。中国勢や欧米勢も投資を広げる。勝ち残るにはブランドカをいかした異業種との提携といった戦略が必要だ。   

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▲補足、感想など

 高島屋か。

 2018年頃の記事をみてみようか。

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 高島屋は今秋に開業するタイを含め海外の百貨店4店を2023年2月期までにすべて営業黒字化する方針だ。

直近ではシンガポールは黒字だが、中国・上海とベトナム・ホーチミンの店舗は赤字。

3店が黒字になれば、19年2月期見込みに対して15億円の増益要因になる。

連結営業利益は今期見通しが300億円なので、5%前後の損益改善につながる。

 12年に開業した「上海高島屋」は周辺開発の遅れや販管費の高どまりに苦しんだ。

今期も7期連続の営業赤字となる見通し。

ただ15年から始めた日本製の日用品や工芸品を集めた売り場日本館が好調だ。

今後も現地の富裕層向けに日本製の商品を売りこむ。

自社カード客も増やす考え。

 開業3期目の「ホーチミン高島屋」は開業当初から黒字化のメドが立たなかった。

家族層向けの日用品の品ぞろえを充実させ売り上げを伸ばす。

 上海は21年2月期、ホーチミンは23年2月期の黒字化を見込む。

タイ・バンコクの「サイアム高島屋」は複合商業施設の中核テナントで、賃料負担が比較的抑えられており、開業2年目の20年2月期に黒字化できそうだ。

 木本茂社長は海外事業について「長期視点でみてアジアの成長を取り込みたい」と話す。

今後も東南アジアで事業を広げる考えだ。

「シンガポール高島屋」は海外1号店で1993年に開業した。年間30億円強の黒字を計上している。

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 2019年にはこんなこともあった。

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高島屋がオンラインストアで、韓国産の化粧品をフランス製と表記して販売していたことがわかった。消費者庁が改善などを求める措置命令を出した。

措置命令が出されたのは、118月から今年4月までに販売されていた化粧品や雑貨あわせて147品。

高島屋は仕入れ先からのデータを確認せずウェブ上に表示していたとしている。

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 長い低迷期を経過して、やっと活路を見出し「決断」したという感じが否めない。

 ベトナムでの不動産事業が成功することを祈りたい。