▲日本とアメリカ人の好みは違う。
当たり前といえば当たり前だ。
ただ、と思う。
今、ディズニーが目指そうとしていることが、世界中の観客が本当に求めていることなのだろうか。
スターウォーズが、本当に古典として残っていくのだろうか。
いや、スターウォース自体を貶しているつもりはない。
筆者が日本人ゆえの違和感なのかなぁ。
以下、英国ft の記事からの大幅に抜粋。
(2012年11月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ウォルト・ディズニーがルーカスフィルムを40億ドルで買収すると発表し、 ディズニーのボブ・アイガー最高経営責任者はインターネットで何を得たかを説明。
「1万7000のキャラクターだ」。
ディズニーは、屈指の利益を稼いだ「スター・ウォーズ」制作会社を買っただけではなく、 知的財産も手に入れた。
■コンテンツ市場を買い占める
今回の買収で、ルーク・スカイウォーカーとハン・ソロはディズニーの知的財産のポートフォリオを強化する。
同社は、「トイ・ストーリー」「カールじいさんの空飛ぶ家」
「Mr.インクレディブル」などを制作したピクサー・アニメーション・スタジオを傘下に収める。2006年に74億ドルで買収した。
3年後には、スパイダーマン、超人ハルクなど、 マーベル・エンターテインメントのコミクキャラクターも迎え入れた。
アナリストは「戦略的に見事だ」と言う。
「ディズニーは映画、テレビ、消費者向けの商品、 テーマパーク、ビデオゲームにまたがって使える知的財産で市場を買い占めつつある。
■マーベル買収の成功を踏み台に
今年の映画「アベンジャーズ」のヒットが、アイガー氏に契約の弾みを与えた。
ジョージ・ルーカス氏との交渉は18カ月前から続いていた。
世界で15億1000万ドルを稼いだアベンジャーズは、マーベル買収の価値を浮き彫りにした。
今夏アベンジャーズが公開されると疑いは晴れた。
ファンのおかげで、史上2番目の興行収入を記録したのだ。
ルーカスフィルムは多くのファンをディズニーにもたらす。
ディズニーが2015年に公開するスター・ウォーズのシリーズ7作目も、押し寄せるだろう。
既存のファンは、スター・ウォーズが何年にもわたってドル箱になることを保証してくれる。
■「金のなる木」を次々買収
アイガー氏が手掛けた映画スタジオ買収に透けて見える狙いは、費用がかかる映画制作のリスクを最小限に抑えることだ。
ピクサー買収では、多くの知的財産を確保した。
トイ・ストーリーを筆頭に、玩具やアクションフィギュア、続編も生み出す映画の数々だ。
ディズニーがピクサーを買収後、公開されたトイ・ストーリーの3作目は10億6000万ドルの興行収入を稼ぎ、アニメ映画の最高記録を更新した。
マーベルを買収したのも、映画「アイアンマン」でヒットを飛ばし、 アクション満載のヒット作品を生む力を絶賛された後だ。
ディズニーの買収後、制作したアベンジャーズは続編を生み、
既に2作目と3作目の制作が進行中だ。「マイティ・ソー」と「キャプテン・アメリカ」の続編も控える。
どの映画も玩具などの商品の販売拡大の原動力になる。
■成果が実を結ぶまでには時間
アナリストは、マーベルのキャラクターはディズニーで「花開いた」と書いた。
スター・ウォーズも、マーケティングとライセンシングのネットワークの恩恵にあずかる見込みだ。
ただしリスクもある。
スター・ウォーズの最初の3作品は爆発的なヒットだったが、次の3作品への反響は中途半端だった。
「短期的な財務上のリターンを見込むのは難しそうだ」と書いた。
だが、アイガー氏とディズニーが取り組むのは、もっと長期のゲームだ。
マーベルとピクサーがそうだったように、 「長期の戦略的な利益が次第に実を結ぶだろう」。
ハリウッドには、スター・ウォーズほど成功した映画シリーズはほとんどない。
これまでスター・ウォーズ以上に稼いだのは、「ハリー・ポッター」の映画8作品だけだ。
スター・ウォーズの新作映画で、責任を負うのは、アラン・ホーン氏。
最近までワーナー・ブラザーズのCOOを務め、 ハリー・ポッターの映画を手がけた人物だ。
「ヒット映画の達人のホーン氏を獲得し、今度は彼が力を発揮できるヒット映画を持ってきた」と言う。
■二度あることは三度あるか
ジョージ・ルーカス氏とディズニーが合意した買収は、 現金と株式で賄われる。
ディズニーは新株を発行し、ルーカス氏に約20億ドルの現金を払う。
結果、ルーカス氏はディズニーの個人株主としては故スティーブ・ジョブズ氏の家族に次ぐ第2位の大株主になる。
ルーカスフィルム買収に拍車を掛けたのは、商品販売の可能性だった。
マーベルとディズニーの商品事業の統合に問題がなかったわけではない。
それでもマーベルとピクサーの知的財産は、 傘下のケーブルチャンネルESPNやABCテレビなどと並び、 ディズニーの収益の原動力だ。
アイガー氏の願いは、 スター・ウォーズの世界の物語とキャラクターが同じような成果をもたらしてくれることだ。
▲補足、感想など
映画作りは、なんともリスクの高い事業だということだろう。
そのために、過去にヒットした映画をつくったスタジオを買収し、ヒットした映画会社の経営者を引っこ抜いてくる---なんとも、アメリカ的な発想だし、手法だ。
えっとなんだっけ。
今年の夏、アベンジャーズ—なる映画が、15億ドルのヒットとなったとか。えっと、15億ドルって、日本円で1200億円くらいか。なにか桁違いに大きいなぁ。
あんな子供だましのような映画がか。
このあたりだな。
日本の観客というものは、アメリカ・ハリウッドの目線からみると完全に「ガラパゴス状態」なのだな。
アベンジャーズなんて映画、日本では噂にもなるまい。
根底にあるのは、日本人の知的レベルが、いわば、世界標準からかけ離れてしまった—ということだろうな。
アベンジャーズにせよ、スターウォースにせよ、日本人の視点からすると「物足らない」「子供たまし」に見える。
これが冒頭でふれた「日本人の好み」なのだろう。
なるほど。
逆にいえば、日本人がつくる「日本映画」は世界標準でいえば「難しすぎる」ということか。
日本映画は、日本人にしか受けないし、理解されない—ということなのだな。
これが宮崎駿さんの自分のつくるアニメの観客として想定しているのは「日本人」だけなのだ—という言葉に通底している。
今、ディズニーが最もほしがっているのは、上のスタジオ・ジブリなんだそうな。
日本人というのは、アメリカのハリウットの視点からすると、「観客の未来形」なのだろうな。
未来形の観客の好みを取り入れるための準備として、スタジオ・ジブリが欲しい—ということではないのか。