▲どこらにこの一連の騒動の核心があるのだろうか。
建物が傾いた → 地盤の沈下 → 杭打ちがおかしい → 杭打ち作業を検証してみるとデータの改竄などが見つかった てな感じか。
で、この現場技術者がすべて悪いのだ—てなことが、今の状況か。
そこで。
過去、この技術者が関与した建物について、調べてみると、建物が傾斜したとか一部が沈んだという物件は存在していない → 改竄を見破る事は困難だ、もう現場技術者のモラルに依存するしかない--と。
このあたりだな。
杭打ち作業というのは、3Kの仕事だ。
夏はカンカン照りの中で、冬は寒風の吹きすさぶ中での、泥だらけとなってやる作業なのだ。
まぁ、余り、人気のない仕事と言ってよかろう。
そして。
杭打ちの相手は、不透明な自然であり、「支持層」という上からの荷重に耐えれそうな地層なのだ。
誤解を恐れすいえば、手探り状態で作業をしているといってもそう外れてはいまい。
だから、経験というものが大きな意味をもっている。
以下、新聞から一部を筆者が転記。
◇確認検査はあらゆるデータをチェックするわけではない、限界がある。
◇今回は確認検査の問題というよりも、現場での施工品質の管理をどう徹底するか—という問題ではないか。
◇個々の物件の施工管理は、現場の「モラル頼み」になりがちな状況は変わってしない。
◇今後は、防止のための制度改正が必要となるかもしれない。
▲補足・感想など
筆者は、記事の転記のうち、「現場での施工品質の管理をどう徹底するか」という文章に一番反応した。
その通りだと思う。
また、制度改正というような文言があるが、冒頭でふれたように、3Kの仕事なのだ。
また、単価を上げることのできるような仕事でもない。制度を厳密化すれば、単価に直接はねかえる。
それならば、と思う。
手探りでやっている支持層までの杭打ちという仕事を、もっと公開して、この場所なら地下✕mに支持層があるとか、その状態はどうだとかの「支持層データベース」とかいう誰でも使える知識としてしまえばいいのではないか。
あぁ、これは企業秘密なのかな。<杭打ち業者なら誰でも見ることができる--というものでいい>
今までの流れをみていると、今回の建物の沈下の原因は、この建物の支持層が想定外のものであり、その「想定外」に対する対応を現場技術者が間違えたもの—という感想をもつ。
そんなことを考えると、上でのべた「支持層データベース」という誰でも知ることのできるデータベースがあれば、多少でも予備知識ないしは、危なそうだから—と準備ができるような気がする。
いたずらに、法律とか資格制度で厳しくすれば、事故が防げるというものではない。
今回の事故の「本質」をとらえ、再発を防止するための「手の打ち方」を探っていくべきと考える。
※追記。
元請けが、杭の長さを間違えたという記事があった。ご紹介したい。
--ここから--
横浜市都筑区のマンション傾斜問題で、施工主の三井住友建設が、くいの未到達が判明した場所の「支持層」が実際には深さ16メートル付近にあるのに、設計段階で2メートル浅い約14メートルと見込んでくいを発注していたことが分かった。
広報担当者は「横浜は地盤の起伏があり、支持層の把握が難しい。現場では急に深くなっている場所があったと思われる。想定が外れたのはうちの責任」とくいの長さ不足は設計した同社のミスと認めた。
くいの未到達は見込み違いがきっかけになったといえ、三井住友建設には説明が求められそうだ。
くい打ちを施工した旭化成建材は、くいを入れるための穴を掘削して支持層に届かないと分かれば三井住友建設に伝え長さを満たす別のくいの発注を依頼する必要があった。
製造には数週間かかる。
三井住友建設によると、追加発注はなく設計通りのくいが使われた。
未到達くいの工事は工期終盤に集中していたことが分かっており、旭化成は、現場責任者によるくいの深さに関するデータ改ざんとの関連を調べている。
工期が迫っていたことが深度不足の背景にあったかどうかについては「調査で明らかにしたい」と。
旭化成や建設会社は、この日も旭化成建材が過去約10年間にくい打ち工事を請け負った3040件の管理者への連絡などに追われた。
旭化成は26日までに建設会社への通知作業を終えたいとしているが、建設会社の数も多く難航。
--ここまで--
相手は自然だ。支持層の起伏もあろう。
すべての杭が支持層に届かなかったかどうかは、現場のものでなければ分かるまい。
また、杭の長さの不足をなんらかで補ったのかもしれない。