▲北朝鮮の記事の一部なのだが、この背の高さが気になった。
この背の高さは、当然、栄養不足を意味している。
栄養のある食料がとれない—という意味であろう。
いや、ひっかかったのは何かというと、司馬さんの街道を行くで東北地方について語っていたからだ。
曰く、江戸時代、東北地方で「稲作」を中心とする仕組み自体がおかしいのではないか—と。
牛とかブタを育て、食肉を売り、乳製品を売るという—そういう仕組に切り替えるべきではなかったのか--と。
今でこそ、イネも品種改良されて寒さに強いとか、早生で—とかで寒冷の場合でも、それなりに対応できるのであろう。
しかし、江戸時代に東北地方では飢饉が起こり、人肉さえも食べたという記録が残っている。
こういう飢饉が発生するということ自体、稲作にこだわり、国の大きさをコメの取れ高で表す—という「稲作至上主義」とでも言うべきこだわりから発生したのではないか--と。
それも東北という緯度の高い場所で--。
上のような司馬さんの指摘が頭にあって、北朝鮮での現実の入隊資格が138センチという文章を読んだとき、北朝鮮でも、江戸時代の東北地方と同じことがなされているのでないか—と感じた。
検索してみると、北朝鮮で栽培されている穀物って、コメ、とうもろこし、じゃがいも—らしい。
そして、コメが一番多いのだ。
北朝鮮という国、司馬さんが指摘していた江戸時代の東北地方に似ているではないのかな。
いっそ、牧草地を増やし、牛、馬などを育て、牛肉・乳製品を売るという仕組みへ切り替えたらどうなのだろうか。
穀物も、そば、ヒエ、アワというようなものに切り替えたらどうなのだろうか。
緯度の高い寒冷地で、元々が熱帯の植物であるイネを栽培するという発想がおかしくないか。
以下、新聞から一部を抜粋。
・身長138センチも可
党側が軍の抑え付けに腐心するのには事情がある。
200万人以上が餓死したという1990年代の大飢饉
を、成長期に経験した世代が前線の小隊長といった軍の中核を占めるようになった。
彼らは「政権への
忠誠度が最も低い世代」といわれる。
その後も、栄養不足で子供並みに小柄な兵士も多く、身長138センチ以上、体重43キロ以上まで
入隊基準が緩和されたほどだ。
配給量の減少が重なって、中国側に越境した北兵士による強盗事件も頻発。
慢性的な燃料不足もあり、
戦車などを動員した大規模な演習もままならない状態が続いているという。
核・ミサイル開発に傾注する背景として、
通常兵力の弱体化も指摘されている。
正恩政権は頻繁に幹部の首をすげ替えることで不満の芽を摘んできたが、党による圧迫が強まれば、さらに
前線の士気低下を招く結果になりかねない。
消息筋は「軍の統制が負の連鎖に陥っているとみられ、強硬姿勢を強める裏で実際には『戦えない軍隊』化が進んでいるようだ」と話す。
▲補足、感想など
飢えないためには、気候・風土に適した穀物を栽培するということであろう。
ちょいと、最近の北朝鮮のコメについて書いた文章があったので、それをご紹介。
--ここから--
◇筆者の知人が北朝鮮から持ち帰った米の種籾を、新潟県農業試験場で育てた結果が「This
is 読売」に掲載された。
この時期、1995年から1999年まで、筆者は毎年北朝鮮を訪問し、その都度各地の田畑を見てきた。
気温が低く、降水量が少なく、肥料・農薬が不十分で、土壌が劣化し、品種改良がなされておらず、水管理ができない北朝鮮とは違い、日本の最高の条件下で育てたにも関わらず、北朝鮮の品種「統一」は、日本の平均収量の半分しか収穫できなかった。
日本の条件下で半分しか取れない品種を、北朝鮮の厳しい条件下で栽培すれば日本の平均収量の半分以下、1/3程度であることは間違いなく、筆者は、北朝鮮の米は10a(1反)当たり180kg(3俵)程度と見ている。
◇まず北朝鮮の米づくりの環境について見ていきたい。
米は高温を好み、大量の水が必要だが、北朝鮮は日照が少なく、平均気温が低く、雨が少ない国である。このことだけで米の生産量が大きく減少する大きな要因になる。
韓国の「連合通信」(2012.01.27)によると、韓国の気象庁がこの日、「北朝鮮気象30年報」を発表し、北朝鮮は年平均気温が8.5度で韓国より4度低いと発表。
この平均気温に対しては、耐寒性のある稲に品種改良しなかればならないが、北朝鮮の品種は未だに改良されていない。最も暑い8月の平均気温は22.6度でしかない。年間降水量は919.7ミリしかない。
なお、福岡県の年間平均気温は16.8度で北朝鮮より8.3度高く、8月の平均気温は30.8度、年間降水量は1632.4ミリである。
また、日本では品種改良の結果、米が4か月程度で収穫できるが、北朝鮮は日照時間が少ないため米を収穫するまでに5か月から6か月かかる。
--ここまで--
で。
冒頭の感想に戻る。
寒冷な土地でなぜ、稲作に拘るのか—と。
牛、馬を育て、肉牛を売り、乳製品を売るという仕組みに変えたらどうなのだろうか---と。
いや、うまくいくかどうかは分からない。
しかし、司馬さんの江戸時代の東北地方についての感想が、そのまま、今、北朝鮮の栽培する穀物への感想と重なってしまう。
※追記。
以上のようなコメに関する情報を得た上で、この金総書記の言葉を見ると、別の感慨が湧く。
--ここから--
米国の自由アジア放送(RFA)は11日、平壌(ピョンヤン)住民消息筋を引用し、「北朝鮮の金正恩政権が昨年から国際社会の制裁に備えて軍用のコメ3年分の準備を命令し、随時点検してきた」と報じた。
また、北朝鮮は平安北道寧辺郡亀山里に大規模な軍事訓練施設を建設したが、3つの訓練区域で構成されたこの施設は金正恩政権に入って建設された最大の軍事訓練施設という。
--ここまで--