2017年11月28日火曜日

日馬富士関の進退は、その行動が横綱の品格にそぐうものであったかどうかの一点にある

日本の相撲界におけるモンゴル勢という存在が、大きくなってきて、影響を及ぼしていることが明瞭となったようだ。

 白鵬関の態度も基本、「強ければいい」式の価値観にのっかっているものであろう。
 モンゴルという国では、その通りかもしれない。
 しかし。
 なんどもくりかえすが、相撲は日本の神事から出発し、江戸時代に発展して、以後そのまま継続しているものだ。
 相撲という格闘技が、世界ではトップレベルに稼げるものとなっているのは、それだけ日本人に愛され支持されているからだ。
 そのことは、日本人にに愛され・支持されなければ、相撲に未来はないということでもある。
 愛されるためには、日本人の価値観にのっかった横綱なりの品格、大関なりの品格というものを備えなければならない。

 その部分を間違えれば、相撲界に未来はない。
 今度の貴ノ岩関を巡る「暴力騒動」も、日本のモンゴル勢の中での上下関係、先輩・後輩関係の中に潜んでいる「可愛がり」とかいうものであろう。
 態度の大きな、逆にいえば、白鵬関、日馬富士関からすれば、「ちょいとたしなめなければ気のすまない」--そんな存在であったのだろう。

 それが暴力問題として顕在化すると、白鵬関・日馬富士関の存在を揺るがすような進退問題としてとりあげられてしまった。
 モンゴル人の力士の間では、「単なる仲間内の可愛がり」であったものが、これは暴力事件だ、横綱としての品格を汚すものだ—となって、とまどっているというのが、実態であろうな。

 相撲協会としても、横綱を失うのは怖いし、白鵬関一人ではなぁ—という思いがあるのだろうな。
 でも、日馬富士関の暴力も、もはや、可愛がりを逸脱して、横綱の品格を汚しているだろう。(貴ノ岩関の傷が公開されているが、フォッチキスで頭蓋骨の割れ目をようやく止めたようなものとなっている)
 で。
 落とし所に苦慮しているということだろう。

 以下、貴乃花親方の記事から抜粋。

 大相撲の貴乃花親方は26日の九州場所千秋楽後、福岡・田川市内で開かれた打ち上げに参加。
 フジテレビ系は、この打ち上げで貴乃花親方が行ったスピーチをノーカットで放送。
 貴乃花親方は、日馬富士による暴行事件についての見解や、取材などに対してノーコメントを貫いている理由、暴行を受けた貴乃岩の容体などについて語った。

 皆さんこんばんは。高いところから失礼いたします。
 周りがとっても騒がしく、ご迷惑をおかけいたしております。この場を借りてお詫び申し上げます。 
 申し訳ありませんでした。
 実は貴乃岩がこういうふうになりまして。まだ基本的に警察の方の捜査が進展しております。
 なので、私はマスコミさんにも接触も一切お答えせずに(いました)。最初に貴乃岩が普通に稽古場で傷ついた、少しキツめに稽古をしたというような、俗に言われる“しごき”ではなくて、夜の街でけがを負って帰ってきたということで、「いろんなたくさんの憶測を生んでいる」と言っている報道関係者の皆さま方が憶測を作っております。

 私は巡業部長として、相撲協会の理事であります。
 そして、巡業部長というのは、各部屋から250名の相撲協会員を預かる総責任者でもあります。 
 今回の件に関しましては「たまたま貴乃岩がその傷を負ってしまった」と簡単に言えないことですが、そう皆様にご理解いただいたとしましたら、他の部屋の力士、巡業参加の力士がその傷を負ったとしても、私は同じく、正面を切って警察の方にご相談に行きます。これが信念でございます。

 そして公益法人たる姿を…巡業部長の責任、理事の責任以前に、力士たち、協会員が傷を負って帰ってきたのであれば、それをすぐさま捜査(の依頼をします)。
 どのような状況で行われたか、誰が被害者で誰が加害者か。正当に裁きをしていただかなきゃいけないというのが、巡業部長の責任であります。
 仮に私の弟子が他の力士、もしくは他の一般の方へ危害を加えたのであれば、もっと公にして捜査をお願いしている次第です。

 そういった私の本意をもてあそぶかのように、報道等はなされております。私は慣れて…入門したてのころからこのような状態に多々ありましたので、慣れてはいるのですが。田川(市)に宿舎を構えていて、田川の後援会の皆さま方、また私の血筋、血縁以上の懇意な後援会の皆様方に大変ご迷惑をおかけしているのは、これは間違いありません。
 ただ今場所の救いは、淡々と弟子とともに本場所をするなかで、貴景勝が今日も勝ち、来場所三役候補の一員になれた(ことだ)と思います。
 これもひとえに、普段からの田川の皆さま方のご支援があってのことでございます。本当にありがとうございます。

 皆さんご心配してくださっていると思いますが、貴乃岩の容体です。貴乃岩の容体は、普通の転んだり普通に殴られたりでできるような傷ではございません。
 それを、私が最初隠していた本人から傷口を見て、早期に行動を起こしたというまでです。
 現状は警察の、鳥取警察署にまずご相談をして、そこからすぐに県警へとあがったという次第です。地元の警察の方々も、私の意向、意思を汲んでくださり、捜査をしてくださっております。

 その捜査状況も私は知らなくて当たり前ですが、存じ上げません。ですので、まずは報道の方々にはお願いしても無理な話なんですが、私に「しゃべれ」「しゃべれ」と言います。
 ただ、しゃべるだけ貴乃岩の傷が癒やされない状況になっていくことは間違いございません。これは教科書には書いておらず、私が入門したてのころからマスコミさんとお付き合いのなかで学んだことです。

 とにかく貴乃岩も元気な姿で土俵に帰ることを。そして大相撲のファンの皆さん方、田川の皆さま方、多くは相撲をまだ見たことのない小さなお子さん、そういう子たちへ夢を、改めて大きな夢を抱いて勇気をもって帰ってきてくれることを指導していきます。 (中略
 この角道の精華に嘘つくことなく、本気で向き合って担っていける大相撲を。角界の精華を貴乃花部屋は叩かれようが、さげすまれようが、どんなときであれども、土俵にはい上がれる力士を育ててまいります。
 そのためには私自身も親方、師匠として腰引くことなく、芋を引くことなく、まっすぐと向き合って皆さまのご支援に報いるよう精進いたします。
 本日はごゆっくりしていただきましたら。また、ご参堂たまわりまして、ありがとうございました。


補足、感想など

 なにか、相撲協会も落とし所に苦慮しているようだ。
 でも。
 核心部分は、横綱の品格を備えなければ、日本人から嫌がられる。支持されなくなるのだ。
 あぁ、かっての朝青龍関がそうだったな。

 横綱は「強ければいい」だけでは駄目なのだ。品格を保たなければ、日本人から愛されない、支持されない。
 その部分が気に食わないというなら、モンゴルで相撲と同様の興行をしてみればいい。
 多くの日本人に愛され支持されるから、格闘技として世界一の収入となるのだ。
 モンゴルで同じことをやっても、それだけの収入となるか?
 その部分を間違えるな。カンチガイするな。

 日本の相撲は、強ければいい--だけではないのだ。品格を備えなければだめなのだ。
 剣道でいえば、錬士、教士にあたるものだろう。剣道の錬士が可愛がりとかをするか?

 要するに、今度のモンゴル勢による「貴ノ岩関への可愛がり」が、横綱としての品格のそぐうものであったのか否か---の一点に進退問題が掛っている。
 引退でなければ、数場所の出場停止ということになるかもしれないが、日馬富士関は、処罰を受けて当然であろう。

 また、白鵬関にも、日馬富士関の行動を見ていた訳であろうから、譴責処分とかがあってもおかしくはあるまい。